古城と側近
旅を始めて間もない綾太御一行は、魔王城近くの古城に来ているのであった。
「普通こういうところはもっと経験値集めたり、伝説の武器手に入れたり、中ボス倒したり、そんな熱い展開を経てここまで来るんじゃないのかよぉ・・・。」
仲間が仲間の時点で異世界生活には少し諦め気味であった綾太であったが、この状況の中完全に諦めがつくのであった。
「何言ってんのよ貴方は、何にしろここまで来ちゃったらしょうがないでしょ。」
文句を言う綾太にノエルの喝がとぶ。
「あんまり騒ぐとフレデリックに見つかっちゃうから静かにして。」
「フレデリック?」
友達が綾太しかいないメリアラの口から突然出た名前に綾太は少し驚きながらも聞き返した。
「僕の側近だよ。僕と同じ真祖の一人なんだけど、僕はフレデリックが嫌いだよ。」
「なんで嫌いなん」
ドゴォォォォォォォッッッ!!!!
綾太がメリアラに質問をしようとした途端、綾太たちの目の前の横壁が突き破れた。
「ああ!麗しきメリアラ様!またその美しい声が聞ける日が来るとは!」
少し高めの凛とした男の声が響いた。
その声を聞いた綾太はすぐに察した。側近でありながらメリアラと友達でない、むしろ嫌われている。
そんなやつは、メリアラを敬っているだけで同じ立ち位置には立ってくれなく、性格がめんどくさいやつしかいないと。
「メリアラ様。よくご無事でお帰りなさいました。」
男は片手を胸にそっと添え一礼した。
「相変わらずめんどくさい男だね、フレデリック。」
先程話していた張本人が今目の前にいるのであった。
「メリアラ様今までどこにいらしたのでしょうか?お怪我はございませんか?」
「おいあんた。フレデリックって言ったけ?」
メリアラのことしか眼中にないフレデリックに綾太は声をかける。
「気安く名を呼ぶな、人間風情が。」
急に声のトーンが下がり綾太に向け魔法を放った。
「力は火炎、憤怒は灼熱、赤きを集わせし四大元素の一つよ、正義と悪、裁きと秩序もろとも焼き払う紅蓮の劫火となれ!ボルケイノ!!」
フレデリックの手から放たれた炎の渦を起こしている炎の球は綾太に向かって行った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
綾太は無我夢中で盾を自分の前に出し、身を守ろうとする。
すると、炎の球は盾を貫くことはなく鍔迫り合いのような状況になっていた。
「馬鹿な!炎の上級魔法をあんな盾一つで。」
「メイルシュトローム!」
驚くフレデリックとは別に、メリアラは水の上級魔法を唱えるのであった。
炎の上級魔法と水の上級魔法が当たると当然お互いに消滅した。
「ありがとメリー!助かったぜ!」
右手の親指をグッと立てメリアラに向ける。
「人間風情が私の魔法を弾きあまつさえ高貴なメリアラ様をメリーと呼ぶなんて・・・。」
フレデリックは完全に怒り状態であった。
「骨の欠片も残さず殺してやるぞ!」
「ブラッドサクリファイスッッ!!」
怒り狂ったフレデリックにメリアラは容赦なくブラッドサクリファイスを使うのであった。
「メリアラ様・・・・な、ぜ?」
フレデリックは消える前に質問する。
「僕の友達に攻撃したし、何より嫌いな奴に愛称で呼ばれるなんて御免だね。」
メリアラはフレデリックに冷たい目を向け答えるのであった。
一方綾太は、愛称で呼べる自分はどれだけ特別なのだと感じるのであった。
そしてもう一方のノエルとティーナは、絶対に愛称で呼べないと感じるのであった。




