㉚──インタビュー
ダンジョン攻略を終えてウイードスに戻る途中、立ちよった町でいきなり私達は捕まった。
いや、捕まったでは語弊がある。でも、事実捕まったのだ。ただし、衛兵とかに捕まった訳じゃなくて、本を出版している業者に捕まった。
こんな風に──
『貴女達はもしやSランクパーティーの四葉ではありませんか?!』
『はあ、そうですが······』
『おおっ、やっぱり!まさかこんな所でお会い出来ようとは思ってなかった!ぜひ私どもの出版社に寄って下さいっ!』
『え?あ、いや~』
『もちろん宿泊部屋の手配も食事もご用意致します!ですからどうかっ!』
『うーん、それなら悪くないけど······』
『決まりだ!さあっ、こちらへ!すぐそこです!』
半ば強引に出版社なる場所に連れていかれて、応接間にて取材を受けてる。
私も詳しくはないのだけれど、話によると、出版社は本だけではなく新聞とかいう物を売っているそうなのだ。
この新聞とかいうのは画期的な代物らしく、各地で起きた事件などの情報を収集して、それを字に起こして纏め上げた物だそうだ。三日に一回で発行して、色んな町に売り出していると言う。離れた所に居ながら噂や伝聞を知れる物だ。
簡単に言えば、文字になった高速吟遊詩人。
まあ、私は新聞という存在はある事情で元から知っていたが。
それはともかくとして。
私達『四葉』の事も新聞の記事に載せたいとか言うことで取材を受けてる訳だ。
「それでは、リーダーからお名前をお願いいたします!」
私の名前は知っているだろうに。まあ、形式というやつなのだろう。
「えっとー。私の名前はチェニア。チェニア・ラックスです。冒険者やってます。四葉というパーティーのリーダーです」
「チェニアさん!貴女達四葉のランクを教えてください!」
「Sランクです」
「Sランクとはどのようなランクなのでしょうか?!」
「えっと──」
とまあ、既に知っている事であろう内容ばかり質問されていった。これが取材というやつなのだろう。
最後にはこんな質問が投げられた。
「ズバリ、チェニアさん!貴女達四葉の強さの秘訣は何ですか?」
「私達の強さの秘訣?」
それは言うまでもなく、横でガチガチに緊張している三人の仲間達のお陰だ。
三人の仲間。
四葉のメインアタッカーの頼れるナイスガイっ、トミー。
華麗なるスピードスター、戦場の妖精っ、アイ。
一撃必殺の狙撃、アイテムマスターっ、コリン。
「······それはもちろん仲間達のおかげです。とても勇敢で、賢くて、優秀な仲間達の。それだけじゃなく、本当に仲間想いで優しい人達だから、私も最大限に実力を発揮出来るんです」
「なる程!お仲間一人一人が強いと!流石Sランクパーティーですねっ!」
ほんの少し違うけど、概ねそんな感じ。
「では、そんな素晴らしいお仲間の皆さんにもお話を聞きましょう!」
『え?!』
取材者のお姉さんがササッと三人にノートとペンを突き付けるようににじり寄った。
「それではお三方!ズバリ、皆さんにとってチェニアさんとはどんなリーダーですか?ぜひ、お仲間の皆さんからの評価を!」
「俺らにとっての······」
「リーダー······」
「チェニア······」
「······」
(顔には出てないけど、みんな焦ってるな······サトリの目を使お)
私の特殊能力。それは他人の心の声を聞くことが出来る能力。
予想通り三人は焦っていた。
(ど、どどうしようっ!取材なんて受けた事ないぞ!変な事言ってチェニアを乏しめる事になったらどうしよう?!)
(あたし、学校の読書感想会だってロクな感想言えなかった人間だよ?!それなのに人様の事とやかく言える訳ないっしょー!)
(しかも、チェニアの事を評価だって?!僕は何様のつもりなんだ?!)
(············うーん。今日もみんな絶好調)
(とにかく!ここで下手な事言えば追放に繋がるかもしれない!)
(間違えられないわ!完璧に答えないと!)
(このクエストだけは失敗できない!)
「では、まずは誰から──」
「チェニアの良い所。それはまず、その人柄だ。温厚で冷静な性格、決して他人や物事を侮る事なく客観的で、広い視野をもって評価していく。これはリーダーに欠かせない要素だ。それだけじゃない。魔法も普通の魔法使いにはない光属性の──」
「チェニアはとっても良いリーダーよ。何から話せばいいのかしら。話す事が多すぎて困るくらいだけど、やっぱりその人柄ね。とても優しくて、知的で、勇気のある人。それだけじゃないわ、少し天然でチャーミーな所が普段のクールな所とのギャップで萌えて──」
「生まれながらの冒険者、リーダー。まさにそんな人だよ。僕の命の恩人でもある。彼女の力の原動力は僕も知りたいところではあるけど、それよりも魅力なのは人格だ。可憐な容姿の中に内包された鋭いカリスマ。天が彼女にリーダーとしての運命を授けたかのような──」
「え~っと~······みなさん、出来れば順番に~。そしてもう少し分かりやすく······」
(······やれやれ)
褒められてるのに苦笑いが漏れる。なんか大げさ過ぎて私の事話してるのか分かんない。
まあ、でもみんならしいな。
壮大な言い回しとかはともかくとして、みんなも私の事を大切な仲間として想ってくれているのはよく伝わった。
「つまり、チェニアは──」
「可愛いは正義、つまりチェニアは正義で──」
「創世の光が彼女に降り注ぎ──」
「???み、みなさん、あの、インタビューに答えて頂きたく······」
(もう、こっちが恥ずかしくなるよ~)
私達はSランクパーティーだ。
冒険者なら誰もが目指す最強のパーティーだ。
だけど、こういうちょっと可笑しいパーティーだ。
私はこんなパーティーが大好きだ。
こんな、面白い人達との何気なくて、少し騒がしいような日常が好きだ。
これは、そんな四葉の冒険と日常の話──
お疲れ様でした。
明後日から本格的な投稿を開始いたします。
どうぞ、よろしくお願いいたします。




