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⒒獣人②

「ル…シスル様!」

ルイシス様って言いそうになった…。危ない…。


「レヴィ、大丈夫でしたか?…そちらは?」

ルイシス様が心配気な表情から怪訝そうな表情になった。


「……。」

「…はぁ、分かりました。」

潔く引いてくれるルイシス様に感謝! 何か、言いたくなかったので…。…あ、そんなことより――。


「ルイシス様、本日はもう公爵亭に帰ってもよろしいでしょうか。この子の傷を、治療したいんです。」

「…駄目ですよ――」

…なら、意地でも帰ってやる!!


「――といってもレヴィは帰りますよね。」

「……はい。」

「所詮は他人ですよね?といっても――レヴィは意地でも帰りますよね。」

「……はい。」

「僕にはなぜ、レヴィがそうあれるのかが分かりません。…ですが。」

で、ですが……???


「…それがレヴィなので、仕方ないですね。…もちろん、帰ってもいいですよ。」

「ありがとうございます!」

それでは馬車が待ってくれているところまで歩いて行きます、とルイシス様に言うと、付いて行くと言われた。


道中、とくに話すこともなく、私は先ほどから押し黙っている、連れて来た子をチラリと見る。


獣の耳が生えていて、黒髪の深緑の瞳をしている。獣人なのかな。でも、尻尾は生えてないし………って、あれ?


明るいところで見て見ると、何か、どこかで見覚えがあるような…。



黒髪、深緑の瞳、獣の耳…。



…しばらく考えていると、一人の人物に思い当たった。…いやでも、まさか――。もしそうなら…破滅フラグが!!!


恐る恐る、右隣を歩く連れて来た子に質問する。


「…えと、どうして尻尾がないの?」

「…母が人間で、父が獣人だからです。」


――すぅ…。確信しちゃいました…。


この子は――ハナネガの隠しキャラの一人…ラスル。悪役令嬢レイヴィアの、執事である。

イメージフラワーは、白のゼラニウム。


◇◇◇

隠しキャラであっても、それでも新たな攻略対象に出会ってしまったことに、鬱々としながら、御者の手に手をのせ、馬車の階段に足をかける。


「――レヴィ。」

どよどよとしていた私に、ルイシス様が声を掛けた。振り向くと、ルイシス様が微笑みを称えながら、私に聞いてきた。


「…また、町歩きをしましょうね?」

疑問符がついているはずなのに、強制感が溢れている…。


断れるはずもなく、こくこくと頷く私であった…。


◇◇◇

ルイシス様と別れて馬車に乗り込む。ソフィとフィルは後から手配される公爵家の馬車に乗せられるらしい。私とラウスは急ぎなので先に馬車に乗って帰る。


…馬車の中に沈黙が続いた。ラウスは下を向いて黙っているし。


さてどうしようかしら、と考えていると、ふいにラウスが言葉を囁いた。


「……して。連れて来た。」

…どうやら、なぜ連れて来たのかを聞いているらしい。


「…助けたかったからよ。」

「…そんなきれいごとばかり述べて。本当は俺に何をして欲しい?何の見返りを求めている?」

「何の見返りも求めていないわ。」

「嘘だ。そんな都合のいい話、あるはずがない。」

――人を、信じられていないのだなと思う。でも、信じてもらえなくってもいい。だって、信じて欲しいなんて望んでいないもの。


「…別に私を信頼しなくてもいいわ。あなたが抵抗しても、私はあなたを連れていく。あなたが抵抗しても、私はあなたを助けるわ。…虚栄心を満たすだけだと思われても、ね。」

図星だったのか、私を睨むラウス。


…存分に憎んで恨んで、信じないでいればいい。


だってこれは、全て私のためだもの。私が勝手にしていることだもの。


「――…どうして、俺を助けようと思っている。」

「――あなた、痛くないの?苦しくないの?辛くないの? …死にたいと、思わないの?」

「……あぁ。…だけど、それが何だ。あんたには関係ないだろ?」

「――そうだよ。これは、ただの自己満足なんだ。だから、私をどう思ったって良いんだよ。」

素の口調が出てしまう。


……そうだ。私が彼を助けようと思ったのは。


――過去の私が、似てたからだったんだ…。


ブクマなどなど、ありがとうございます(*- -)

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