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僕は辿る  作者: 沖ノ灯
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魔物3.

「魔力研究所から来ました。グスタボです。どうぞよろしく。」

翌朝、早くにグスタボは黒くて大きいスーツケース10個ほどと共に一人できた。

赤い髪の毛でまつ毛が長くて目が半分くらい隠れてる。

荷物が多すぎて特別機で来たらしい。

「精密機械ばかりだから、壊れたら怒られてしまう。」

そう言いながらホテルのカートで丁寧にスーツケースを運んでいく。

チームのみんなは寝てない。

ジェロームの容態が気になったし、眠ると襲われそうで一人で部屋にいられなかったんだ。

ビードが昨晩の説明をするとグスタボは

「あーそれなら先に部屋を調べます。」

ソルデアが電話を受けていた。

「わかりましたボス。」

そう言いながら通話を終わると

「みんな、ジェロームの容態は落ち着いたって。」

みんな口ぐちに良かった、と言い合った。

ほっとしたものの、全員元気はない。

僕は

「ソルデア、ジェロームどんな状態なの?」

「全身に細かい傷が無数にあって、傷は大した事ないんだけど、ジェロームがショック状態なんだって。」

「なんでジェロームが。」

僕がぼそりと言うと、後ろにいたジョージナが

「ねぇコリン、ジェロームって、昨日の休み何してたか知ってる?」

コリンに聞いている。

「知らない。」

コリンはロビーのソファで半分寝てる。



ロビーにいても仕方ないので、僕はグスタボの手伝いをしようとジェロームの部屋に行った。

グスタボが部屋の中を歩きながら、何か缶コーヒーくらい細い銀の筒状のものを置いていた。

「何か手伝う事があれば遠慮なく言ってください。」

僕がドアの所で言うと、グスタボは僕をジッと見て

「もしかすると君がギンゴ君?」

「そうだけど。」

「今朝早く電話で、リンゲブ主任から、わたしの助手がいるんで手伝ってもらえって言われていたから。」

「いつも研究の邪魔してるからかな。」

みょうに恥ずかしい。

「これは何かの計測?」

僕が聞くと

グスタボが僕をまたジッと見てくる。

なんかへんな事聞いてたか?

「これ、ギンゴ君が開発したんでしょ?」

え?

「東京で試験的に導入して結構役に立ってるから、色々改良はされてるようだけど、基本的な部分はそのまま使ってますよ。」

「いやいや、このサイズわからないよ。」

僕が最初に作ったのは人が座れるくらいの円筒形だった。

グスタボは、話しながら部屋の中に黄色や緑、オレンジ色のコインみたいなのを適当に置いた。

「何してるの?」

「これ魔力が放出されるようになってるプレートで、計測値に正しい数値で表示されればチェックは終了。」

そう言うとノートパソコンで調整しはじめた。

「今じゃなくて、しばらく前でもわかるんだ。」

「本当に微量でも、数値として出てくるので便利ですよ?」

「僕はそこまで作ってないから…」

グスタボは

「でもだから研究所のフリーパス持ってるでしょう?」

は?

「みんな同じじゃないの?」

「ギンゴさんのパス、多分どの部屋も勝手に入れますよ。功労者だから。」

知らなかった。

なんでみんな教えてくれなかったんだろう。

「はじめて聞いた。」

「カード配布される時に見せられてると思うけど。

チェック終了。ギンゴさん、プレート取ってもらえます?」

僕は返事して床に置かれたプレートを拾った。

グスタボはキーボードをゆっくり叩いてる。

「見えてきた。」

部屋の白黒の画像の中に青いラインがベッドの高さくらいで部屋を貫通してる。

「これって部屋を横切ってるって事かな。」

「多分。他の部屋も計測してみないと絶対とは言えませんが。」

他の部屋?

「この色は何か意味があるの?」

「気づきましたね。人が出す魔力は黄色で、これは完全に自然の魔力です。」

「じゃ使い魔?」

「うーん、人が関わってないんです。

使い魔なら人の魔力が加わるので、緑色になると思います。」

「へえーそれなら、自然の魔力が人を襲ってるって事になるのか。」

「よく調べないとわからないけど、もしかすると意図的にプログラムされてるのかも。

あーでも本当のところは、わかりません。」

「隣の部屋も調べるんだよね?」

グスタボは

「はい、帯状なので広く調べれば、発生と消失の場所が特定できる可能性があります。」

「屋外も調べるの?」

「この計測器は、そこまで出力が高くないので、外は無理ですね。」

僕はそうかと返事して、他の部屋の鍵を借りてくる事にした。

あの魔力の帯は僕が寝てた部屋まで延びていたんだろうか。

それなら僕やビードが、なんともなかった理由がわからない。

もどかしいけれど、グスタボがきてくれて、何か掴めそうだ。


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