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エンジェルライフ・もう一つの真実⑥最終回!撃墜されたヘリ。殉職した朋美。新た真実を朋美は、暴いていた。彼女が残した国際援助の信じられれない実態とは!

朋美が乗っていたヘリが、撃墜された。仲間のヘリの撃墜をうけて、ドイツ軍が大規模に赤十字キャンプを包囲する反政府軍を攻撃した。結果として、赤十字の職員もういかも救助された。ういかも、ういかが命をかけて救護した少女も助けられた。生き残った者たちのそれぞれの葛藤。それぞれの宿題。

 華々しい活躍を見せるエンジェルライフの表舞台に隠れた、もう一つの真実は、あまりにも哀しい。

朋美の殉職を弔い東京で葬儀が行われた。遺骨は収集できなかった。少年の遺骨もごくわずかだった。野犬か野生動物が、持ち去ったと思われて捜索も終了している。


モトズラウンジ

元:こうして生き残った者は、逝った者の死を無駄にせず、前に進まなくては。

ういか:もっと早くあさこさんに相談すべきだった。

あさこ:赴任して3日で帰るって言ってきたら・・私もすぐに帰国しろって、言えなかったかもしれない。

二人が、必死になって救護したあげくの結論だったからすぐに避難要請になったと思うんだよね。

早紀:戦地の支援って難しいですね。戦局が一気に変わってしまう様で・・・

あさこ:ういか!エリが戦地の救護体制と救援物資の運用成果についてまとめることになったから一緒にお願い。

ういか:エリちゃんよろしくね。

エリ:朋美さんの活躍が無駄にならないように今後に生かせるものにします。13時からミーティングルームでお願いします。

13時に二人がミーティングルームに集まった。あさこも参加している。

エリ:ういかさんたちが撮った写真の他、ドイツ軍から提供された映像、写真もプロジェクターに映します。朋美さんが撮った写真もたくさんあります。

ういか:これは、テントの中の様子。仕切りはカーテンだけ、今映ってるのは手術室

エリ:手術室?

ういか:そう、これが手術室。ライトが有って、カーテンで囲っただけ・・でも、次の写真見て!手術用の資材セット!どう?

エリ:日本と変わりませんね。小さな町医者より充実してます。

ういか:でもほとんど使ってない。

エリ:どういうことですか。

ういか:最初はわからなかった。もったいないのか・・使い方はわかってるはずなんだ。同じやつを使ってるけど新しいものは出さない。倉庫にも山積み・・なんでだろうって考えてたんだけど・・次見て、

エリ:朋美さんが極秘で撮った写真見たいです。倉庫に保管された日本の支援物資です。次いきます。

あさこ:エーっ なにこれ 運び出してるの ロシア製の軍用トラックよね。

ういか:国旗は付いてないけど、おそらくシリア側の人間かと・・シリア政府軍かどうかはわかりません。

どうやら支援物資を横流ししてるみたいです。赤十字から地元の倉庫。そこから町はずれのNGO

エリ:NGO?

ういか:そう、中国系のNGO そこは、トルコに拠点を置いて政府軍、反政府軍関係なく子供の教育用品を

提供している。朋ちゃんがバックパッカー装って街に買い物に行きたいって・・・トラックをヒッチハイクしたんだって。トルコの男性運転手さんは、朋ちゃんにかかったらいちころ!運転手さんは何を運んでるか知らないから警戒もしてない。朋ちゃんとドライブ楽しいなって、感じだったって。さすがにシリア軍に流れるところまではいけなかったって言ってた。

あさこ:シリア軍じゃない可能性もあるね。エンドが軍だと値段もたたかれる。もっとでかい話になるけど・・中東の医療機材メーカーとかに流せば日本製は高額になるよ。

ういか:赤十字のお偉いさんだって、たいしてもらってないと思うし、シリア軍じゃお金ないしね。ロシア製のトラック使ったり、シリア軍の仕業に見せかけてるだけか・・・

エリ:ドバイやサウジに流れたら億単位の商売になっちゃう。私たちの手に負える話じゃないですよ。

あさこ:今日はここまでにしよう。

エリちゃん元さんとこにプロジェクターセットしといて、見せてみるは。終わったら休憩して。

エリ:了解です。

ういか:あさこさん、お昼一緒に行きましょうよ!

