報復
実は最近新しい小説を作ろうと思っています!まだ色々と悩んでいるので確定ではないのですが、完成したらそちらも見てくれると有難いです!!
「もう立って大丈夫なんですか?」
「おう。ティーナのおかげで完全回復だぜ。」
しばらく回復の処置を受けていた綾太の傷は完治していた。
「ならさっさとステラのところに向かうわよ。メリアラ一人じゃ心配だわ。」
綾太の治療中にやって来たノエルは先に回復をしてもらい戦力が十分になった為メリアラをステラの元へ行かせたのである。
「あの二人が負けることなんてそうそうないとは思うけどなぁ。」
「そうかもしれないけど、何だか嫌な予感がするのよ。」
ノエルの顔は真剣そのものであった。
「そうですね。メリアラさんが着く前にステラさんがやられて、その後メリアラさんが負けるということが起きるかもしれませんし。」
「そんな的確な・・・。」
「まぁ善は急げよ。」
会話が終わると共に三人はステラの元へ向かうのであった。
「どうしました魔王様?動きが鈍くなっていますよ。」
霧の間を紙一重で抜けてくるミエスタは、ステラに細々とした傷を徐々に与えていくのであった。
「調子に・・・・乗るな!!」
ステラの怒りの混じった声と共にミエスタは霧に包み込まれた。
霧に包まれて暫く静かになったが、ミエスタはこの程度で負けるような男ではなかった。
霧を全て前方のミエスタを挟み込むのに使ったステラの背後はガラ空きであった。そしてその隙を逃すはずもないミエスタは霧に挟み込まれたと見せかけ、ステラの背後に回っていた。
「隙だらけですよ魔王様!!」
ステラは背後の気配に気づき避けようとするが、聖剣はステラの背中を縦に大きく切り裂いた。
「・・・・ッッッ!!!!!!!」
言葉にならぬ痛みがステラを襲う。
「致命傷には至りませんでしたか・・・。しかしどうです魔王様。貴女の自己再生を無効化させる聖剣の能力はまだ残っていますよ。」
「・・・・・。この程度で・・・・・・・勝ったつもり。」
ステラの息は上がり、果て無き闇は破られ、深手も負ってしまった。もはや勝ち目など微塵もないステラはまだ強気で威嚇する。
「それでこそ魔王様です。最後は華々しく散らせてあげましょう。」
ミエスタは聖剣を振り上げ詠唱を始める。
「生きるか死ぬかの裁定はこの輝きの一撃で決まるだろう。裁定の時は来た。運命の裁定!!!!」
その一撃は黒く澱んだものであった。その澱みは生きるか死ぬかではなく、死の選択肢しかないと告げているようであった。
「陰影はやがて暗黒に、狂気の漆黒は闇をもたらす、飲み込め!果て無き闇ッッッ!!!」
前方へ霧を手中させて放つ。
黒と黒のぶつかりは澱んだ黒の方が上をいくのであった。
「さようならです!!魔王様!!!!」
更に勢いの増した澱みのある黒はステラを包み込んだ。
辺りが一面静寂に包まれる。そんな中一人の男の高笑いが響いた。
「ハハハハハハハッッ!!!私の勝ちだ!!もう魔王はいない!!魔王軍の司令権は完全に私のものになった!!」
満面の笑みを浮かべて喜びを露わにするミエスタ。そんな中土が少し盛り上がった。
「・・・・。まだ生きていたのですね魔王様。しぶといお方だ。次は確実に仕留めてあげます。」
聖剣をギュッと握りステラへ一歩一歩近づく。一方ステラは膝立ちの状態から何とか立とうとする。
「守りは要らぬ、その肉体はひたすらに耐えるのみ、耐えた先に残るものは一つ、怒り。怒りは時に耐えた痛みを凌駕するものへと変換する。逆襲をこの一撃へと込める。」
ステラはブツブツと詠唱を唱えるが、ミエスタは聞こえていないのか、どんどんステラへ近づき、とうとう聖剣の当たる距離まで着いた。
「さようなら魔王様。」
冷たい声と共に振り下ろされる聖剣。
しかしその聖剣はステラへ触れることはなかった。
「犠牲者の報復。」
