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⒚深い夢

ねえ、知ってる?


単純で難解な、バカらしい愛が絡まって出来たお話。


――え、知らないの?じゃあ、教えてあげるよ。


深い深い、夢の中。 浅い浅い、水の中。 沈む沈む、雪の中。 煌めく煌めく花の中。 囁く囁く新緑の中。



誰もかもが忘れてしまった、その場所を、愛していた者は探し続ける。


見つかるはずが、ないというのに。


忌み子しか、その場所にたどり着けないというのに。


だから、どんなに血眼になって探しても、むだ。



『私が死んでしまったら―――。』


とある貴婦人は願った。



自分のお墓が見つけられないようにと。



『必ず、見つけ出すっ…!』


とある男は誓った。



愛した者が眠る場所を、見つけ出すと。



『シル…なぜ、自分を隠すんだ…?』


なぜ?


そんなのは、シルフィ・フィジー・シャルラムしか知らない。


深い深い、夢の中。 浅い浅い、水の中。 沈む沈む、雪の中。 煌めく煌めく花の中。 囁く囁く新緑の中。


そんな場所に、今も変わらず、あのお方は眠っているのだから…。


◇◇◇


『おとうさん、どこいくの?』

『あぁ、出張だよ。』

うそだ。しゅっちょうなら、そんなにうれしそうなかおじゃないし、きれいなふくをきたおんなのひともつれていかないもん。


『ねぇ~。はやくいきましょっ!』

『そうだね、行こうか。…そうそう、食べ物は冷蔵庫とかに入れてあると思うから。』

『…はい。いってらっしゃい、おとうさんたち。』


ガチャリと閉じられた扉が、一瞬差し込んだ日の光を遮る。ほこりっぽい部屋の匂い。かびが生えた台所。夏の蒸し暑い熱気。ぶかぶかの服を着た、部屋に独りの誰かの姿。



あついな。


さみしいな。


おとうさんたちは"しゅっちょう"じゃなくて"りょこう"にいってるんだろうな。


きれいだけどおとうさんがいなくなるとこわいおんなのひとがおしえてくれたもん。



おんなのひとは、おとうさんがいないとき、いろんなことをおしえてくれた。


わたしがじゃまだってことも、いらないってことも…ほかにもいっぱいおしえてくれた。



こわいかおで、わたしを"なぐられる"っていうおべんきょうをさせながら、いろんなことをおしえてくれた。



狭い世界しか知らないから、それが間違いなんて気づけない。



…幼い頃の私は、そんな子だったな。



――レイヴィアはどうだったんだろう。悪役令嬢になって、最期は破滅してしまったあなたは、どんな幼い時期を過ごしていたの?


◇◇◇


……久しぶりに、前世の夢を見た。


カーテンの隙間から光が差し込んでいる。



『あなたはいらない子なのよ。』


『俺の前から失せろ。』


前世の私と、レイヴィアがかけられた言葉は、まるで呪いのように、べたべたと絡みついている。



目覚めたはずなのに、睡魔が襲ってきて、私はまた眠ってしまった。



◇◇◇



「お嬢様、起きてください。」


あれ~?今日は特に何もない日…たぶん…。


一回起きてからの二度寝さいこう…。布団だいすき~。


「お嬢様、起きてください。今日は別荘に行く日ですよ。」

べっそう…べっそう…?べっそ…う…別荘!!


「……あぁぁぁっ!」


すっかり忘れてたけど、そういえば今日って出かける日だった…!


そういえばルイシス様との町歩きの時も同じ感じだった気が…。デジャヴ…。



「お嬢様、出発は昼前なので、大丈夫ですよ。アヴィと一緒に最速かつ完璧に準備致しますね。」

「ありがとうイリア…!そしておはよう。」

「敬愛なるレイヴィアお嬢様のためなら、何でも致します。そしておはようございます、レイヴィアお嬢様。」


うぅ…。いつもありがとうイリア…。そして毎度寝坊しがちですみません。


◇◇◇

「お嬢様、温かいお飲み物をお持ちいたしました。」

「ありがとう、アヴィ。」


もうすっかり優秀な執事になりつつあるアヴィが持ってきてくれた温かいハチミツレモンティ―を飲んで、ほっと一息つく。今は冬の始まりらへんだから、美味しくって温かいハチミツレモンティ―が余計体に染みるのよ…。


「アヴィ、ルカッタさんにこの紙に書いてあるもの貰ってきてください。」

「分かりました、イリア先輩。」


イリアとアヴィは、アヴィパシられすぎな件を除けば結構良い先輩後輩関係を結べている。


うんうん、皆仲良しが一番!


……そして私の身支度は整い。



無事に時間通り出発できたのだった。


◇◇◇

外は雪が降り積もっている。前世ではあんまり雪を見れなかった私はじっと外を見つめる。


今回の旅行先は王家御用達の別荘があるところらしい。


楽しみ……!だけども。


「王太子殿下、他の馬車にお乗りになっては?高貴な王太子殿下ともあろうお方が、こんな窮屈な馬車でよろしいので?」

「お気遣いありがとうございます、ソフィーユ嬢。気持ちだけ受け取っておきますね。」

「あら、遠慮しなくても良いのですよ?」


…だけども、なんか馬車内で謎の論争が先程から繰り広げられているのです。


フィルは持ち前の無口さを発揮して完全に黙っていて、ソフィは謎の論争をルイシス様と繰り広げている。



……うん、雪。雪、綺麗。雪大好き。



私、毎度思うんだけど…。



ソフィとルイシス様とフィルって、なにで争っているのかしら…。



ブクマなどなど、ありがとうございます(*- -)

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