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ゲーム開始

村に朝がやってくると共に五人の影が村の入り口から動き出した。

「そろそろ行こう。悠長にはしていられない。」

綾太はそう言って村を出ようとしたときだった。

「皆さんお気をつけて。」

トミノがニサと長老に代わって代表で言う。

「行ってきますトミノさん。」

「綾太君、くれぐれも無茶はしないようにしてください。綾太君はこの半年で力を付けましたが、正直相手に攻撃を入れられるか微妙なラインです。無理をせず冷静に対処してください。」

警告をしてくれるトミノに綾太は無言で頷く。

「最後に、身体強化の限度は守ってくださいね。」

歩き出した綾太の背中に向かってトミノは最終警告をするのであった。


「ねぇ綾太。勝てると思う?」

メリアラが珍しく不安そうな顔をする。

「・・・・。正直なところ、勝てる確率はそこまで高くないと思う。」

綾太の顔にも不安の色が見える。そんな不安そうにする二人にノエルが声をかけた。

「何不安そうにしてるのよ。勝てないわけないでしょ?何の為にここまで鍛えてきたのよ?」

「ノエルさん言う通りですよ。」

「魔王の力でギャフンと言わせてあげるわよ。」

ノエルに便乗してティーナとステラが綾太たちの不安を取り除く。

「ああ、そうだったな。メリー、絶対に勝つぞ。」

さっきまでの不安な趣とは違い表情が少し柔らかくなった綾太。

「うん!絶対に負けないよ!」

メリアラの不安も消えていた。そして綾太たちの会話が終わると共に森を抜けた。

「・・・・。」

誰も口を開かない。その状態は魔王城に着くまで続くのであった。


魔王城前。執事服の男がポツンと立っていた。

「お待ちしておりました。それではどうぞ中へ。」

手を魔王城に向けて招き入れようとするミエスタをステラが睨んだ。

「戦いに来たのに入るわけないでしょ。」

ステラの鋭い視線はミエスタをずっと捉えている。

「それもそうでしたね。これは失礼を。」

そう言ってミエスタは頭を一度下げると再び口を開いた。

「戦いと魔王様は言いましたが、私としてはゲームがしたいのですよ。」

「ふざけているの?」

ステラは目つきは更に鋭くなり、殺気も溢れ出してきている。

「ふざけているつもりなんてありません。ゲームはゲームでも一対一の戦いというだけであってそれ以外はただの殺し合いです。」

ニヤッと笑みを浮かべるミエスタ。

「我々も私を含めて五人。丁度人数があいますので。」

「その話乗った。」

今まで個人の特訓ばかりで連携など全く取れない綾太たちからしてみれば願ってもない条件であったため、綾太は即座に答えた。

「交渉成立ですね。では、皆さん!」

ミエスタが声を挙げると、魔王城の中から四人の魔物が現れた。

「左からリブルス、ハジケフ、キリュドガ、ビドールです。」

リブルス。腰に六本腕程の杭がかかっていてそれぞれ鎖が付いている。白髪の髪は全て後ろ向きになびいていて、暗殺者のような黒い恰好をしている男。

ハジケフ。身長は二メートル程で常人の何倍も筋肉がある大男で、上半身は裸であるが人間ではないため肌の色は赤くなっている。手にはさらに自分よりも一回り程大きい大剣が握られていた。

キリュドガ。女騎士の恰好をしていて目元には大きな傷がある。盾はトゲトゲとしていて、剣は二本腰に装備されている。

ビドール。真っ黒なローブを着た小さな少年。身長はメリアラと大差がない。これといった特徴はなくごく普通の少年の顔をしている。

「こちらまで来ていただいたのですから、誰と戦うか決める権利は譲りましょう。」

ミエスタ、リブルス、ハジケフ、キリュドガ、ビドールからは殺気が溢れ出してきた。


「決まりましたか?」

それぞれ相手の前に立つ。

「なるほど。なかなか面白そうな組み合わせですね。」

「御託はいいわ。始めるわよミエスタ。」

「レディはもう少し淑やかな方がいいですよ。魔王様。」

元主従関係の二人の戦いが始まった。


「女か・・・。」

「何よ。女じゃ悪いって言うの?」

「いや、何でもない始めよう。」

弓を持ったエルフの少女と暗殺者は睨みあう。

「後悔しても知らないわよ!!」

弓から矢が放たれた。


「吸血姫が相手とは光栄だな!」

大男は戦いたくてうずうずしていたところに吸血姫と名高い少女と当たった為、興奮を抑えきれていない。

「悪魔族・・・。吸血鬼の相手でもないよ。」

冷めた目つきで大男を見る。

「そういうことは、戦ってから言えぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

大男は地面を蹴り距離を詰めるのであった。


「女の人とはあんまり戦いたくなかったんだけど。」

「・・・。もう少し戦闘能力を付けてから言ってください。見た感じ貴方は強い部類ではないでしょう?」

「うっ。そういうことはあんまり言わないでくれませんかね!!」

強い部類ではない男と女騎士の戦いはなんとなく始まるのであった。


「君なんて名前なの?僕はビドール!」

穢れのない少年の笑顔に負けたティーナは渋々自己紹介をする。

「ティーナ・メルノスです。」

「へぇティーナちゃんって言うんだぁ。」

そう言ってビドールが黒い笑みを浮かべると、ティーナはぶるっと震えた。

「じゃあ僕たちも始めようか!」

「はい。」

回復役と少年の戦いが始まる。


綾太たちのゲームが始まるのであった。

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