王国での出来事
これは田上とマナが森で話し合っていた頃と同時刻他の国の出来事である。
【王国】
「これは一体どういうことなのだ!!」
すごく豪華な椅子にふんぞり返ってそばにいる魔法師たちに怒鳴り散らしていた男はとてもイラついていた。
召喚に成功したと思っていたのにそこには何一つなかったのである。
「なぜだ、なぜなにもない!?召喚は確かに成功したのではなかったのか!?」
この偉そうな男…この国の国王は異世界から勇者を召喚し他国との戦争や魔族への対抗として勇者を強制的に働かせて使い潰そうと目論んでいたのだ。
だがこうして失敗と終わり後に残ったのは、勇者を召喚するために使った費用のみであった。
「ええい、魔法師団長を呼んでこの状況を説明させよ!!」
こうして国王に呼ばれた魔法師団長はまだまだ若く見える青年のような男であった。
「何ようですかな国王様?」
「勇者を召喚したのに何も召喚されておらん!これは一体どういうことだ!?」
「ご安心下さい、既に勇者の居場所は突き止めております。ただその場所がなんとも厄介な場所でして…」
「どこなのだ?」
「この国よりはるか東にあるあの大きな森でございます。」
「なに!?、あの森と言えば我が騎士団でもてこずるような魔物が数多く存在し、何よりあの物達が拠点としておるところではないか、そんな場所にいては死んでしまうのではないか?」
「まだ反応が消えていませんので死んではいないとは思いますがそれも時間の問題かと…」
「どうすればよいのだ。
あそこに入って無事にかえってこれるようなやつなどほとんど存在せんぞ。
まずまず好んで入るやつなど知っているやつであれば誰もおらんぞ。」
「そのことなのですが、冒険者に依頼するのがよろしいかと思われます。
あの森は危険だと国から言っているから入るものはおりませんが、多少報奨を高くして高ランクの冒険者パーティーに頼めば受けるものは多少は居るかと…」
「そうか、ならその方針で話を進めるようにしておけ、いざと言うときには我が騎士団も動かせるようにしておけ。」
「仰せのままに」
国王は歪んだ笑みを浮かべたまま召喚された勇者を使って世界を統一することを夢見ていた…