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⑰──コリン

コリンの視点です。

 

 やはりと言うべきか。

 ブラックワイバーンの討伐はギルドにとっても大ニュースだったらしい。


 おかげで調書作りとやらが大分長かった。他のみんなはもう終わっただろうか?


「まだかな。先に帰ってようかな······」


 いや、まだ皆が仕事してるのに僕だけ一人お気楽に過ごそうなんてナンセンスだ。ここは待つべきだろうな。




 僕はコリンとして、Sランクパーティー『四葉』に在籍してるが、本当の正体というか、僕の秘密とでも言うべき事実がある。


 それは転生者であるという事。いや、転移者とでも言うべきか。そう、アニメや漫画に散々出てくるアレだ。


 ある日、謎の現象により現実世界から一転して不思議なファンタジーな異世界に飛ばされてしまう、多くの人間が夢見た事もあろうシチュエーションにより、僕はこの世界で目覚めた。


 スタート地点は海賊船の上という珍妙な設定。しかも奴隷だった。僕は同い年くらいの少年の身体に魂が乗り移っていた。



 元々中学二年の引きこもりだった僕にとっては、こういった突拍子もない展開は素晴らしく最高なもののように思えたものだ。最初だけは······。


 普通に考えれば分かる事だろう。海賊にコキ使われる奴隷なんだ。待遇は悲惨そのもの。船酔いに苦しめられ、劣悪な環境で労働し、少しでも弱音を吐くと殴られたりしたんだ。


 海賊なんて最悪だ。某超有名漫画の主人公達みたいな夢やロマンに溢れた連中なんて居なかった訳だ。


 紆余曲折あって僕は海に投げ出され、見知らぬ浜辺に打ち上げられた。


 そして彷徨い続け、ある町の前で行き倒れてしまった。

 そして、僕はたまたま通りかかった女の子に助けられた。その女の子というのが、僕が在籍するパーティー四葉のリーダー、チェニアだったんだ。


 助けてもらえたという恩情と、初めてこの世界で触れた優しさに僕の心はグシャグシャになってしまい、土下座してパーティー加入を頼んだ。チェニアはあっさりオーケーしてくれた。



 おかげで僕は命を拾い、他のメンバーのトミーやアイにも出会えた。

 この人達は本当に素晴らしい人達で、めちゃくちゃ強いのにそれを鼻にかけたり、慢心して傲慢になる事もない。むしろ、まったく役に立たない僕の事を褒めてくれる。


 多分······本当に褒めてくれてるんだと思う。それは事実だ。

 でも、皆は気づいてないだけなんだ。僕なんか居なくたって四葉は最強であるという事に。

 僕が居なくても何も変わらないという事実に皆は気づいてないだけだ。もしその事実が発覚したら──


『コリン、お前居ても居なくても変わらなかったんだな。騙されてたぜ!』

『わー、コリンってザコだったんだ~。萎え~』

『おのれコリンっ。私の目をいつまでも欺けると思うなよっ。君は追放だー!』


 となるだろう。


 いや、まあ皆が本当にそんな事言うかはともかくとしてだ。少なくとも失望して僕を追い出すのは間違いない。だって、僕は戦闘力も低い無能なサポーターなんだから······。皆とは違う。



 トミーはとにかく強い。圧倒的な火力でモンスターを蹴散らすパーティーの華だ。


 アイは正しく戦場のトリックスター。その多彩なスキルの数々は他の皆の力を最大限に引き出す。



 でも、なんと言ってもチェニアだ。

 あの華奢な体のどこにあれ程の力があるのだろう。ある時は嵐を生み、ある時は炎で全てを焼き払い、ある時は闇をも引き裂く光を生み出す。

 強い魔法だけじゃない。僕らを守る加護、環境を変える技、そして傷ついた者を癒す力。

 そして何より、彼女の素晴らしい所は強さだけじゃない。(もっとも、それはトミーとアイもそうなんだけど)


 まるで相手の心を読んでいるかのようにピタリと心中を当ててくる力。それこそ魔法のようだ。

 僕が悩んでる時、迷ってる時。チェニアはいつも適切な言葉をかけてくれる。素晴らしいリーダーなのだ。



 素晴らしいリーダーと仲間。そんな人達で構成されたパーティーは最高だ。


 だからこそ、大した力も無い自分が居てもいいのかと何時も不安になるんだ。


「······皆を待とう」


 それでもいつかは皆に打ち明けたい。

 僕は異世界人であるということ。そして本当は役に立ってないということ。


 そして出来れば、それでも仲間として認めて欲しい。


 その日までは頑張ろう。


お疲れ様です。次話に続きます。

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