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 目が覚めたら目の前に真っ白なでかいたぬきがいた。


「キューィ!?」


思わず変な声がでたが俺が知ってる声じゃなくって動物の鳴き声だった。ウェアー!? いや、どこだここ!? 俺、さっきまで寝てたんだが? んで、目が覚めたらなんか暗い洞窟みたいなところにいて声が動物みたくなってた。OK、全然理解不能だぜ。取り敢えず落ち着け俺、俺は昨日寝た、いやどこで? 俺っていったい誰だっけ? ダメだ……思い出せん、とりあえず今は己の体と周りの状況よーく見るんだ。


俺は自分の手を見る、茶色く毛むくじゃらの手だった。ホワァイ(何故に)!? そこの狸と同じ色合いなんですが!? つまり俺は今タヌキィ!?

狸ナウ(今タヌキ)とか訳が分からん! ついでに言うと、俺の周りには小さな茶色なフワフワが五匹程いるんですが! こりゃ間違いなく俺の兄弟、そんでもって俺も狸ですわな。俺は人間だったこととか後、人間だった時にやってきたことを朧げに覚えてるがそれ以外全く思い出せんぞ……? 

俺はどんな名前だった? 家族の名前や顔は? ダメだ! 無理に思い出そうとすると頭が痛くなる。それに何故か思い出さなくてもそれでいいかと思えてきたぞ……。どうでもいいや……、うん。もうどうとでもなれ。


俺が自問自答していると、俺とそこに転がっている狸の母と思われる大狸が地面にペタリと伏せた、すると我がブラザー達が我先にと茶色くフワフワな腹へと向かって行くと、腹に顔を近づけてチュウチュウと吸い始めた。

それを見ていたら急に腹が減りだした、飲まなきゃいけないのか......、いや、今の俺は狸だからね? これが人のオッパイだったらとんだ羞恥プレイだがね? 狸だぜ? なんのエロさも感じないんだぜ!? 腹が減った赤子はオッパイ飲むだろう? だから、俺は悪くない、ノットギルティー、無罪だ。


俺は覚悟を決めて、大狸の腹に顔を埋めた。飲んでみると案外イケるとだけ述べておこう。



======================




しばらくして、かなりの日が経った頃。俺とブラザー達は母乳から肉に食事が変わった。問題は、その肉がなんか凄い生き物のだったことか。明らかに地球にいないような頭が二つあ真っ黒な犬を、大狸が胴の辺りを口にくわえて持ってきて洞窟の床に放り投げてきた時、俺は確信した。ここ地球じゃねぇ! と、そもそも、白い大狸おおだぬきがいる時点で気が付くとべきだったか。いや、俺はそれまでずっと、ユーマ(未確認生物)とか、突然変異だと思ってたんだが……。


俺が悩んでいる間に二頭犬に近寄ってその腹にカブリつく逞しいブラザー達、これは俺も食べなきゃならないのか?これ以外ないってことはそうだろうが、見たこともない二頭犬の生肉だぜ?


覚悟を決めてブラザー達のように腹にカブリつく、俺の牙が腹に刺さり犬の血と肉が舌に乗る、人間だった頃とは違い、肉が甘く感じた、どうやら味覚は変わってるらしく、生肉が素晴らしく美味く感じる、舌で脂身がとろけて塩もなにもかかってないのに、肉本来の旨さだけで俺の舌を唸らせる。


豚や牛と違う味わい、硬そうな肉は牙で簡単には裂くことができ、その細かくなった肉片を奥歯で噛む。すると肉は軽い弾て力抵抗を試みる、しかし俺が少し力をいれると途端に抵抗を失い、中に詰まった血が口に広がって、人間では絶対に不味い味になるだろうが、今は狸の体だ。


味覚が違うだけでこんなにも変わるのか! まるで口の中で肉と血がカーニバルを行っているみたいだ。うん、うまい肉だ。いかにも肉って肉だもぐもぐ。俺がグチグチと肉を食べていると隣の一匹が何やらうまそうに内臓に食いついている。試しに俺も内蔵を頂こう。


 俺は誰も手を付けていない赤黒い肝臓に噛みついた。

 

 何だこの肝臓は!?クセが強いが一旦食べ始めると止まらないうまさだ!ほんのり苦いが濃厚な旨味が口に柔らかく広がる。すると突然、俺が食べていた食べかけの肝臓が横からかっさらわれた。奪われた肝臓はブラザーの中でも一番デカい体格の奴が、口元を血で濡らして凄い速さで食われていた。クソッ!旨そうに喰らいやがって!代わりに肉を喰らう俺だった。


気が付くと食べ終えていた、残るのは無惨にも体中を食い荒らされた残骸だけだ。


腹が一杯になった俺はその残骸を見つめて思った、ここが地球じゃないなら、一体どうすればいいだろうと、狸の時点でもう人として暮らすのは無理だろうし……。よし! 諦めよう、人生諦めが肝心だからな、そもそも、この世界に地球と同じような人間がいるかどうか分からんしな。


食べ物も結構美味いし、多分狩りとかもそこで寝そべってる大狸に習うだろうし、良いじゃん、狸生活、勉強も仕事もないし気楽じゃんか。そう考えると結構楽しそうだな。


と、このように分けもわからず俺は異世界にいて、何故か自分の記憶だけがなく、狸として生活余儀なくされるのだった。

 

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