第二回商店街バトル
ミエスタ戦が終わってから平穏を手に入れた綾太たちトレノブの町に帰って暇を持て余していた。
「なぁノエル?」
ソファーにもたれかかりながら綾太は質問する。
「何よ。」
机にぐでっと倒れ込んで暇そうにしているノエルは返事を返す。
「精霊王っていつ出てくるんだ?」
長老に精霊王が出ると言われてから早一か月。精霊王の影も形もこの世界に現れていなかった。
「綾太さんはそんなに精霊王に出てきてほしいんですか?」
聞いていたティーナが話に参加する。
「別にそう言うわけでもないけど、出るなら早く出てきてほしいなって思ってさ。」
「面倒ごとにならないに越したことはないでしょ。」
「まぁそうだけどよ。」
メリアラとステラが出かけている為懐かしの初期メンバー三人で話している。
「それにしても懐かしいですねこのメンバー。」
ティーナは新たな話題を持ち込む。
「確かにそうね。いつ以来かしらこの面子で揃ったのって?」
ノエルは机から体を起こす。
「商店街バトルの時以来じゃないっすかねヒモ神さん。」
綾太はニマニマとした笑みを浮かべる。
「な!?忘れたときに思い出させるなんて性格悪いわね!!」
ノエルは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして言う。
「そう怒んなってヒモ神。」
「そこまで言うならいいわよ!もう一度バトルするわよ!ティーナも参加する!!」
「またですか・・・。」
そしてここに第二回商店街バトルが始まった。
精霊の愛した朽ちぬ盾を売ってくれた店に一人の男が駆け込んだ。
「おやっさぁぁぁぁぁん!!!!俺を雇ってくれぇぇぇ!!」
この店で二度目の綺麗な土下座を決める綾太。
「またか坊主。久しぶり会えたと思ったら雇えだって?」
作業の手を止めて綾太を見る。
「頼む!!」
再び地面に頭を擦りつけた。
「しょうがねぇな。最初の仕事わかってんだろ?」
「ありがとうございまーす!!」
店の奥へ掃除用具を持って飛び込む綾太であった。
一方町の診療所には一人の小柄な少女が来ていた。
「なるほど。回復魔法が全部使えると?」
説明を一通り終えたティーナは悩む医者の男を見ていた。
「お願いします。」
ティーナは頭を下げてお願いしてみる。
「・・・よし。いいだろう。今日から三日間よろしく頼むぞ。」
医者の男は最終的に承諾した。
そしてノエルは町で再び行われている狙い撃ち大会に来ていた。
「次こそ優勝して・・・フフフ・・・・。」
優勝者は十万コインの札を見て不敵な笑みを浮かべていた。
そして三日が経過して三人は家のリビングで睨み合っていた。
ヒモ神を掛けた戦いの二回戦の為に三人は集結していた。
「今回は私から出すわ。私の収入は十万コインよ!!」
ノエルはドヤ顔で十万コインの入った袋を机に出した。
「これで脱ヒモ神よ!!」
腕を組んで高笑いをするノエル。
「次は俺が出す。前回同様2000コインだ。」
綾太の腕は若干震えていた。当然自分がヒモ神になるのかもしれないという恐怖からである。
「・・・ごめんなさい綾太さん。五万コインです。」
申し訳なさそうに五万コインの入った袋を机に出すティーナ。
「・・・・。」
綾太の目は点になる。
「じゃあこの不名誉な称号は貴方に引き継ぐわね、二代目ヒモ神さん。」
ノエルは肩にポンっと手を置いてくる。その顔はとてもニヤニヤしたものであった。
「嫌だぁぁぁぁ!!!」
頭を抱える綾太であった。
そして落ち着いた綾太はソファーにもたれかかりながらティーナに質問した。
「なぁティーナ。何で前回よりもそんなに稼げてるんだ?」
ティーナはそれにビクッと反応する。
「・・・自分の口からは言いづらいのですが、私は診療所で働いていたんですけど。初日は全然人が来なかったんですけど二日目以降沢山怪我した人が来たんですよ。」
ここまで聞いた綾太は疑問しかなかった。
「それで仕事帰りに小耳に挟んだんです。診療所に新しい娘が入って、その娘は優しく扱ってくれて可愛いと。」
自分でこんなことを言う恥ずかしさからティーナの顔は赤さを増す。
「・・・納得した。」
ティーナが優しく看病してくれる姿を容易に想像できた綾太は直ぐに納得した。
そしてその日の夜、ノエルは綾太がヒモ神になったことをメリアラとステラに話した。
「・・・。」
綾太は羞恥のあまり顔を隠している。
「綾太がヒモ神か・・・。僕は一向に構わないよ。」
メリアラの優しさと笑顔が眩しいと感じる綾太。
「綾太君。ヒモって男の最底辺だと思うの。」
ニッコリとした笑顔で告げるステラ。
「グハッ!!」
綾太に言葉の刃が突き刺さった。
第二回商店街バトルは幕を閉じた。