固有魔法の詠唱が終わると、ステラを中心に赤い膜が衝撃波となり辺りを吹き飛ばした。
「ぐうッッ!!!」
衝撃を至近距離で受けたミエスタは奥へ吹き飛ばされる。
ミエスタが奥に吹き飛ぶとステラはゆっくりと立ち上がった。
「・・・・この一撃をもろに受けたわね?犠牲者の報復は今まで受けてきたダメージを倍以上の力にして返す技。もう貴方は立つことも儘ならないはずよ。」
「・・・・・・・。」
ステラの言葉へ返事すら帰ってこない。
「私の勝ちね。」
「それはどうでしょうか?」
勝ちを確信したステラであったがミエスタは一瞬にしてステラの背後に回り聖剣を横薙ぎに払った。
しかしその攻撃はステラに届くことはなく、ステラの眼前ギリギリで止まった。
「・・・・予想以上に早いご登場ですね。吸血姫・・・。」
「・・・・。」
聖剣を振り下ろした右腕を無言で聖剣ごと鎖で縛るメリアラ。
「メリアラちゃん・・・?」
かすれた声でメリアラの名を呼ぶステラにメリアラは柔らかな笑みを返すと、直ぐに真剣な顔つきになった。
「下がっていて魔王様。こいつは僕が片付ける。」
殺気を出すメリアラにミエスタは怯えもせずただじっと見ていた。
「ブラッドサクリファイス。」
ブラッドサクリファイスにミエスタは包み込まれていった。
二度目の静寂が訪れる。しかし先程とは違い、二人の男女ではなく、二人の少女が今はこの場に居るのである。
そして静寂を破るようにメリアラが口を開いた。
「随分とやられたね。」
体中の傷を見ながらメリアラは言う。
「そう言うメリアラちゃんは大丈夫だったの?」
先程と同じようにかすれた声で言うステラ。
「僕の方は楽勝だったさ。他の三人は傷を負ってたけどね。特に綾太。」
メリアラが話すとステラは嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ皆生きているのね?」
「うん。傷は負えども皆生きているよ。」
「それは良かったわ。」
安堵する姿を見て微笑むメリアラであったがその表情は一気に真剣なものへと変わった。
「全員生きているだと・・・?使えない部下共ダァ・・・。」
そこには半身を失ったミエスタが立っていた。その半身からは血ではなく黒い霧の様な物が出ているのであった。
「魔王様下がって。」
「私もまだ戦えるわよ。」
疲れ切ったステラであったが、その表情にはまだ戦えると強い意志が見えた。
「じゃあ援護は任せたよ。」
そんなステラの顔を見たメリアラは断り切れずそう言うのであった。
そしてメリアラが攻撃を仕掛けようとした瞬間ミエスタは口を開いた。
「以前にも言ったが、王座には先代魔王たちの魔力が蓄積されている。そしてその魔力を吸収して黒く染まったのがこの聖剣。最早これは魔剣だがな。そんな魔剣の魔力を全て魔剣使用者に移したらどうなると思う?」
淡々と語るミエスタの言葉には敬語は無くなっていた。
「マズイッ!!」
メリアラは急いでミエスタへと近づくが遅かった。
「私の奥の手だッッッ!!!!!!!」
残っている半身の手で握る聖剣の魔力を吸い上げる。
「ぬおおおおおおおおッッッッッ!!!!!!!」
衝撃波と共にメリアラとステラは吹き飛ばされる。
そして魔剣から魔力を吸収するミエスタの半身と体の傷は徐々に回復を始め、もう完治しようとしている。
「さぁ歴代魔王たちよ。私に力を捧げるのだッッ!!!」
最後の吸収を終えたミエスタの周りは黒いオーラが包んでいた。
「・・・・・。」
ミエスタは先代魔王たちの魔力を失い輝きを取り戻した聖剣を捨てると、無言で手から黒いビームの様な物を出して聖剣を消滅させるのであった。
「魔王様構えて、今度は守り切れるか分からない。」
メリアラはミエスタから溢れる膨大な殺気に冷や汗をかく。
「・・・次こそ貴様らを葬ろう。」
ミエスタのその言葉と共に再び戦いは始まるのであった。




