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デリンクエンテ・ボーイズ  作者: 小判鮫
6/12

漫画は嗜虐心をウリにする

東山を俺の手で汚してしまった。俺のせいで汚れた東山を愛おしいと感じてしまった。大人になるって、汚くなると同義だ。それならば、真っ黒になる前に、まだ綺麗でいられるうちに、死んでしまいたい。そんな焦燥が精神に負荷をかけ、自殺へと追い詰めていく。東山に興味を持ったのは、コイツならば自分で死ねない俺を殺してくれそうだからだ。自分で自分を慰めるのにハマって抜け出せない、その摩擦で抜いて、賢者タイムに後悔する。それの繰り返し。次第に、性欲をコントロールできないしょうもない人間になっているようで怖くなるんだ。この国で褒められるのは、イエスマンとペイシェントだ。あっ、あー、患者って意味じゃないぜ。我慢強さのそれだ。


「サクちゃん、僕らずっと一緒にいよう?」


そう言われた瞬間、東山とそーゆーことをするだけの日々を過ごせるのなら、って思った。現実はノーだ。


「勿論。今の俺、ミアと同じ気持ちだよ」


と東山を抱き寄せて、その肩にもたれかかる。全部、意図的だ。誰かの体温を感じるだけで、孤独がちょっぴり薄まる気がした。


「……き、キス、しても、良いかな?」


まだ純粋な東山は、キスもろくに言えないようなウブで可愛い。


「どうぞ」


対して不純な俺は、オナニーをともにするような変態でブサイク。俺はツンと唇と尖らせていたのに、東山は頬に軽い口付けをするんだから、俺はもっと唇を尖らせた。


「い、嫌だった!??」


「ううん、別に。唇にはしないんだなあ、って」


「……する」


先程の快楽の味を反芻したくて欲を吐き出した君に、床へと押し倒される俺。ごめんね、その味はもう二度と味わえないよ。性教育とエロコンテンツは別物だから、セックスと性暴力の違いはそこなんだろうね。


「ミア、俺を殴って」


キスされた後の一言目。東山の嗜虐心を刺激した。その悪そうなニヤケ顔で殴ってくれと、目を瞑った。


「サクちゃんは大事だから殴れない。サクちゃんの父親なら殴ってあげる」


耳許で囁かれた。凍てついた心をも溶かすような、東山の体温に包まれる。幸福感でいっぱいで脳内がホワイトアウトしそうだ。「ミア、いっぱいチューしよ?」って赤ちゃん返りしたように脳内で東山に甘えていた。


行き付けの銭湯。顔馴染みの番台には「悪ガキ」と呼ばれている。日々の生活費を、自販機の釣り銭を取ったり、誰かの財布から少し拝借したり、ゴミの古本を売ったりして稼いでいるからだ。あとはたまーに色目使ったりして。都心へのアクセスが良い田舎のネズミのように生きている。


「あれー?今日は悪ガキが二人かあ??」


「はい、二人分」


と言って、俺は二人分の料金を手渡した。


「この半人前があ。友達の前だからって格好付けてんじゃねーよ」


そうやって笑われて、一人分の料金を返された。金ねえだろ?って。


「ふふっ、ありがと!」


「あっ、気を付けてね。今日アイツいるから……」


ショタコン男。俺が初めて手コキされて三万貰った男だ。その後もちょっかい出されたが、やめろって言ったらやめる小心者だから、そこまで害は無い。のだが、俺よりも可愛い東山がいるからなあ……。


「サクちゃん、どうしたの?」


「ううん、何でもないよ。いこっか」


不安がってる東山と手を繋ぐ。それだけで彼は表情を明るくした。レグカ跡はテーピングで隠して、俺は東山の背中を流す。


「お願い、もう一回」


強迫観念に襲われたように東山は何度も身体を洗うように強請ってくる。これでもう三回目。俺はうんざりしてきて。


「ミアは綺麗だよ」


と彼の背中にキスをした。そうしたら、ガバッと勢い良くこっちを振り向いて、


「ううっ、サクちゃんのバカ!!」


って何故か嘆かれた。

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