盾持ちの主人公
エストゥアンスとヴェリダルの争いを遠くで見ていたメリアラとステラは冷や汗をかいていた。
「「・・・・・・。」」
エストゥアンスとヴェリダルの争いはもはや次元が違っていた。戦闘面おいてはなにひとつ勝ち目がないと思ったステラはノエルとティーナに逃げるように伝える。
「早くここから離れるわよ。あんなの次元が違いすぎる。」
「離れるって何処に行くのよ?」
「とりあえずここから離れた何処かよ。急がないと四人とも皆殺しにされる。」
表情が真面目そのものであるステラにノエルとティーナは賛成するしかなかった。
その場を離れようとしたその時、メリアラが焦りの混じった声で告げる。
「皆ッッッ!!戦闘準備ッッ!!!!!」
メリアラは地面に足をつけると、戦闘態勢に入る。
メリアラの向く方向からは高速で何かが迫ってきている。そしてそれは四人の前で止まる。
「・・・・貴方達、天使ではありませんね?」
四人の前へ重圧に似た殺気を放つヴェリダルが現れる。そしてヴェリダルは四人を一人ずつ見ていくとそう言った。
「しかもなかなか興味深い者が一人いますね。」
そう言うとヴェリダルは地に足を付け、ステラの方へ向かう。
ヴェリダルとステラの距離が僅か三メートル程になる。
「この独特な魔界特有の魔力・・・・。もしや貴女、魔王の血族ですか?」
「・・・・・。」
「・・・・・無視ですか、まぁ私が魔王様の魔力を間違えるはずもないんですがね。いやぁ嬉しいですよ、初代魔王様が魔界を出て行ってからというもの魔界の状態は最悪でしたからね。さぁ現魔王様、魔界に帰りましょう。今すぐは帰りませんが、任務を果たしたらお連れ致します。」
膝を付け、頭も下げた状態でステラに話しかけるヴェリダル。そんなヴェリダルを見て動揺する四人。しかしステラは直ぐに冷静さを取り戻し、対応する。
「どなたか存じ上げませんが私は魔界に行くつもりなどありません。魔王という名ももう捨てた身です。」
キッパリと断ったステラに対して顔をゆっくり上げるヴェリダル。
「「「「「ッッッ!!!!」」」」
四人は恐怖する。ヴェリダルの表情は憤怒一色であった。他には何もないただ怒りを滲ませた表情であった。ただそれが何の混じりもない純粋な怒りだったからこそ周りの空気は重圧感が増した。
「魔王名を捨てた・・・。魔界の王たる証である魔王名を・・・・・。そうですか・・・・だったら・・・・。」
ヴェリダルは一瞬でステラとの距離を詰める。突然すぎてステラは防御が間に合わない。
「もう貴女に用はありません。魔王の名を捨てたことを地獄で悔やんでください。」
ヴェリダルの腕がステラの腹を貫通する。辺りは赤一色で染まる。ヴェリダルは何の躊躇もなく手を引き抜きステラを蹴り飛ばす。
そしてメリアラたちの方を向くと殺気を向けて言う。
「次は貴女たちです。見たところアレの仲間みたいですしね。」
アレとはステラのことだろう。ピクリとも動かないステラを見てメリアラの怒りは最高潮に達した。そして怒り任せにヴェリダルに飛び掛かる。
「怒りに任せた攻撃が当たるとでも?」
メリアラがナイフでヴェリダルを切り裂こうとするが全て躱される。そしてヴェリダルはメリアラの腹を貫こうと拳を握り、メリアラの腹めがけて拳を振る。
しかし怒りに飲まれるメリアラでも、戦闘のプロに変わりはなく、その一撃をかすらせる程度で済ませる。だが、かすっただけでもメリアラは大きく吹き飛ばされる。
メリアラが飛ばされ、悲痛の声を漏らしているとヴェリダルは再び接近して拳を振り上げていた。
その瞬間メリアラはの時間はゆっくりになる。頭を狙った逃れられない一撃。ノエルは弓を放とうとするが間に合うはずもない。ティーナは顔を手で覆っている。
そして爆音と鈍い音が土埃と共に辺りを包む。
「・・・・・・悪い遅くなった。」
メリアラたちには聞きなれた青年の声。土埃が晴れる。そこには重厚な盾を持った綾太がヴェリダルの一撃を防いでいた。
「ここから先は・・・・俺が相手だッッ!!!!!」
主人公は立ち上がる。




