秘密の会議
「さて、ならこれからの方針を話して行こうと思う」
そうマナがいうとタナトスが
「それで彼の本当の能力は何だったのですか?」
と言ってきた。
「気づいてたの?」
「えぇ、わざわざ封印までしてらっしゃったので、それにしてもそこまで危険な能力なのですか?
この世界で天授を封印するのは死に直結してしまうことなのですよ?
私達がいなくなった後に危険な目にあってしまったら危ないのでは?」
「いや、そこは大丈夫だと思う。
田上くんの天授の一つ適応力はなかなかにいいものだからね。
本人は気付いてないようだけど、僕ここに来るまでに徐々にスピードを上げていったんだけど彼ついてこれてたしね。」
「なるほどそういうことですか。
対応力つまり慣れるのが早いということですね。
だからマールスと一緒に訓練に行かせたんですね。
マールスはこの世界で魔法を使わないなら一番の武道家ですからね、彼の動きについて行けるようになったのなら安心することができますね。」
「そういうこと、それと彼の能力についてはまだ秘密にしとくよ。
変な考えを起こされても困っちゃうしね。でもこれだけは覚えといて…」
「彼の能力が発動されてそれを使いこなされたら僕でもただではすまないと思う。」
「マナ様をですか?
それはいささか言い過ぎだと思われますが、マナ様を倒すということはこの世界を存在ごと消すよりかも難しいのですよ?」
「だからそういうことなんだよ」
そうすると今まで黙っていたテミスさんが
「やはり最初の予定通り彼を消してしまった方がよいのではないですか?」
「それは駄目だ!!」
そうマナが怒鳴り付けた
「いっただろう彼も一人の人間なんだ!生きているだぞ!それを危険だという可能性だけで消す訳にはいけない。」
「マナ様、マナ様が見た未来をもう一度我々に見せては頂けませんか?」
タナトスがそういうと
「わかった。これを見てまた改めて考えて見よう」
そうして空間にいろいろなシーンが写し出された。
一つ目は田上が奴隷のように扱われて使い物にならなくなったら殺され映像。
二つ目は悪神に召喚されて感情を消され寿命をなくされ教会の兵器として何百年、何千年と扱われる姿。
三つ目は魔族のとある国に召喚され体の自由を奪われ意識はあるのに操り人形のように人を殺し続けさせられて心が壊れていく姿…。
そしてそれと同じらいひどい未来の可能性を99回見たあとの100回目それは田上が全種族を殺し世界を壊し頂点に君臨する姿だった……。
「テミスが彼を消そうと言っている理由はこれだろう?」
「はい、そうです。
まだ99回目までだったら私も彼をここまで危険視しなかったでしょう。
むしろ保護しようと思ったはずです。
ですがこの未来の可能性とマナ様でさえただではすまされないという能力があるなら話は別です。
この世界の掟を壊してしまう可能性が少しでもあるなら彼を消してしまうのが一番いいかと…」
その言葉にマナも迷ってしまう。
テミスが言っていることは何も間違ってはいないからである。
だが、マナも短い時間ながらも田上の人柄の良さは理解しているつもりである。
なのになぜあのような未来が起こってしまっているのかが分からない…。
少しの間沈黙が続くと今まで口を閉ざしていたフォルが急に話しかけてきた。
「あの、マナ様」
「うん?どうしたんだい?」
「あの、最後に出てきた田上さんなんですけど、なんだかあの田上さんだけ違うような気がしたんです。」
「どういう意味?」
「はい、ご存じの通り僕の目は真実を見通すことができます。それで最後の映像だけはなんだか違う気がしたんです。
確かに体は田上さんで間違いないんですけど中身が今の田上さんとはまったく違う気がしたんです…」
「そうか…」
それを聞いたマナはいろいろな仮説を思い浮かべたが確信に至るところまではなかった
「それでテミス今のフォルの話を聞いて少しは考え直す気になったかい?」
「……はい、私もフォルの能力は信用しています。
なので今どうこうしようとは思いません。
ですが少しでもこの世界に危険をおぼよす可能性が出てきたら間違いなくてをうちます。
それまでは私も彼のことでの協力はしましょう」
「ありがとうテミス。タナトスもそれでいいかい?」
「はい」
「それじゃあこれで今回はお開きだ。みんなお疲れ様」
そうして各々自分の部屋に帰って行った。
「さてどうなるかな…」