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⒓獣人③

『――誰か、助けて…。』


そう救いを望んでも、救われることはなかった私と、似てたから。


私は、彼を助けようとしたんだ。



「……そう。これは、ただの自己満足、だから…。」


ラスルには、過去の私とは違って、幸せに、幸福に生きて欲しかったから。…本当に、これはただの自己満足。


「……生きなさい。死ぬなんて考えないで、生きなさい。」

少し驚いているような表情のラスル。


その顔にも、ちらほらと傷跡がある。…ラスルの頬に手で触れる。痛そうな傷跡。…痛そうではなく…本当に、痛いのだろう。


「――…痛いは、苦しい。独りぼっちは、悲しい。…そんな日々では、毎日生きることより、死ぬことを、考えてしまう。とめどめもなく、涙があふれる夜だってあったし、生きることが苦に思えて、こんな日々から逃げだそうとしてしまうときも、あった。」


――そうでしょう、過去の私。


「……だけどそれでも、今こうして生きているのは、救いを待っていたから。いつか、いつかと…希望が、どこかにあったから。――…自己満足だと思われてもいい。私は、あなたが生きようと思える日々を与えるわ。」

ラスルの深緑の瞳から、水晶のようなきらめきが零れていく。


「……今までお疲れ様。もう、大丈夫だよ。」

ラスルの、かすかに震える細い身体を抱きしめる。一度はびくりと身を強張らせたが、すぐに力を抜いた。


「……名が無いのに、傷だらけなのに、半端な人なのに…っ。……いいの、か?」

「…それを言うなら、私だって、不吉な藍の髪で高飛車とかいう噂が流れているほどよ?…こんな私でも幸せに暮らしているのだから、あなたはもっと幸せになれるわ。」


ラスルが落ち着くのを待って、ラスルに問う。


「――ねぇ、これもただの自己満族なのだけれど…あなたに、名前を付けてもいいかしら?」

「自己満足なんかじゃ、ない。…付けて、くれ。」


…名前。許可されるなんて思ってもいなかったから、少し驚いたけれども、頑張って考える。


「……アヴィ。…アヴィとか、どうかな?私の名前、レイヴィアだから、ヴィアの反対で、アヴィ!…あ、気に入らなかったら別に――。」

「気に入ってなくない、から。…それでいい。」

目元がほのかに赤いアヴィ。…そう、それでいい。これからは、感情にフタなんてさせないし、辛い想いなんて味あわせない。


「――アヴィ、これからよろしくね!」


ブクマなどなど、ありがとうございます(*- -)

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