ドレスはどれに
ウエディングドレスはどれに
しようかと、
彼女は思案していた。
伴侶になる彼に聞くと、
好きなのを選べばいいよと
微笑んで、優しく口にする。
こだわりなどは、ないのだ。
なるほど。
彼には、こだわりはないだろう。
結婚式は、花嫁のもので、
花婿は、脇役だからね。
ひとつだけ言えるとしたら、
ウエディングドレスはどれに
しようかと、
脇役だって考えるのが、
結婚するってこと。
二人並んで、どう見えるのか。
トータルなバランスを思案して、
リーズナブルを求めることが、
暮らしてゆくこと。
彼女がこれから、
幸せを、ずっとずっと感じ
られますように。
彼がこれから、
幸せを、もっともっと感じ
られますように。
祈るしかないのは、
誰の身になっても同じこと。
人は、繰り返し、繰り返し、
それぞれ、涙を受け持ってゆく。
喜び、悲しみ、労り、労い、
また案じ。