不安
ヴェリダルとヴェリダルの攻撃を防いだ綾太は睨み合い、静寂が続く。
そして最初に口を開いたのはヴェリダルであった。
「貴方、どうやって私の攻撃を防いだのですか?少なくとも盾を持った人間風情が防げる攻撃ではなかったはずですよ。」
「教える筋合いはねぇよ。お前の攻撃が人間風情より弱かっただけじゃねぇか?」
露骨にヴェリダルを煽る綾太は嘲笑った表情を浮かべている。
しかしそんな安い挑発にヴェリダルが乗るわけもなく冷静な対応をされてしまう。
「その様子だと何か隠しているみたいですね。いいでしょう。私がそんな余裕と共に吹き飛ばしてやりますよ。」
そう言ってヴェリダルは右腕に力を込めて盾を殴る。
金属を殴る鈍い音が響き渡る。
「・・・・・なんだ。そんなもんか?」
あっさりと攻撃を受けきった綾太は余裕そうな顔をしている。
綾太は今身体能力の魔法と手のひらの摩擦を最大限に上げている。そして何よりも盾の意思から得た盾の知識を最大限に使い、最適な姿勢、最適な持ち方、最適な衝撃の流し方を行ったのである。
「まさかこんなにあっさりと受けるとは思いませんでしたよ。これは人間への認識を変えなくてはいけませんねぇ。」
綾太から5m程距離をとったヴェリダルは口元に手をあて考えるように言うのであった。
そんなヴェリダルから目を離さないまま後ろに居るメリアラたちに真剣な声で告げる。
「メリー。ステラを連れてノエルたちと逃げろ。」
「駄目だよッッ!!!そんな危険なことさせられるわけない!!」
今にも泣き出しそうなメリアラは綾太の片腕を掴み離れようとしない。
そんなメリアラと綾太は眼を合わせて宥めるように言った。
「大丈夫だよメリー。俺には奥の手がある。直撃させられれば倒せるはずだ。」
「・・・・・。」
それでも不安そうに綾太の腕をギュッと掴むメリアラ。
「俺が信じられない?」
その言葉にメリアラがピクッと反応する。そして恐る恐る綾太の腕から手を放すのであった。
「・・・・・・絶対に負けないでね。約束だよ。」
「おう。任せとけ。」
薄く笑顔を浮かべた綾太を見て、安心した表情を浮かべてメリアラはティーナがステラを治療しているところまで行くのであった。
そして綾太は再びヴェリダルを見据える。
「話し合いは終わりましたか?」
律儀に話が終わるのを待っていたヴェリダル。
「・・・・・ああ。もう待つ必要はない。」
少し間をあけて返答する綾太は先程のメリアラとのやり取りの面影は一切なかった。
その返答を聞いたヴェリダルは一気に綾太との距離を詰め始めた。
距離を詰めたヴェリダルは盾で防ぎきれなさそうなところ見つけては攻撃しラッシュのようになっていた。しかし綾太はそれを全て見切り、ガードを成功させていく。
「なかなか当たらない物ですねぇ。なら、これはどうですッ!!」
今までで一番力の籠った拳を放つ。
「精霊の愛した朽ちぬ盾ッ!!」
盾から青い障壁が現れる。その障壁は難なくヴェリダルの攻撃を耐えるのであった。
そして防ぎ切った綾太を見て驚きの表情を浮かべるヴェリダル。
「70%を耐えますか・・・。なかなかやりますね貴方。」
「・・・・・そりゃどうも。」
今のが全力の70%と考えると綾太は余裕の表情が崩れそうになった。
綾太にとって無詠唱で使えるようになった精霊の愛した朽ちぬ盾は奥の手の一つなので、こんな早い段階で使わされたことに焦りを感じているのである。
「それじゃあここからは私も手加減なしで行きます。80%以上を耐えきれますかね?」
雰囲気の変わったヴェリダルは構えるのであった。




