1週間後の悪気のない事件
君客人生キミシダイ2
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「ここまでしたんだから後はキミシダイ」
今日も私は彼に話しかける、現実のような夢の中でね。
彼女が家に来てから1週間が過ぎた。
春風は、今日も幸せそうだ。しかしこれではつまらない、そろそろ事が起きる頃だろう。
「観客の皆様お待たせ致しました。今日の、最大イベントは彼女を慰める事となっております。ここで彼女にどんな言葉を掛けるのかが最大の魅力となっております。
さぁ!ご覧あれ、猫飼と春風の人生の別れめを!」(純愛を見せてくれたら私は満足よ…)
7
「優衣〜起きて!約束の日!」
名前を呼ぶと彼女の耳と尻尾がピクっと動く、動作が猫そっくり…。
「優衣!」「後5分…」
こんな時は…。彼女の耳を触る。
少し硬い感触の裏に柔らかい毛が私の手を、刺激して触り心地がかなりいい…。
「や〜耳触らないで…、ひゃ!もう〜起きるから…」
眠たそうに横を向いた彼女が布団から出て、地面に降り立つ。
「おはよう優衣」「おはよう優太」
3日前にデパートのゲーセンに遊びに行くと約束した日が始まる。
耳と尻尾が生えた、猫耳族の幼なじみと共に。(付き合えるかは…私次第か…)
8
21XX年でも、生活はそんなに進歩していない人々は普通に歩いて自分で何もかもする。過去にAIが流行った時期もあったが、
人類全員が馬鹿になって辞めたらしい。
その影響は今でも残っている。
だから生活の技術は、全く進歩していないのだ。
「ゲーセンか…ちょっと音が怖いかなぁ…」
「防音帽子持ってきたよほら」
猫耳族っが全くいない理由2
耳が非常に良くなる
何と人間の4倍も聴覚が上がるのだ、一応コントロールは出来るのだが…。
彼女はまだ耳の聴覚をコントロールするのに慣れていない、これがまた難しいらしい…。
「耳元で叫ばれたりなんかしたら、頭に残響がかなり残るんだよね〜」
「耳を防音帽子で隠して、尻尾は服で隠れてるんだから猫耳族って多分バレないし音も大丈夫なはず…」
ちなみに
(防音帽子とは、会話を聞きたい相手を設定してそれ以外の音をあまり聞こえないようにする便利な帽子、デメリットは脱げやすいこと)
優衣には帽子を付けた位の環境音が丁度良い
音量らしい。
9
「久しぶりだなぁゲーセンター」
「悪役みたいな台詞ね、子供の時から言動が変わってなくてよかったぁ…」
悪気なく言われたが、かなり精神的に来た。
そんなことより…、21xX年でもこのデパートのゲーセンのゲームはあまり変わっていない…。
何しろ店名が(古き良き時代に帰ろう)何だ。今では殆ど見なくなった自動販売機や、
人が掃除を行なっている。
「あ…優太が好きだったシューティング
ゲームあるよ」
「やる?」「やる〜」
シューティングゲームの内容はシンプルだ。
出て来た敵を手持ちの銃で撃つだけ。
とゆうか20年前…私…シューティングゲーム何てやってたっけ?
自分の記憶力には自信がない、多分幼なじみの優衣の方が記憶は正しいだろう。
「昔から思ってるんだけど、シューティングゲームってさ難しくない?一回100円だけどその分、初見殺しが多くて」
「昔私が同じ事言ったら敵の出てくる位置さえ覚えれば簡単って言ってたの誰だっけ?」
「過去の事を持ち出すのは卑怯…」
雑談してる間にゲームが始まった。
内容は、秘密兵器を隠し持った国にエージェントが調べに向かう、そんな感じ。
「これは無理だろ!」
「右に2人左に3人捉えた!」
アーケードゲームで偶にある初見殺しを彼女は素早い反応速度で容易く突破していく。
ちなみに今の状況は、遮蔽物がない中敵50人に囲まれている。ダメージを防ぐには、敵を倒すしかない。
「優太!右から敵 後5秒でダメージ食らうよ!」
「りょ…了解」
そういえば昔張り込んでたから分かるんだけど猫耳族になるメリット1に、
サケッドとかゆう能力が追加されるって、
種族変更病院に書いてあったな…。
ちなみにサケッドとは人間の目より、
素早く動く物を簡単に捉えられるようになるらしい。
「はい!ゲームクリア」
殆どの敵を優衣が倒してゲームクリア、
EDの後に倒した数が表示される。
その数500人中450人、普通なら1000円位かかるゲームを100円でクリアーしたのだ。
オンラインの銃撃戦ゲームなんかやらせると凄いことになるだろう…。
「凄いな…オンラインゲームの銃撃戦とかやったら優勝間違い無し…」
「卑怯な事はしたくはない、そんなことをする為に猫耳族になった訳じゃないの!あれは皆んな同じ条件でやるから楽しい…んだよ」
「なんか…ごめん」「じゃあ奢って!」
「え…」
彼女の演技力も優勝レベルだ…。
10
あ〜感触が気持ちいい…。最高の気分。
「触り心地最高…」
「ひゃあ!ひ…悪かったから ひゃん!
