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㉘──未來では······

舞台となる時代とは違う場所です。



本日中に3本投稿予定です。いづれも短めで、これまでのおさらい的な話や、別視点的な話です。


明日は投稿無しで、明後日から一話投稿していく予定です。

 

 産業革命から百年近く経った昨今。

 目まぐるしい日進月歩の発達を続ける文明社会は、機械化や科学技術の普及が目覚ましい事この上ない。


 魔法技術は科学に融合し、その存在意義は多少薄まってしまったが、それでも人々の生活と密接であった。


 しかし、もうかつての先時代のような冒険譚は静かに消え去ってしまっていた。





 ──とある学校──



「はい。という事で、今回のレポートは中世時代の人物に関する内容を5000文字以上書いてくる事。終わり」


 チャイムの音と共に学生達が帰路につく。

 その中に、一人の少女も居た。


「はあ······」


 どこにでも居る普通の少女であった。一つだけ付け加える事項があるとすれば、この少女は歴史の科目が好きではなかった。


(もう過ぎ去った事を勉強して何になるんだろう。終わった事を振り返って何が得られる?もう済んだ事なのに。過去を勉強したって未来に役立つとは思えない。何百年も昔に死んだ人間の名前覚えてる暇があるなら、方程式を一つでも覚えた方が生産的じゃん)


 なんだかんだ理屈をつけて、歴史の勉強を嫌う節があった。故に今日の授業で課せられたレポートには心底うんざりしていた。



「ただいま~」


 少女が帰宅する。両親は共働きで留守にしていたが、祖母は奥の部屋でのんびりテレビを見ていた。


「ただいま、お婆ちゃん」

「お帰り。早かったね」

「うん、おやつは何ある?」

「プリンがあるよ」


 おやつを持って少女は父親の書斎に入った。父親は歴史好きであり、本棚には様々な歴史本が並んでいる。

 これらを活用してレポートを終わらせようと思いたったのだ。


(この十分の一でも私に歴史好きの血がながれてればなぁ)


 適当に本を手に取って見ていく少女。しかし、どれも難しそうで堅苦しかった。

 早くも面倒くさくなり、投げ出しかけた少女の目に、一つの本が止まった。


「ん?」


 他の本に比べて古めの本であった。なんとなく、それは異質で独特な雰囲気があった。


(もしかして魔導書?)


 自然に手が伸びてその本を取っていた。


 表紙には『クローバー物語』という題名と、四葉のクローバーが描かれていた。


「·········」


 少女が開いてみる。著者による『はじめに』から始まり、目次、本文となっていた。

 それは伝記と小説を混ぜ合わせたような形式となった本であった。


 無言のまま一ページめくる少女。そして少しして二ページ目をめくる。そのまま五分が過ぎ、そしていつの間にか三十分過ぎていた。


「·········」


 少女は本を持って立ち上がると、そのまま祖母の元へ赴いた。


「ねえ、お婆ちゃん」

「ん?なんだい?」


 少女が祖母に本を見せる。


「これ、知ってる?さっきお父さんの部屋で見つけたんだけど」

「?ああ、四葉物語ね。懐かしいね。それはあたしがあの子にあげたんだよ」

「そうなんだ。ねえ、お婆ちゃん。この本に出てくる人達って実在した人達なの?」

「そうだよ」

「でも······」


 少女が懐疑の目で本と祖母を見比べる。


「いくら何でも嘘でしょ?だって今みたいにロクな武器も無かった時代にワイバーンとか倒せる訳ないじゃん。しかも四人で」


 すると祖母はホホホと笑った。


「なんだい。今の子供は『四葉』の事も知らないのかい」

「四葉って、この、冒険者の事だよね?」

「そうだよ。そうだ、お婆ちゃんが昔話を聞かせてやろうか」

「昔話?」


 首を傾げる少女に祖母が頷く。


「あたしの婆さんから聞かせてもらった話さ。その婆さんも爺さんから、爺さんもまたその婆さんからって風に語り継がれてきた話さ」


 そう笑ってから祖母がゆっくり語り出した。




「ミッスルのある町に、それはそれは強い四人の冒険者パーティーがあったそうな──」


 少女は祖母に寄り添うようにして、その物語に耳を傾けていた·········。







 これは、今はもう存在しない冒険の物語。

 かつて、その圧倒的な強さと奇妙な運命の関係から、伝説として語り継がれる四人の冒険者達の話。


 そして、冒険や強さだけじゃない、彼ら四人の不思議な日常の物語でもある。


番外編的な出だしでした。

次話も、また番外編的な話となります。

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