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デリンクエンテ・ボーイズ  作者: 小判鮫
8/12

サウナで疲労回復、どころか疲労感しか味わえない

東山がサウナに入ってしまった。俺が湯船から出られないのはアレがいきりたってしまったからだ。そこで、東山の後追いをしようとするショタコン男に俺はこう提案した。


「ねえ、俺じゃダメなの?」


と自分のを見せながらに。その男は俺の手を掴んできて、湯船から一緒に出るよう合図をした。そして、二人。物陰に隠れて、汚い行為をする。


「ふふっ、今日はとびっきりに可愛いね!」


男のが太ももで擦られる。脳内が気持ち悪いでいっぱいだった。けれど、俺がこれを耐えなきゃ東山が襲われてしまう。


「え?いつも可愛いと思うけど??」


「いつもは金取んじゃん」


「今日だって、貰わないと、生活費が……」


自分のよりも大きな手で強く激しく扱かれる。やばい、足がふらふらとしてくる。あ、背中にキスマーク付けられた。それ一個一万円だわ。


「じゃあ、お友達に手出ししてもいーい?」


「……クッソ、汚ねぇ」


東山とした時とは大違いだ。体温が一気に上がって、呼吸が乱れる。訳が分からない、目がチカチカする。ビュルル、と出した直後は立てなくなるくらい、身体がだるくなった。


「ねえ、まだイケてないんだけど」


その男は咥えろと言わんばかりにソレを俺の口元に持ってくる。俺はだるい身体を引きずって逃げた。


「や、嫌だ……」


「怯えてるサクラくん、可愛いっ♡♡」


仰向けで押さえ付けられて、何度も何度も身体にキスされた。俺はだるさと気持ち悪さでいっぱいで、それどころじゃなかった。寝転がったまま動けなかった。最終的には、奴の精液を顔面にかけられた。死にたくてたまらなくなった。


「……ミア」


でもこんなことしている場合じゃなかった。全身を洗い流して、東山の元へと駆けた。東山はサウナで一人だった。


「サクちゃん、何があったの?」


「何ともないよ」


平気な顔してそう言った。東山が何ともないなら何ともないんだ。そう自分に何度も言い聞かせた。けど、あの光景が脳裏に焼き付いて離れない。


「これは?」


東山が心配そうな表情で、俺の身体に付いたキスマークを押そうとする。その穢れに触れて欲しくなくて、俺は身を引いた。


「触んないで」


そう冷徹に言い放った後で、後悔が押し寄せてきて、俺の言葉で固まってしまった君の手を、指を絡めて繋ぎ止めた。けれども、東山は絡めた指を解いて、


「……ごめん」


とだけ言った。俺は訳が分からなくて、


「こちらこそ、ごめん」


と謝っておいた。二人の間に気まずい空気が流れる。この重たい空気を破ったのは、俺でも東山でもない、サウナのドアが開く。冷たい空気が流れ込んでくる。ここの銭湯の利用客がサウナに入ってきたのだ。複数人。あ、目が合った。ショタコン男がいた。


「行こう、サクちゃん」


何かを察知した東山に、強引に手を引かれて、飛び込んだのは水風呂。ザッバーン!!という大きな音が館内に響いた。


「冷たっ!!!」


俺はすぐさま水風呂から出たが、東山は若干のぼせてたようで気持ちいいって言っていた。そんな様子にほっこりしたのもつかの間、


「サクちゃん、さっきの人さあ……殺していい?」


と彼は俺の隣りに腰掛け、悪魔のように耳打ちしてきた。水風呂には足しか浸かってないのに、背筋が凍った。


「何で?」


「あのクズ教師を前にした、僕みたいな顔してたから何となく」


殺人犯ってのは、よく分からない。罪悪感に溺れたと思えば、ケロッとした表情でまた殺人を犯そうとする。それに俺は怖気付いて、


「ふっ、アイツは俺のATMだから」


なんて無意味に鼻で笑って、嫌いな奴を庇ってしまった。俺のその反応に彼は、ふーん、とだけ言って、


「なーんもっ、整わないね!」


ってサウナの効能を可愛く嘲笑った。

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