第二の依頼は試練
ミルドーヌ討伐から数日がたった。綾太一行は目ぼしい依頼がない毎日を過ごす中、またまたお金が底を尽きてきたのであった。
「そろそろ金も限界か・・・。」
綾太は、寂しい財布を見て呟くのであった。
「フフフ。そんな綾太に良い依頼を持ってきたわよ。」
ノエルがドヤ顔で綾太の前に立った。
「私もお金が無くなりそうちょうど良かったです。」
ティーナはヒョコっと顔を出す。
「期待しなさい、今回の依頼を前より簡単で報酬金もいい依頼よ!!」
そう言ってノエルが依頼の紙を見せてきた。
「何々?足の速い者求む!魔術の研究の為にケルベロスの卵を一つ持って帰ってきてほしい。
報酬金は、300000コイン。」
「ちなみにケルベロスと言うのは、魔王軍の幹部の一人の邪剣使いのディルが放し飼いしている魔犬です。」
依頼書を声に出して読んだ綾太にティーナが補足を付ける。
「できるわけねぇえだろ!!」
声を荒げて綾太は言う。
場所は変わって現在ディルの別荘の近辺。
「無理だとわかっていても明日食って寝るにはこの依頼しかないのか・・・。」
悔し涙を流しながら綾太は言う。
綾太がこの依頼を選ばざる負えなかったのには理由があり。他の依頼は、魔王軍の侵略した町の奪還、魔物の群れの討伐や、幹部の生け捕り、遠くの町の修復作業など、これよりはるかに難しい依頼しかなかったのである。
「ケルベロスは寝てるし、ディルは不在。絶好のチャンスよ。」
ノエルの言う通りで、ディルは不在で別荘の横にはケルベロスが寝ている。
「ケルベロスの横にあるのが卵ですよね?」
ティーナは真っ黒な卵を見るとそう言った。
そんな疑問はそっちのけでノエルは作戦について話し出した。
「作戦内容は、ティーナ持ち前の足の速さで卵を回収。以上よ。」
「明らかにティーナより卵の方がでかいんだけど?」
穴だらけのノエルの作戦に綾太は文句を言う。
「その時は綾太の摩擦を使って卵を運べばいいわ。」
「もうそれでいいっす。」
何の解決にもなってないノエルのアイデアに呆れて答える綾太であった。
作戦を開始して、現在ティーナが卵を運ぶところである。
「意外とうまくいくもんだなぁ。」
綾太のこのセリフは盛大なフラグだということに綾太はまだ気づいていなかった。
フラグ発言をした直後、風が吹いた。
「ヘクチッ。」
小さな可愛らしいくしゃみが響いた。
くしゃみをした当人であるティーナの顔は真っ青になっていた。
ケルベロスがゆっくり起きたのである。
「ティーナ!全力で卵を押せ!俺が摩擦を無くして運びやすくしてやる!」
茂みに隠れていた綾太は猛スピードでティーナの許に向かう。
「我が矢よ光持ちて矢に力を!貫け!」
詠唱を唱え、ノエルはケルベロスに攻撃する。
「私が気を引いてるうちに卵を運びなさい!」
ノエルは走っては矢を放ち、ケルベロスの気を引く。
ティーナの許に着いた綾太はケ卵に手を触れ摩擦を少なくした。
「これで押したら滑るはずだ!急いで運ぶぞ!」
「は、はい。」
綾太とティーナは卵を全力で押し、走り出した。
「ノエル!もう気を引くのはいい!戻って運ぶの手伝え!」
そう綾太が言うとノエルは全力で走ってこちらに向かってきた。当然ケルベロスと共に。
「このままだと追いつかれるわよ!もっと速く運びなさい!」
合流したノエルは一緒に卵を運び出す。
「こんな依頼はこりごりだぁぁぁぁぁあ!!!!」
綾太はただひたすら走るのであった。
無事に町まで卵を運んだ三人は疲労のあまりフラフラとしていた。
「おお!ありがとうございます!これで研究ができます!」
白衣を着た依頼主は、卵を受け取ると、荷台に乗せて運んで行った。
一方卵を渡した三人はおぼつかない足取りでギルドへ帰るのであった。