あさこ:了解。


珍しく車で豊橋まで出かけた

ういか:午後、空いてるようだったので・・・

あさこ:これ何屋さん?

ういか:アラビア系ですね。トルコとかイランとかごちゃまぜ日本に帰ってから一人で時々来てて・・

あさこ:そういうことか・・・

ういか:私は、直接懺悔して生きていくしかないんですけど・・・自分のことが整理できて来たら。あさこさんもきっと苦しんでるのかなって思って・・

ういかが顔を上げてあさこを見ると・・あさこは正面を見て黙って涙を流していた。

あさこ:ありがと、謝る人もいなくなって、ういかには、生還してくれてありがとうって、笑わないといけないし・・

自分のせいじゃないって・・みんな気軽に笑ってくれるのがかえってつらくて・・

ういか:きっと、あさこさん、一人で苦しんでるって分かって来て・・ウェーン

号泣している二人の間に冷静な店員がにこやかに

店員:レンズ豆のスープです。

ういか:これ!これ!朋ちゃんが教えてくれた!現地料理のまずいスープ・・・

あさこ:そうなんだ・・・ウェーン グスッつ

ういか:飲んでみてください。信じられないぐらいマズいですから・

あさこが、恐る恐る飲んでみると・・

あさこ:うっ? おっ?うまいじゃん!うまいよ!

ういか:また・・そんなわけは・・うっ?? えっ? うまいな、うまい!

あさこ:うん うまいよ!

ういか:あーっ!鼻水のせいや・・塩気が混じってる・・ウェーン・・zzz


モトズラウンジで

あさこ:見てくれました?

元:うん・・

沈黙する元を見て緊張した声で言った。

あさこ:出さない方が良いですか。

元:朋美には悪いが、今は無理だ・・・座って。

プロジェクターを付けながら

元:朋美が見たのは、おとりだ。赤十字の倉庫の写真。段ボールが一個ずつ手積みされている。砂漠のキャンプでは、フォークリフトは使えないから当然の話だ。こっちの町はずれのNGOのトラックヤードの写真。フォークリフト用のパレットにラッピングされている。国際空港便の標準的なラッピングだ。それも典型的な日本のやり方。赤十字のキャンプに運び込まれたのは、こっちを隠すためのカモフラージュで、もっと莫大な量が直接日本からこのNGOに送られているようだ。

あさこ:個人でできるレベルじゃないですよね。

元:送り先がトルコの国境付近ならトルコに詳しい人でもわからない。あそこからなら空路でサウジアラビアまではすぐだ。サウジに入ってしまえば追跡もできない。日本も含めて各国の外務関係者では知られたことかもしれないな。

あさこ:はがゆいですが、しばらく封印ですね。

元:朋美には申し訳ないが、今は政府関係者と揉めるわけにはいかないんだ。

あさこ:報告書では、物資がシリア側に一部流れている可能性がある と、しておきます。

元:ういかが、朋ちゃんすぐに帰りたがってたって言ってたな・・・早くに情報を掴んでたのかもしれないな。

朋美が命がけで私たちに残した宿題をいつか必ず解決するよ。



*最終章は、著者がアフリカで経験した実体験に基づいて小説化しています。現実には、このようなことは行われていないと、信じたいですね。*



著者は、アフリカでのボランティア活動の実体験で、日本からの援助が、本当に困っている人には届かず、その途中で支援物資を横領している実態を見た。帰国後、様々な団体について調査したが、日本の支援を100として、50%以上の金額が、支援対象者に届けられている団体を見つけられなかった。横領だけでなく日本のスタッフ、現地スタッフの給与さえも支援物資の現金化で賄われるのがあたりまえのようだ。それぞれのスタッフも生活があるから当然の話かもしれない。ただ、支援物資を提供する人からしたら100万円寄付して、90万円はスタッフの給料で、10万円がワクチン代になっていると知れば、何と思うだろうか・・2023年7月には、こんな話は、小説だけのフィクションだと信じたい。エンジェルライフ本編に戻って、そちらも最終回が近そうです。

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