和解
エトゥン村に戻った五人は長老の家で作戦会議をしていた。
「・・・・・・。」
黙り込み始めて10分が過ぎようとしたとき。
「綾太君、貴方は気づいたかしら。」
「・・・?」
何を言っているのわからない綾太は、ステラの顔を見る。
「やっぱり気づいてなかったのね。実は王座の後ろの影に三人ほど気配があったのよ。しかもあの感じ、次に会ったときには殺しに来るわよ。」
「!?」
驚きはするが声には出さない綾太。
「しかもあの三人、最低でも私とメリアラちゃんと同じぐらいの実力があるわ。」
ステラの言葉に悔しそうに俯くメリアラ。
「俺たちで戦って勝ち目はあるのか?」
「例えいい方に戦いが進んでも・・・・・・無理ね。」
結果が分かっていた答えであっても、綾太は絶望の色を隠せないでいる。
「私とメリアラちゃんと同じぐらいの力がもう一人いれば、勝機はあるかもしれないわ。」
ステラがそう言うと場は再び静まり返った。そんな静寂を少女の声がやぶった。
「私が稽古付けます。」
誰もが拘束から放されたシスターの恰好をした少女を見る。
「・・・・頼んでいいんだな?」
綾太が少女に聞く。
「でも、私が担当するのはそこの銀髪の子だけです。」
ティーナを指差す少女。
「私ですか?」
意外だったティーナは聞き返す。
「そうです。今のところ貴女が一番戦力にならないのでしょう?」
そう言われたティーナは俯いてしまう。
「私に直ぐにやられた貴女にできるのかしら?」
ステラは少女を睨む。
「私ができるのは彼女を回復係にさせることです。貴方たちに優れた回復役はいないようですし。」
綾太たちを見てから言う。
「わかりました。ご教授お願いします。」
ペコリと頭を下げるティーナ。
「そもそも倒す必要はあるのか?」
長老は言う。
「・・・・・。」
もっともな意見に反論すらできない一同。
再び静まり返ること五分。
「じゃ、じゃあ帰りますか。」
何事もなかったかのように家に帰ることを決めたノエルは、綾太の手を引っ張り長老の家から出ようとするが、綾太は引っ張り返しその場に留まる。
「帰るじゃねーよ馬鹿、そもそもお前以外は全員指名手配されてんだ。帰る場所なんてない。」
悲しい顔をする綾太にノエルは俯くことしかできなかった。
「それなら私たちが王に報告します。」
少女は言う。
「そもそも俺たちの勘違いから始まった争い事だしな、テメェらは気に食わねぇしムカつくが、それが道理ってもんだ。でも俺は魔王城に殴り込みに行くぜ、勇者を殺して聖剣を盗んだやつををぶっ殺してやる!」
戦士は綾太たちを睨み続けるがミエスタへの怒りも目に映っていた。
「そうと決まれば私たちはもう行きます。」
そう言うと長老の家から二人は出て行った。
「逃がしてよかったの?」
ステラは綾太に聞く。
「大丈夫じゃ、奴らの目に嘘はなかったからのぉ。」
綾太の代わりに長老がステラに答える。
「でもあの人たちが報告するまでどうすることもできませんね。」
ティーナがそう言うと綾太は決心したような顔で答えた。
「特訓だ。」
「?」
首を傾げるティーナ。
「この先魔王城にいたやつらと戦うことになるかもしれない、なら特訓するしかないだろ。」
綾太はノエル、ティーナ、メリアラ、ステラの順で顔を見る。そして最後に長老を見た綾太は
「俺たちに戦い方を教えてください。」
盛大に頭を下げるのであった。




