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岬ノ村の因習  作者: 結城 からく


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第47話 ドライブデート

 リクとナオの乗る軽自動車が狭い坂道を上がっていく。

 徒歩でなければ厳しそうな場所も、エンジンを唸らせ車体を擦りながら強引に踏破した。

 倒木が道を塞いでいる時は、文句を言いつつ素直に迂回する。

 明かりのない山の中はヘッドライトだけが頼りだった。

 着々と進む軽自動車はカーナビの示す目的地――岬ノ村に近付きつつあった。


 助手席でスマートフォンを操作していたナオは唐突に大声を上げる。


「ねえ、りっ君! これ見て!」


 ナオがしきりにスマートフォンを指し示す。

 画面には山道の映像とコメント欄が表示されている。

 視聴者数はリアルタイムで急増していた。

 横目で確認したリクは首を傾げる。


「よく分かんねえな。何の動画だ?」


「ミサキノムラだよ! 誰かがこの近くで配信してるのっ!」


「おおっ、マジかよ!? すげえじゃん! どこでやってるんだ!」


 ブレーキを踏んだリクは、食い入るように配信画面を凝視する。


 現在は星原が村の周辺を散策していた。

 正確には道に迷って彷徨っている。

 一部の視聴者からブーイングが出ているが、たまに血痕や凶器が見つかるので全体としては盛り上がっていた。

 コメント欄では岬ノ村の場所を暴こうとする動きも活発化している。


 しばらく画面を見たところでリクは顔を上げた。

 彼は難しい顔で腕組みする。


「うーん、この配信者の女はどこにいるんだ? ほとんど何も見えねえし分からねえよ」


「どうするの? もうほっとく?」


「もちろん会いに行く! 配信に映ってやろうぜ! サプライズ出演だっ」


「いいねいいね! それって最高っ!」


 発進した軽自動車は猛スピードで山道を突き進む。

 具体的な方針が定まったことで、二人のテンションはさらに上がっていた。

 大声で歌う姿からは、今の状況を心から楽しんでいるのがよく分かる。

 当初、自分達が拉致されたこともすっかり忘れていた。


 二人の進路上で影が揺れる。

 怪訝そうに車を指差すのは数人の村人だった。

 村人達は殺気立った様子で怒鳴る。


「なんじゃお前らァッ!」


「あいつら村の車に乗っとるぞ!」


「生贄の反乱じゃ! 殺せぇっ」


 凄まじい速度で銃声が鳴り響く。

 フロントガラスが砕けて無数の穴が開いた。

 たまらずリクとナオは姿勢を低くする。

 銃撃が座席や車体を貫く光景に、リクは無邪気な笑顔を浮かべていた。


「やべー、マシンガンだ!」


「どうしよう、殺されちゃうよー」


「大丈夫だ。その前にぶっ殺してやる!」


 リクは屈んだままハンドルを握り、力一杯にアクセルを踏み込んだ。

 急発進した軽自動車は村人達に向かって突進する。

 目視で運転せずとも直進するだけなので問題なかった。

 加速する軽自動車はそのまま村人達を轢き潰し、或いは容赦なく撥ね飛ばした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 殺戮バカップルは止まらない!ww (今の所、この殺戮バカップルが殺したと思われる数のうち悪人の方が多いから、まだ笑っていられるのだけど)
[気になる点] 最初は猟銃やクワとかでまだわかったけどマシンガンとか火炎放射器とか出てきて法律どうなってんだろって思った。仮に大丈夫でも弾丸やガスとかメンテナンスはどうしてるんだろう。
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