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⒍家族④

「おはようございます、お義母様、ソフィーユ、フィルス。」

朝食の席にて、私は到着するのが最後だった…。寝坊したせいね。絶対。

しかし、お義母様たちはまだ朝食に手をつけていなかった!私を待ってくれたそうだ。お父様と違って優しいのう…。お父様は待たずにサッサと食べちゃうお方だもの。


「おはよう、レイヴィア」

「おはようございます、お姉さま」

「…おはようございます、姉さま」

フィルス…昨日はごめんね。新人フィルスに前からいる私が案内してもらうなんて…。


…私が席についたので、朝食がスタートする。今日は私考案の、中力粉モドキを使ったフワフワ丸パンと新鮮トウモロコシを使ったコーンスープ、サラダなどなどだ!


まさか5日でフワフワ丸パンが食べれるとは思わなかったよ…。

どれもこれも、私のレシピ&作ってくれた公爵家有能シェフ&中力粉探してくれためちゃくちゃ有能侍従様たちのおかげです…。

好き勝手させてくれるお父様にも感謝…。まぁ、あの人の場合は大人しくさせるために好き勝手させてくれてるだけだけどね…。



―――って、あれ? 何か、おかしい。


…お義母様たちの朝食だけ、フワフワ丸パンではなくて、この前までの固いパンだ。デザートのフルーツも、お義母様達の分はない。


あぁ…いびりが起こるとは思ってたけど、いざ起こると―――呆れしか浮かばない。


ガタッ


イスから立ち上がって、とある使用人を睨む。もう、犯人は分かっている。

「…なぜお義母様たちの朝食は私と違うのかしら?」

「さぁ、私は知りませんよ、レイヴィアお嬢様」

言い訳すんじゃないわよ、このボケが…!――と、高位なご令嬢じゃなかったら言いたい。


――この公爵家の高位な使用人、フランチェスカ。今はもう亡きお母様の専属メイドだった方。…私はこの人が嫌い。お父様を見る目は、獲物を狙う狼のようなベタついた視線で…正直キモかったから。

あぁこの人お父様好きなんだな、と一瞬で分かった。

……だからこそ、お義母様が早く妻の座から退いてほしいのだろう。


嫌なやり方…。…いいわ、なら私はもっと嫌なやり方であなたを貶めてあげる。


他人の評判なんてどうでもいい。だって、私は皆に嫌われる運命なのだから。


「フィルスとソフィーユとお義母様とフランチェスカ以外、全員廊下で待機してて」

「…分かりました」

専属メイド、イリアに命じる。イリアは何か言いたげだったが、渋々言う通りにしてくれた。



「――さて、フランチェスカ。正直に言ってね。貴方が、これをやった?『はい』か『いいえ』で答えてね」

お義母様たちの朝食を指さして、フランチェスカに問う。


「はい」

「あら、やっぱりフランチェスカだったの」

「えぇ、レイヴィアお嬢様のお望みとあらば、もっとしてさしあげましょう」

そう言うフランチェスカの声には、野望が滲んでいる。


「うーん、そうねぇ」

コツコツと靴音をたてて、フランチェスカに近付く。悦が滲んでいるフランチェスカの表情は…私的には超絶気持ち悪い。


あぁ…なんて愚かなフランチェスカ。


いま、貴方は私に気に入られて、私の側付きになって、お父様に気に入られて、お父様の妻になって…という野望を夢見ているのでしょうね。まったく…魂胆が見え見えなのよ、フランチェスカ。


馬鹿すぎて、言葉が何も出てこないわ。


「フランチェスカ…」

「はい、レイヴィアお嬢様」

本当に、気持ち悪い。愚かな野望を抱いて、人をいびって、何がしたいの?まったく…。

明らかな、期待が込められている声音が気持ち悪い。


「クビよ」

「…はい?」

フランチェスカに反論の余地も与えず、廊下に控えさせていた衛兵を呼んで拘束させた。


…本当に、嵐のようだった。


――…ていうか、フィルスたち怖がらせちゃってたらどうしよう…!!


「……あ、あの、これは!」

さきほどのフランチェスカのように震えて恐る恐る振り返る。


しかし、お義母様達の表情に浮かんでいたのは恐れではなく、キラキラとした

表情だった。


「お姉さま、かっこいい…。」


…予想してた展開じゃなくって良かった~。…むしろ、ちょっと嬉しい!!


「あの…姉さま。ありがとう、ございます。」


フィルスが念願のお姉さま呼びをしてくれて、思わず表情が明るくなる。


「――いいのよ!それより、食事を続けましょう。」


そんな私たち姉妹弟をお義母様はニコニコと見ているのであった。


すぐに、予備で用意されていたフワフワ丸パンとかが運ばれました!

仲良く頂きました。ごちそうさんです。



ちなみに、フィルスたちが食べる予定だったフワフワ丸パンたちは、ごみ箱で発見されました。これを知ったレイヴィアは、食べ物の仇と言って、拘束させられたフランシスカに一発かまそうとしましたとさ。

侍従たちが必死で止めてできなかったけどね。



◇◇◇

「お姉さま~!一緒に遊びましょう!」

「…僕も」


あれからしばらくが経ち、私は可愛い可愛い弟妹と、素敵なフィーお母様と、楽しく過ごしています。



「あら~、お姉さまを狙う不届きお兄様じゃないですか~」

「…姉さまに抱き着く不届きものはソフィのほう」

「これぞ同性の権利、ですわ!」


何やらソフィ―ユとフィルスは、よく一緒に話している。私には内容が分からないけど。


私の暗殺計画とかだったら嫌だな…。


そう思う、今日この頃です。




――しかし、そんな平穏な日々が続くわけも、なかったのである。



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