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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約5年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性が極めて高いです。予めご了承下さい。

僕があなたを弔う日〜親愛なるスカーレットへ。深淵より愛を込めて〜

作者:ドハーティ
究極の方向音痴が災いして、スカーレットは奇妙な森に迷い込んでいた。

そこは仄暗く、生暖かく、湿っぽい風が絶えず吹いている。

これまでの世界とは根本から違うようだった。
土に根を張れなかったのか、根を剥き出しにした花が前を横切った。
そこの低い枝では、片翼しかない番の鳥が抱き合って飛ぶ練習をしているが、毎回墜落している。

そこへ胡散臭い猫がやってきた。
「おい、そこの赤髪、罪の象徴。
どうやってここに来た?」
彼女はそれが一番分からなくて困っている。

猫は着いて来いと合図しているが、何者かに引き止められた。

「そっちは、奥まで続いてて更なるカオスです」
彼女を引き止めた少年だ。
手足が折れそうな程に細い。

「カオスへ行けばもう帰れないですよ」
「私は帰れるのかしら?」
少年はタキシードにシルクハットという出で立ちで、どうしてそんな礼装を着込んでいるのかが気になるが、その疑問は後回しにする事にした。

「うん、僕と一緒なら」
いいかな?
と俯き加減で自信がなさそうに言う。

「そう」
スカーレットは踵を返し、来た道を戻ろうとしている。
「勝手にすれば」
少年はパッと明るい笑顔を灯してスカーレットの隣を歩く。

「道案内してくれない?方向音痴なの」
「知ってる。全然違う方向に向かってるよ」
「…そう」

この奇妙な森を抜けて、その先にはスカーレットが生きる世界が広がっていた。

朝日に透けた彼女の髪は、より一層鮮やかに輝いた。
色褪せた森で生きてきた少年にとって、衝撃の色彩だった。

「名前、教えて」
「…スカーレット。あんたは?」
「僕に名前はないんだ。
ずっと昔あったかも知れないけど、忘れた」
「ふーん、変なやつね」

「この世界には、あなたの赤い髪より美しいものはある?」
「もちろん、たくさん、ね」
スカーレットは笑った。

逆光を受けたその姿は、女神と見紛う程で、少年はスカーレットに神秘を見た。


これが、世界を慈しむ旅に出た2人が織り成す、冒険譚の始まりである。
プロローグ
2020/02/29 21:59
【1】荒野を渡る
2020/02/29 22:02
【2/上】恐喝の町
2020/03/01 13:05
【2/下】恐喝の町
2020/03/02 12:21
【3】草原を渡る
2020/03/03 12:08
【4/上】薔薇の街
2020/03/04 13:08
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