終戦へ
黒いオーラを手に色濃く纏ったミエスタは、メリアラのブラッドダガーと打ち合っていた。
「その程度か吸血姫?」
傍から見れば互角の戦いに見えるが、実際はメリアラが押されていた。
ステラは魔力を犠牲者の報復にすべて使った為戦いを眺めることしかできなかった。
「綾太君・・・。」
押されるメリアラがいつまで耐えられるか分からないステラには、綾太たちが加勢に来ることを祈るしかなかった。
「・・・・つまらんな。」
その言葉を言うと徐々にミエスタの勢いは増していく。
「うぅッ!!」
メリアラの状況はどんどん悪くなる一方である。そんなメリアラは一度ミエスタから距離をとり大技に出た。
「鬱陶しいからこれで終わりにさせてもらうよ!!ブラッドサクリファイスッッ!!!!」
終わらない絶望では外した時の隙が多い為メリアラはブラッドサクリファイスで決めにかかった。
「フッ!!」
ミエスタの両手から放たれた黒いビームはブラッドサクリファイスを相殺した。
その光景に唖然とするステラとメリアラ。
「お終いか・・・?なら大人しく死ね。」
先程の倍ほどの黒いビームが両手を包んでいる。その黒いビームはメリアラの前に放たれた。
「・・・ッッ!!!」
避けれぬと察したメリアラは目を閉じることしか出来なかった。
「メリアラちゃぁぁぁぁんッッッ!!!!!!!!」
ステラの悲鳴はメリアラに黒いビームが当たる直前に響いた。
「くぅぅぅぅぅ!!!!!」
メリアラは当たる直前にブラッドサクリファイスを展開して何とか堪える。
「うぅ!!りゃぁぁぁぁ!!!!」
全魔力をブラッドサクリファイスに注ぎ込み何とか弾き飛ばす。
弾き飛ばした後メリアラは膝を地面につける。
「もう・・・魔力が・・・・。」
「魔力が尽きた貴様らに勝ち目などない。」
再び黒いビームを放った時一つの影がメリアラの前に立った。
「全ては守り、助けるための力、再誕せよ!!精霊の愛した朽ちぬ盾ッッ!!!!」
黒いビームは精霊の愛した朽ちぬ盾の前では見事に弾かれる。
「綾太・・・?」
「遅くなってわるい。でもここからは俺に任せろ!!」
「そのセリフはもっと強くなってからだよ・・・。」
皮肉を言うメリアラの表情は喜びに満ちていた。
「人間二人とエルフが一人か、それで?貴様ら下等生物に何ができる。」
「精霊の愛した朽ちぬ盾は完全悪には絶対的な力を発揮するんでね。お前と俺じゃあ相性最高だぜ。」
「黙れ下等生物。その自信、粉々に砕いてやろう。」
手に黒いビームを再び纏って綾太に向ける。
ミエスタが黒いビームを放とうとした瞬間、魔力で出来た矢が八本ミエスタの腕に刺さった。
「綾太の自信を砕く前に自分の心配をしたらどうなの?」
「流石ノエル!いいタイミング!」
「御託は後!私が後衛でチマチマ矢を当てるから、綾太は何とか前衛を張って!」
「任せろ!!身体は鋼、鋼は硬く時に柔軟、折れることなど知らぬその強靭さを超えれるものはいない!鉄を凌駕した鋼を今我が身と共にッッ!!!!」
身体強化の魔法を使用した綾太は盾を握りしめたままミエスタへ突進した。
「単調な。」
「身体強化を舐めんなよ!!」
両手で左右別々のホーミングする黒いビームを放たれたが身体強化のおかげで見事に避けると黒いビームがお互いがぶつかり合い相殺される。
「おっらぁぁぁッッ!!!!」
盾の横薙ぎの攻撃をミエスタへと直撃させる。
「ぐううッッ!!!」
「綾太!!そいつは魔力自体は回復したけど今まで僕たちが与えたダメージは蓄積されているはずだよ!魔力を使われる前に倒しちゃええええ!!!!」
「おう!!」
メリアラからのアドバイスを貰った綾太は盾をその場に置き、蹴りや殴打を連続してミエスタに当てる。
「ぐあ!」
「今だノエル!!」
綾太がその場で屈むとミエスタの体に数本の矢が刺さる。そして矢が刺さるのを確認した綾太はミエスタの足元の摩擦を無くし転ばせる。
「これで止めだぁッッ!!!!!」
屈んだ状態から立ち上がるのと共に盾を拾うと、転んだミエスタに向かって両手で盾を振り下ろした。その攻撃はミエスタの腹へと直撃するのであった。
「ガハッッ!!」
ミエスタの口から真っ赤な血が出る。
そしてこの戦いに終わりが訪れた。
ミエスタを倒した綾太はメリアラの魔力回復を待っていた。
「アイツの丸ごと消し飛ばすにはメリアラの魔法が一番手っ取り早いものね。」
「傷は治っても魔力の回復は遅いですからもう少しお待ちください。」
メリアラとステラの治療をするティーナ。
「それにしてもこれで終わったんだな。」
綾太が疲れ切った表情になると、倒れたはずの男の声が聞こえた。
「本当にそうかな?」
地に背を向けたまま倒れるミエスタ。
「魔王軍幹部全員が貴様らの村に向かっている。私に勝てたところで貴様らの村は消える。」
フッと勝ち誇ったかのように笑うミエスタに五人は苦笑いを浮かべた。
「魔王軍幹部かぁ。」
「今更そんなのがあの人たちに挑んだところでねぇ。」
「気の毒です。」
「悔しいけどあの人たちは本物の強者だからねぇ。」
「魔王様に同感だよ。」
上から綾太、ノエル、ティーナ、ステラ、メリアラの順番で答える。
一方エトゥン村では。
「ゆ、許してくれぇ。」
「おやおや魔王軍幹部ともあろう方が命乞いですか?」
トミノは魔王軍幹部の一人の頭を掴んで浮かばせている。
「許しを乞うぐらいなら初めからこの村を襲撃しないことです!」
勢いよく地面に叩きつけた。
「元気なのはいいけど怪我は程々に頼むわ。」
「先程の戦闘で拳の少し傷が入っただけですよ。」
ニサはどんなに小さな怪我ですら即座に回復させる。
「こっちも終わったぞ。」
「「流石です長老。」」
回復が終わると共に長老がトミノとニサの元へ歩いてくる。
三人が一か所に立つとその周りは倒れた魔物ばかりだった。
魔王軍幹部。メリアラとディルを抜いて12人、その数をたった三人で倒したのである。
「それにしても綾太君たちは無事でしょうか?」
「今頃親玉を倒して居るじゃろう。」
トミノの疑問に長老が答えるのであった。長老の言葉には綾太たちへの信頼が見えた。
「さて魔力も溜まったしそろそろぶちかますよ。」
メリアラは倒れているミエスタへと手を向ける。
「これで終わりだミエスタ。」
「ブラッドサクリファイスッッ!!!!」
綾太のセリフが合図となりメリアラのブラッドサクリファイスがミエスタを包み込んだ。
そしてミエスタを飲み込んだ後に残ったもには何もなかった。
「「「「「・・・・・。」」」」」
長い戦いが終わった為全員に一気に疲労感が襲った。そしてそんな中綾太が口を開いた。
「疲れたし帰ろうぜ。」
その言葉に四人それぞれが返事を返すのであった。




