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僕は辿る  作者: 沖ノ灯
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クレアさんが泣きだしてしまったので、しばらく様子を見てから一応石板のチェックをさせてもらった。

全く反応しなかった。

遅い昼食代を僕の分も払ってくれながらビードが

「また食べに来てもいいですか?」

と聞いていた。

クレアさんを見ていなかったけど、多分うなづいてくれたんだろう。

鼻歌まじりのビードと僕は車に乗り込み夕暮れの中、訓練所に向かった。



戻ってボスに報告をした。

珍しく全員がそろっていて、みんな黙って聞いていた。

話し終わるとジョージナが

「その女、信用できるの?」

話しを聞きながらコリンはパソコンを操作していたが、

「クレア・マンデビル30歳、犯罪歴もないし、特に問題はないね。」

ビードがコリンの出した画面をのぞきこみながら、

「不審な所はありませんよ。

わざわざ客の住所を元にトニーのアパートに行った経緯は自分から話しましたし、アパートの大家の話しとも一致します。

アパートから何も持ちだしてない。

婚約でもしていればトニーの遺産目当てになるかもしれないが、彼女が関与するメリットありません。」

ジェロームが

「はじめての有力情報じゃない?

三人で街の住人ほとんどを調査して何も出てこなかったんだから、ここにいるより、そっちで調べるほうがいいとオレは思うよぉ。」

ジョージナがジェロームを見てるが、ジェロームは特定の誰かは見ていない。

ボスが腕組みして考えている。

しばらくして

「ソルデア、その地区の保安官に連絡をとってくれないか?」

「了解しましたボス。」

みんなの前ではソルデアは真面目に仕事してる。


トニー・ブレッグマンはクレアの店で軽い食事の後、森をトレッキングして帰っている。

もし森に黒い煙の発生源があるとして、自宅近くまで、あの煙が後をつけたって事だ。

トニーは一体、森で何をしていたんだろう。

森で襲うのじゃなく、わざわざ街で殺されなければならなかったのは、なぜなんだろう。

煙だから、殺した後も消えてしまったって事か?


翌日には警察訓練所からチームは引っ越しする事になった。

都合良くオフシーズンの間は閉鎖されているホテルが見つかり、その日には荷ほどきして動き始める事ができた。

料理も作っておいてくれるから、好きな時に各自が温めて食べられる。

適当に割り振られた部屋はどこも山の景色が一望できる。

かなり冷えてきてるのに、暖房を最強にしても生ぬるい風しか出てこないのが難点だ。


地元の警察が、地下で思いあたる場所をいくつかはピックアップしてくれる。

どちらというと景色が良いのは山頂や綺麗な川沿いの渓谷だ。

ここのガイドブックにも、洞窟や鍾乳洞なんかの地下の記載は一つもない。

何かのトンネルなのか、たまたま削れた場所なのか。

ハイカーや地元の住民にも情報を集めてくれるように頼んでくれるようだ。


拠点を移動したのは正解だった。

もしクレアさんがトニーのアパートに行こうと思わなければ、もっと時間がかかったろう。

何も見つけられないまま次の犠牲者が出ていたか、この捜査自体終わっていたかもしれない。


トニー・ブレッグマンが前向きに生きるきっかけの人がクレアさんだったのも、何かの理由を考えずにはいられなかった。



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