耳…触らない…で…あ…凄…もう…だ…」
何だか変な気分になりそうだから、隠してる耳を触るのは止めよう。何故か分からないけど気持ち良さそうだし…。
そういえばもう12時か彼女の耳を撫で始めたのが11時45分位だから15分も撫でてたのか…。
「はぁ…やっと解放された…」
「何か食べに行こう、フードコートで
いい?」
「いいよ〜」
昼時と日曜日とゆう所が重なり、フードコートは人で溢れていた。
「優太帽子抑えてて、私ドジだから帽子落としそう」
「大丈夫だよ」
(周囲には子供しかいないし、ぶつかる心配はない 大丈夫だろう)
その時だった、近くの13歳位の子供が彼女の足にぶつかった。
後悔してももう遅い。
ゆっくりと彼女が倒れる、倒れる瞬間に帽子が脱げて耳が私の視界に映った。
「痛った〜君…大丈夫?」
「御免なさい」
素直に子供が謝るそこまでは良かった。
そこまでは…。
「お…お姉さん…猫耳族⁉︎」
「猫耳族だって…⁉︎世の中に誰も居ないと言われていた種族…」
「私猫耳好きなんだよね〜、お姉さん少しだけ触らせてお願い!」
「俺、猫耳大好きなんだ…」
どれもこれも自分勝手な欲望で彼女を触ろうと近づいてくる。
「猫耳族… 心読まれますよ…」
「私、猫アレルギーなんだけどまじありえないんですけど…」
物語通りの解説をして、噂話をする馬鹿も沢山いる…。
「この状況…私のせい…?」
心拍数が彼女を初めて見た時まで上がる…。
「や…全部聞こえるから…やめて…お願いだから!お願いします!やめてください!」
小声で喋る群衆に土下座で頼み込む優衣。
彼女には、私以上に人の会話が聞こえてんだろう。
「ふふふ…優太君この状況どうするの?
君のせいだよ」
何処からか声が聞こえる、幻聴か?
「優衣を外に連れ出すだけさ…」
最悪のイベントが今発生している。
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彼女を連れ出して建物の外に出る、これだけでは済まない頭に防音帽子を被せる…。
「う…うぇ…うわ〜ん」「優衣ごめん」
泣く彼女に対して謝ることしか出来ない自分は、明らかに選択を間違えている。
それから10分後…
「優衣…落ち着いた?」「う…うん…」
「御免なさい…優衣、私があそこで抑えていれば…」
「優太なら、他の人と違って私をしっかり守ってくれると思っていた…、私の勘違いだったみたい」
優衣は、夢を両親や周りに語った時のような目で私を見る…。
君もやっぱり私に失望するのか。
私が悪いんだけどね…、少し長く夢をみすぎた。そろそろ起きて絵を描かないと。
「うん…君の勘違い、私は君を守れない…」
「優太…今までありがとうね…私ね優太
なら私のことを理解して守ってくれると信じてたの…… さようなら」
彼女が去るのを私は見守る事しか出来ない、
すまないな女 私は付き合う事なんて向いてないようだ。
彼女を止める言葉すら見つからない…。
私の彼女への想いなんてこの程度だったんだな。
猫耳族と暮らした3日間楽しかった。
「3日間だけだけど、いい夢を見れた。
ありがとね女神様、ばいばいこの世界
どうせ夢なんだから何をしようと私の自由だ」
目が覚めれば、また普段の生活に戻るんだろう。
「これが私の生き様さ、本当にありがとうね」
私は仕返しの為にフードコートに向かう、
何処から持ってきたのか私の手にはナイフがある。
「皆さん、優衣を虐めた罰です!ご覧下さい!」
自分の喉を刺して彼は今死にました。
果たして優太は優衣を救えるのでしょうか?
私には不安しかありません…。
「本番は頑張ってね優太君」
今の時刻は、8時もうすぐ本番が始まる時間です。
申し訳程度の未来要素…。