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復讐者

「意外とやりますね、守ることに関してはですけど。」

キリュドガの剣戟をひたすら盾を使って弾いたり避けたりする綾太に称賛の言葉が贈られる。

「攻めはあんまり趣味じゃないんでね!」

綾太の言葉と行動は全く一致していなく、綾太は盾を使ってキリュドガを弾き飛ばすと、盾を使った横薙ぎの攻撃を仕掛ける。

「そうですね。攻撃は三流以下です。」

易々と避けるキリュドガは綾太に剣を振り下ろしカウンターをするが、綾太も易々とキリュドガの攻撃を避ける。

「三流以下か・・・・。それはこれを受けてからにしな!!」

盾を前に構え詠唱を始める綾太。

「身体は鋼、鋼は硬く時に柔軟、折れることなど知らぬその強靭さを超えれるものはいない、鉄を凌駕した鋼を今我が身と共にッッ!!!!」

詠唱が終わると綾太を中心に出た衝撃波がキリュドガを後退させる。

「さぁ・・・・。第二ラウンドと行こうぜ。」

綾太の周りは電流が走っているが如くバチバチとなっている。

「図に乗ると痛い目見ますよ、三流さん。」

キリュドガの挑発に乗った綾太は見事に真っすぐ突っ込んで行った。

「三流の意地は伊達じゃねぇぞ!!」

跳び蹴りを放つ綾太だが、キリュドガは避け攻撃を仕掛ける。

「甘い!」

盾でガードした綾太は右フックを放つが避けられる。

「甘いのはそちらです!」

キリュドガは綾太の足元に横薙ぎに剣を振るが、綾太はジャンプして避ける。

「オラァ!!」

「くぅ!」

ジャンプをした状態でキリュドガに蹴りを放つと、見事腹に直撃する。そして僅かに後ろに引き隙ができたところを見逃さず追撃を仕掛ける。

「うおッらぁぁぁぁ!!!」

盾をキリュドガの横腹に向かって振る。

「がはッッ!!」

キリュドガの肺の中の酸素が一気に吐き出される。

「まだまだぁ!!」

地面に足を付け姿勢を直そうとしたキリュドガの足元の摩擦を無くし転ばせると、サッカーボールを蹴るようにキリュドガを蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされたキリュドガは一度倒れるも立ち上がろうと膝立ちの状態になる。その口元には血が見えていた。

「・・・・・・・降参するか?」

「冗談言わないでください。ようやく貴方達と戦える日が来たのです。負けるわけにはいきません。」

「俺たちと戦うのがそんなに楽しみだったのか?」

「・・・・いえ。楽しみどころか貴方たちには憎悪以外の何もありません。」

その眼には本当に憎悪の色が見えていた。

「一回会っただけで嫌われるなんてな。」

冗談交じりに綾太がそう言うとキリュドガはピクッと反応した。

「会っただけで嫌いになる?それ以上の罪を犯した人間風情が何を言いますか!」

彼女の怒りは見てわかるほど分かりやすかった。

「邪剣使いディル。この名に聞き覚えがありますか?」

「あ、ああ。」

あまりの怒りの迫力に言葉が詰まる綾太。

「ディルは私のパートナーであり、私の恋人でした。貴方達は私の恋人を殺したにも関わらずのうのうと生きている。そんなこと私には許せません!!」

立ち上がったキリュドガは剣を構える。

「最愛の人を殺された辛さなどわからないでしょう!見せてあげます!ディルを殺された日から私が作り上げた固有魔法を!!」

剣を綾太に向けて詠唱を始める。

「我が血は復讐の為に、我が心身が憎悪で満ち溢れるその時、復讐者は力と共に相手を喰らい尽くす!!時は来た!!血で染めよ、血の復讐者アヴェンジャー・オブ・ブラッドッッッ!!!!」

