双子の魔界人
プリミステラと緑のローブの女は瓜二つの幼い魔界人の少年たちと向かい合っているのであった。片方の少年は左腕が真っ黒でもう片方の少年は右手が真っ黒である。
「ねぇニラ、ぼくはあっちのおねーさんがいい!」
「駄目だよナラ、ボクがおねーさんと戦うの!」
ニラと呼ばれた左手が黒い少年とナラと呼ばれた右手が黒い少年はプリミステラ達と戦う前に二人で言い争いを始めてしまう。
「不人気者だね、プリミステラ。」
緑色のローブの女は静かにプリミステラにしか聞こえないぐらい小さな声で言った。
「やはり年配の男よりも可愛げのあるゲールの方が人気があるんじゃなぁ。」
「変なこと言わないで、吹き飛ばすよ。」
冗談を言うプリミステラにゲールは少し呆れた声で返答する。
そしてプリミステラとゲールは暫くニラとナラのやり取りを見ていると、二人は結論が出たのか口喧嘩をやめた。
「ボクはおねーさんと戦いたい、でもナラもおねーさんと戦いたい。」
「ぼくもニラもおじさんとは戦いたくない。
「「なら、二人でおねーさんをやっちゃえ!!」」
飛び掛かる二人の息はピッタリで、ほぼ同時にゲールに襲い掛かった。
しかし二人はゲールにたどり着くことなく吹き飛ばされた。
二人はそれぞれ地面に叩きつけられ悲痛の声を出した。
「「痛ったーい!!」」
地面に叩きつけられた二人は即座に立ち上がった。
「なんで届かないのさ!!」
「ニラ!アレを見て!」
ゲールに届かなかったことに文句を言っているニラにナラは声をかけてゲールの方を指差した。
ナラの指をさした方には暴風を纏うゲールがいた。
「その程度なの・・・?」
ゲールは余裕そうな表情を浮かべて風の力で浮かんでいる。
「おねーさんムカつく!!」
「ムカつく!!」
二人は飛ばされたことが余程嫌であったのかゲールを見る目が好奇心から殲滅対象を見る目へと変化していた。
「・・・・。」
いきなり怒り出した二人を見続けるゲール。しかしそこに二人のとてつもない殺気が飛んでくる。
「やっぱりナメすぎてたみたいだねナラ。」
「風の大精霊、嗜好と慈愛のゲール。大精霊は伊達じゃないねニラ。」
「じゃあぼく達も本気で行くしかないよねナラ。」
「暴れちゃおうよ、団長もいないしさ。」
そう言って二人は黒くない方の手を繋ぐと禍々しい魔力が二人を包みだす。
「「行くよ!おねーッッッ!!!!!」」
二人はゲールに仕掛けようとしたが、二人の周りの土が隆起して彼らを押しつぶした。
押しつぶされた二人を見届けたゲールはプリミステラの方を見る。
プリミステラは何事もなかったかのようにただ佇んでいた。そんなプリミステラはゲールの視線に気づくと頭を搔きながら口を開いた。
「なんじゃお主?奴らと戦いたかったのか?」
「別に・・・。」
プリミステラ質問に素っ気なく返事をするゲール。そしてゲールは長い間をあけて再び口を開いた。
「どっちにしろ、アイツらはまだ生きてる。」
ゲールがそう言うと地面がボコッと音を立てて僅かに揺れ、そこからニラとナラが地面を突き破って現れた。
「すっかり忘れてたねニラ!!」
「そうだねナラ!!」
「土の大精霊、起源と恩恵のプリミステラは自分が地面に足を付けているときは常に警戒しなければならないって団長が言ってたよねニラ!!」
「それじゃあ今度こそやろうかナラ!!」
「「血祭りにあげてあげるよッッ!!!」」
二人はプリミステラとゲールを回り込むように走り出す。二人は同じ速度、同じ体制であった。
「年季の差を見せてやるわい!!」
「・・・・。」
プリミステラとゲールは殺気立つ二人を迎え撃つように構えるのであった。




