精霊の愛した朽ちぬ盾
人間は突然の出来事に放心することがある。例えば目の前で信じられないことが起きたり、予想外なことが起きると情報処理が間に合わないのだ。
そんな状況に綾太とティーナは直面していた。そう、たった一度の輝き、聖剣から放たれた一撃によってメリアラとステラは地に伏したのである。
「メリー!ステラ!」
ボロボロになった二人の名を呼ぶ。
「綾、太君・・・。逃げ、て。」
ステラは途切れ途切れで綾太に伝える。
「お前ら残して逃げれるかよッ!!」
恐怖に足が震えそうになるけど叫んで誤魔化す綾太。
「綾太!お願いだから逃げてッ!!あいつの強さはもう人間じゃない!」
メリアラは悔しさが滲む顔で綾太に告げる。
「時間は僕が稼ぐから、逃げて、お願い・・・。」
メリアラは勇者の前に立ちはだかる。
「まだやれることはあるはずだろ!!」
綾太はしぶとくこの場に残ろうとする。すると勇者は再び聖剣を振り上げた。
「次で仕留める。耐えられると思うなよ。」
放たれた光の一撃はメリアラにまっすぐ飛んで行った。
「メリーッ!!」
綾太はとっさにメリアラの前に飛び込むのであった。
ああ、ここで終わるのか。そう思う綾太の頭に言葉が響いた。
‘‘汝の守る意志、しかと見せてもらった‘‘
放たれた光は綾太とメリアラを包み込む。
「魔物とそれに手を貸した哀れな人間、愚かだな。」
そう言って聖剣を鞘に戻そうとしたとき、一人の男の声が響いた。
「じゃあそんな愚者一人倒せない勇者は何なんだ?」
光が晴れたそこには盾を構えた綾太がいた。
「なッ!どうして!?」
そう言って勇者は後ずさる。
「ティーナ、メリアラとステラを見ててくれ。」
「は、はい。」
突然名前を呼ばれたティーナはビクッと反応する。そして再度勇者は聖剣を振り上げる。
「50%の威力で駄目なら100%で消してやる。」
光り輝く聖剣は先程よりも輝きを増し始める。
「消えろぉぉぉぉッッ!!!!」
光の一撃は威力を増し、綾太を塵にしようと飛んでくる。
綾太はガンッと音のなるぐらい地面に盾を付け固定する。
「全ては守り、助けるための力、再誕せよ、精霊の愛した朽ちぬ盾ッッ!!!!」
盾から青い障壁が張られる。そして100%の光がぶつかった。
衝撃で辺りが砂埃で包まれる。綾太は防ぎ切ったのである。そしてその瞬間を綾太は逃さなかった。
「今だ!!逃げるぞ!!」
綾太はメリアラとステラをおぶり、ティーナとひたすら家に走った。
「僕の聖剣が防がれた・・・。」
膝を付き放心する勇者に寄る勇者の仲間。
「ノエルッ!!今すぐここを離れるぞ!!」
家に着いた綾太は喉が痛くなるほどの声で叫ぶ。
「な、何よ急に?」
「いいから早くしろッ!!」
綾太はノエルに叫ぶ。ティーナは生活必需品を走って取りに行った。
準備の終わったノエルとティーナは早々に家を出た。ステラを綾太がおぶり、メリアラの肩をティーナとノエルが支える。
「今はここを離れる理由は聞かないけど、落ち着いたら話しなさいよ。」
トレノブの町を離れる途中ノエルは綾太に言うのであった。
「いくらでも説明してやる!」
負傷者を運ぶ三人は、ひたすらトレノブの町から離れるのであった。
この日から綾太、ティーナ、メリアラ、ステラは指名手配されるのであった。