詠唱が終わると共に自分の体に剣を貫かせる。すると血は蒸発を始め、やがて煙でキリュドガが見えなくなる。

「何が・・・。」

何が起きてるのか分からない綾太は固まっている。

「リベンジオブレクイエム。」

声が聞こえると共に煙の中から伸びた剣と斬撃の嵐が綾太を襲った。

「ぐぅ!」

咄嗟に盾を構えた綾太であるが、剣戟の強さに少し後ろに押される。

「外しましたか・・・。ですが、次はありません。」

キリュドガ姿は一変していた。鎧はボロボロな漆黒のロングコートになり、剣は先程のただの西洋剣とは違い、赤と黒のみで配色されている禍々しい剣となっている。

リベンジオブレクイエムは斬撃を飛ばしてから剣を伸ばし攻撃してきたのだ。

「殺される準備はいいですか?」

とてつもない殺気を浴びた綾太はギュッと盾を握りしめる。

「ブラッドロンド。」

キリュドガは距離を詰めると剣を振り放つ。すると綾太の四方八方から剣戟が襲う。

「ぐぅ!がッ!!う!!」

ガードや避けを使い剣戟を受けないようにするが、致命傷には至らない細々とした傷を幾つも負ってしまう。

「しぶといですね。なら一気に終わらせましょう。」

一度綾太から距離をとったキリュドガは詠唱を始める。

「時は来た。放たれし五つの刃は闇を纏い光を飲む。血と刃は世界を蹂躙し絶望をもたらす。」

聞き覚えのある詠唱に綾太は背筋が凍る。

血剣の復讐曲リトートワルツ。」

辺りは赤い霧で包まれた。綾太はキリュドガを探そうと辺りを見回す。

「あいつが五人とか無理だろ・・・。」

「諦めるなら死んでください。」

綾太の後ろから斬撃が来るが、盾で防ぐ。

「ディルの技は本当に心地が良い。」

綾太の右から斬撃が来る。綾太はギリギリで避けきれず肩に傷を負う。

「でももうディルは居ない・・・。」

頭上から斬撃が来るがギリギリで躱す。

「貴方達にディルは殺された。」

左から斬撃が来るが、盾で防ぐ。

「私は貴方達に復讐する。」

正面からの斬撃を盾で防ぐ。

「「「「「ディルの仇をここで討つッッッ!!!!!!」」」」」

五つの斬撃が再び正面から来る。それを防ぐため盾を使った綾太は後ろに吹き飛ばされるのであった。そして同時に赤い霧は晴れるのであった。

「ぐあ!!」

背中から着地した綾太は痛みのあまり声を挙げる。

「これで最後にしましょう。リベンジャーズフィナーレッッ!!!」

五人から禍々しい赤色をした光を放つ。

「全ては守り、助けるための力、再誕せよ、精霊の愛した朽ちぬ盾イディラギミアッッ!!!!」

体制を即座に立て直した綾太は詠唱を唱え盾を構える。

「「「「「消えろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」」」」

五人の声と共に威力が増した赤色の光は綾太を包み込んだ。


辺りは静かになる。五人に分裂したキリュドガは一人に戻り空を見上げる。

「やりましたよディル!貴方の仇はここで討てました!」

空を見上げ続けるキリュドガ。その顔は歓喜に満ちていた。そんな中ジャリっという音が聞こえた。

「まだ生きていましたか。・・・・・ですがこれで本当に最後です。」

倒れている綾太が起き上がろうとしたのをみたキリュドガの歓喜の表情は殺気に満ちた表情へと早変わりした。

「さようなら。」

綾太へ剣が振り下ろされた。

「え・・・?」

振り下ろしたはずのキリュドガの肘から先が無くなっていた。

「綾太をここまで傷つけて・・・。よほど死にたいようだね。」

蝙蝠の羽を持つ少女は斬り落とした腕を投げ捨てる。

「綾太さん大丈夫ですか?今回復魔法を。」

綾太の元へ駆けつけたティーナは回復魔法を掛け始める。すると綾太の意識は闇に落ちた。

「仲間ですか・・・。纏めて殺してあげます!!・・・・・・え?」

地面を強く蹴り距離を詰めようとしたキリュドガは自分の異変に気付いた。

「寝言は寝てから言いなよ。」

メリアラのブラッドダガーはキリュドガを一刀両断していたのだ。

「あぁ。ディル・・・。貴方の・・・・・許へ・・・・・。」

キリュドガは倒れるのであった。


目が覚めると綾太の前には二人の少女が居た。

「メリー、ティーナ。」

名を呼ぶと二人は反応する。

「起きましたか綾太さん。」

現状はティーナに膝枕されている為、ティーナからは覗き込まれる態勢になる。

「綾太も随分とボロボロにされたね。」

綾太もという言い方からティーナもメリアラが居なければ敗北していたのだととれる。

「ハハハ。ちょっと俺たちには荷が重かったかな。」

「そんなことありませんよ綾太さん。」

苦笑いをした綾太へ優しく微笑みかけてくれるティーナ。

「綾太さんは良く戦いました。先程の傷がその証拠です。」

「そうなのか?本当に俺は戦えたのか?」

綾太の顔には不安が見える。

「もちろんだよ。あいつは僕が駆け付けた時には魔力と体力切れでフラフラだったんだ。そこまでした綾太は十分凄いよ。」

メリアラは綾太へ称賛を贈る。

「そっか。」

短く返事をした綾太の顔には喜びの表情が少し見えていた。


復讐者と盾使いの戦いは、吸血鬼の少女の助力によって盾使いの勝利に終わった。

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