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⒗町歩き(という名のデートらしい)②

ブクマなどなど、ありがとうございます(*- -)

――ここって、ヒロインの親が経営してるお店…!


…見間違いかな?――と看板をもう一度見るも…。


『デ・ミレーヌ』


――可愛らしい外見をしたお店にかかる看板には、変わらずそう書かれていた。



◇◇◇

「いらっしゃいませ。お席へご案内しますね」

――ヒロインの母!

白い髪のヒロインと違って茶色の髪だけど、淡いピンクの瞳は一緒…。そしてヒロインと同じく美人…!


案内された窓側の席に座り、メニュー表を見る。どれも美味しそう…。


「レヴィはどれにしますか?」

「…決まらないです」

迷いすぎ人間でごめんなさい…。道も迷いすぎだし、選ぶのも迷いすぎで、すみません…。


「では私が選んでも?」

「お願いします…」

私が選んでたら、悩みすぎて朝になってるような気がして来たので…。


「では、これに「こちらおススメです!」


フワフワサラサラの白い髪に、淡い桃色の瞳…。


ヒロインの、ファナレア・ミレーヌだ…!



心の準備が出来てない…。――というか可愛すぎ~!この可愛さならルイシス様も目がハートに――。



―――なってない⁉ 似非スマイル崩さずに接してる…!



いやでも、隠しキャラでもあるアヴィはきっとメロメロに―――。


…と少し離れた所に座って待機しているアヴィを見ても。


―――メロメロになってない!?…むしろ、げっそりした感じになっているような…。



予想の反応と全く違う…。


「――で、これは私もお手伝いするんです!」

「そうなのですか」

「デザートもサービスしちゃいますね!」

「いえいえ、気持ちだけ受け取っておきますね。」


――少し会話を聞いてみて思ったが…ルイシス様素っ気なさすぎる!!え、ヒロインちゃんだよ?!


けれどもなかなか二人の会話が終わらないので、メニューを見返したりしていると、ファナレア母がキッチンから――。


「ファナレア!そろそろ戻ってきなさい!他のお客さんも待っているでしょう!」


――ユリシス王国にあることわざ、妖精も激怒すれば鬼と化す。…その瞬間を見た私だった。


◇◇◇

ファナレアが邪魔をしてしまったお詫びに、と食後についてきた、おまけのデザートを食べながら、私はルイシス様と話していた。


「――レヴィは何を買ったのですか?」

「アズキと大豆とお米です!あと、ソフィとフィルとフィーお母様へのお土産です!」

実は、他にもプレゼントを三つ買っている。…後で渡すつもり!


「シャルラム公爵閣下にはお土産を買わなくて良かったのですか?」


素朴な疑問のように聞いてきたルイシス様。――だけど、私は重いダメージを受けてしまって。


「――あ、あまり関係が良好ではないので…。…この前も、喧嘩してしまいましたし。」

ずっと、悲しくない、別に嫌われてもいいから、と何でもないことのように封じていた思いが、溢れてくる。


「あのシャルラム公爵閣下とですか?」

――しかし、ルイシス様の驚いた顔で、変なグルグルの感情もどこかに行ってしまった。


「えと…はい」

「…レヴィはシャルラム公爵閣下が嫌いですか?」

「――分かりません」

これは本当に分からない。だって、前世の私の父と、今のお父様は違う。…だけど、嫌いかどうか、と問われたら、それはまた別の話になる。


「……私はお父さんがだーいすきですよ!…家族ですし!あ、これデザートです!サクランボ、オマケでトッピングしておきました!」

「レヴィ、こっちのトッピングがのっている方たべますか?」

なにやらルイシス様に言われていたけど、…いつの間にか現れたファナレアに言われた言葉に、私は「家族なのに、お父さんが好きじゃないの?」と言われたような、気がした。

……無自覚で言った言葉なんだろうけど…。考えすぎかな。



か、かんがえすぎ…だよ、ね。



――家族が好きじゃないの? ――親不孝者! ――家族も大事に出来ないのか!


言葉が頭で反響する。


…違う。私は大事にしていないわけじゃない。前世の親は、好きになれなかった。暴力も振るってくるし、食事だってろくにくれないし…。



『――子供なんだから耐えるのは当たり前だろう!』


…いつの日か、暴力を振るわれるのが嫌になって、口答えした幼い私に、そう、父が言っていた。



ごめんなさい。ごめんなさい。親不孝で、ワガママでごめんなさい。


「や、やっぱり、家族は大事にしないとですよね~!」

「――レヴィが家族を大事にしていないとでも?」


ルイシス様がそう言う声。…そう、大事に出来てない。前世の家族も、今世の父も、母も、大事に出来なかった。これからも、大事に出来ないかもしれない。


「いえ…そんなことは言っていないです!」


そう言うファナレアの声。――そうだよね、特に意味はなくて、無自覚だったんだよね…。



――自分は何故、勝手に妄想して、勝手に回想して、勝手に怖くなっていたのだろう。


…バカみたい。



だんだんと、落ち着いてくる。声も正常に聞こえるし、心配げに見ているアヴィの顔も、ぼんやりとではなくはっきり見える。



「ファナレア!いい加減に――」

「あ、いっけな~い!また来ますね~!」

「もう来なくて良いですよ。忙しそうですし」


――だいぶ余裕が持てて、心配そうに見ているアヴィに手を振る。


アヴィが安心したように微笑んで…その後すぐ、ファナレアに話しかけられていた。



「――レヴィ、大丈夫でしたか?水でも飲みますか?」


…ふふ。


ルイシス様の気遣いが嬉しくて、思わず頬が緩む。



「…いえ、大丈夫です!」


――もう、大丈夫。前世から、あの人たちが、前世の家族が、追ってくることは、きっとないから。



「それよりルイシス様、これを――」


ルイシス様にサプライズしようとしたプレゼントをポケットから取り出して、渡そうとする。


――そう、ソフィたち以外のプレゼントの三つの内、一つはルイシス様用なのだ!それで、もう二つは、イリアとアヴィ用。



ビシャリ。



ハチミツとレモンの甘酸っぱい香りが広がったような気がした。ひんやりと冷たい感触が、頬を伝る。



「――あ、ごめんなさい!転んじゃって…!」


ファナレア…ドジっ子な所も可愛い…。…しかし、こんな能天気な思考は、壊されることになる。



「あ、帽子が濡れちゃいましたね…。洗って返すので、貸してください!」

「い、いや…大丈夫です…!」


この帽子を取られたら、藍色の髪を見られてしまう…!レイヴィアだって身バレしてしまう…!



――けれども、帽子は取られてしまい。



ハラりと藍色の髪が落ちる感触が分かる。



「あ…」


思わず声が漏れてしまったのは、仕方のないことだろう。



――今や店内の人々は、私に注目してしまっていた。



…たくさんの、視線が私を絡めとる。…その感覚が、気持ち悪くて――。



レイヴィアが藍色の髪を隠すのに被っていた帽子を手にして、可愛らしくオドオドとしているファナレアの口角が上がったのを見ていた人はきっと、いないだろう。



毎日投稿は無理かもだけど…一日空け投稿は出来るように頑張ります(*'▽')

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