町中プロポーズ
お粥対決から数日が経ったある日。リハビリも含めて綾太とステラと町に出ていた。
「久しぶりに外に出たなぁ。」
綾太はググッと伸びをする。
「どこか痛いところか変な感じがするところはある?」
ステラは綾太の顔を覗き込みながら言う。
「特にないかな。それにしても回復魔法ってすごいな、骨折を数日で治しちゃうなんてな。」
綾太はステラの回復魔法によって怪我はほとんど治っていた。
「もっと上級の回復魔法だったら完全に治せたんだけど、特異能力があるからあんまり覚えなかったのよね。まぁメリアラちゃんは回復魔法自体使えないんだけどね。」
少し申し訳なさそうにするステラ。
自己再生。ステラの持つ特異能力で、一瞬で木端微塵にできるほどの攻撃以外であるなら自己再生する能力。しかしこの世界には特異能力を無視する武器や能力も多々ある。ちなみに自己再生するのは本人の任意で決めることができるが、自己再生するたびに微量であるが魔力を使う。
「もともと大怪我したのは俺だし治してもらえただけありがたいよ。」
笑顔をステラに向けて言う。
「そう?それなら良かったわ。」
ステラは少しホッとする。そんな二人のところに一人の少年がやって来た。
「少しお時間をよろしいでしょうか?」
黒い魔法使いのようなローブを着て、片手に先に丸い赤い宝石の付いた杖を持っている綾太と同じ年齢ぐらいの少年である。
「なんの用だ?」
綾太は一度少年の全身を見て、異世界の魔法使いってこんな感じなのかなと思いながら答えた。
「いや、用があるのはお前じゃなくてそちらの女性だ。」
「なっ!?」
いきなりお前と呼ばれた綾太は驚く。
「私に?何の用ですか?」
一応敬語で答えるステラ。
「貴女の麗しい姿に心を奪われたのです。僕はこの町で最強の魔法使いであるヒロキ・ヤマダと申します。僕と結婚してください。」
突然の町の中で起きるプロポーズに周りは驚きの声に包まれる。そんな中一人真剣な趣きな顔をして考え事をしていた。
ヒロキ・ヤマダねぇ・・・。この世界にそんな名前してる奴なんてそうそういるはずない。ヒロキ・ヤマダ、ヤマダヒロキは向こうの世界から来た俺と同じような人間だ。
特徴的な名前をしている人物に綾太は自分と同じ人種だと憶測をする。
「えっと、私そういうのは受けないようにしているので、ごめんなさい。」
突然のプロポーズを断るステラ。プロポーズが失敗したと知った周りの人たちはどんどん散って行く。
「何故です!?僕はこの町で最上級の魔法使いなんですよ!」
断られたことが信じられないのかヒロキはまだアピールを続ける。
「単純にタイプじゃなかったんじゃね?」
綾太は告白の失敗に煽るように茶々を入れる。この男ゲスい。
「余計なこと言わないの。そういうことだからごめんなさい。」
綾太に本心を言われたステラはサッサとこの場を去ろうと綾太の手を引っ張る。
「僕よりその男がいいと?」
去ろうとするステラにそう言う。
「自己主張の激しい貴方に比べたら綾太の方が何倍もいいです。」
ステラがそう言うと、綾太という言葉にピクッと少年は反応する。
「そこの男、綾太と言うのですね。なるほどこんな男に貴女ほどの女性が惹かれる理由がわかりました。」
ヒロキは納得すると綾太を睨む。
「お前、どんな能力使ったんだよ。この世界の主人公は僕なんだ、邪魔をするな。」
バレてしまったことと、めんどくさいやつに会ったことにより綾太の顔は嫌そうな顔をする。
「能力なんか使っちゃいねーよ。悪いけどステラは俺の女なんだ諦めてくれ。」
ステラの顔が赤くなる。いつもからかわれてる仕返しが成功した綾太はニヤッとする。
「モブのくせに・・・。」
こういう異世界に行けただけで自分が主人公だって思って好き放題しようとする奴はめんどくさいやつだと相場は決まっていると思った綾太はヒロキの言葉を無視してステラの手を曳いてこの場を去るのであった。
この先絡まれなきゃいいけど。そう思いながら歩く綾太であった。




