三章のまとめ
第三章のあらすじと人物紹介です
読み飛ばして頂いても問題ないです
『 三章のあらすじ 』
絹川です。今回疲れました。いや割とマジで。
いつもみたくハインツさんトコ行こうとしてたら、美味しいお菓子をお裾分けしてもらったんです。そしたらソレは百合沢さんの作ったクッキー。美味しかったですけどね。
お菓子作るくらいで満足しときゃよいのに、なにトチくるったのか飲食店はじめちゃいます。えぇ。案の定、あんまりなシロモノ。すっとんきょうなサーヴィス始めるわ、まわりと足並み揃えないわで大迷惑。
おかけで私が接客についての講習会なんてやるハメに。正直、皆さんがあそこまで困ってなきゃ放っておきたかったですよ。こっちは関わりたくねーんです。
まぁ甲斐があったのか勇者食堂はあっさり爆死。最終的には料理の技術を細々と伝えるだけの存在になりましたとさ。
あ、百合沢さんとは少し仲良くなれたので、それは良かったと言えば良かったのかも。でもなぁんかハインツさんの態度がイラっときます。百合沢さんに優しすぎじゃありません? やっぱアレですか! 美人はお徳ねってことですか!?
頭にきたのでオマエの秘密を言ってみろって脅します。なんか神妙な顔になちゃった。くひひ。
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『 第三章の登場人物 』
●リーゼン伯ハインツ = 魔王、ラルザ・ハインツ = 山之辺 卓
今回は良いとこナシ。得意料理は切った野菜と肉に塩振って焼いた物
絹「それ料理じゃない。ただの加工」
●絹川 小友理
どっからどうみても今回の主役。得意料理は煮物以外
ハ「こういう時の定番って肉じゃがじゃねぇの?」 絹「幻想乙」
●和泉 宏彰
そろそろメッキの残りが少なくなった系異世界人。得意料理は特にないけど強いていうならフレンチ
「パスタはさぁ。やっぱり麺から手作りしたほうが旨いよね。あと、スパイスにもこだわんなきゃ。オレが作る場合は……(以下略」
●百合沢 美華子
空廻っちゃった系異世界人。得意料理は和食全般
「実家では母に料理を仕込まれましたので。いえ、ホンの手慰み程度ですよ」
●宇佐美 梓
出番なし系異世界人。得意料理は豚のしょうが焼き
「ザッと切ってぶわっと漬けてじょじょっと焼いたら出来上がり」
●メリッサ王女
勇者の金魚のフン。
●飲食店協会長
今回の被害者 そのいち
●食料専門商会の商会長
今回の被害者 そのに
●勇者食堂で働いてたウェイトレス
19歳。独身。台詞なし。
この世界における一般女性の結婚適齢期は概ね16~18歳。成人と扱われるのが16からなので、19歳で独身だとそろそろ親から「私が死ぬ前に孫を抱きたかった」辺りのプレッシャー発言が来る。
そもそもウェイトレスというのは、この街では一般女性の花形職業といっても過言ではない。どこかの店で看板娘となり、客としてくる将来性のありそうな商会の若旦那だとか若手騎士と結婚。その後も上流階級の女性として華やかな生活を送るというのが、良くあるサクセスストーリーなのである。
この場合女性側に求められるのは、外見的美しさよりもむしろ気立てのよさ。心配りの極め細やかさこそが重視されるのであり、美人だというだけで選ばれる事はなかなかない。というより、一定以上の扱いを受ける看板娘だと、選択権はむしろ女性の側にある。あの店をここまで引き立てた女に選ばれた、という事が男性側のステータスになるのだ。その辺よくわからずに外見だけでちやほやする様な無粋な男は、男性社会の中でも2ランクは下に見られるのが通常である。
今回勇者食堂に引き抜かれた女性は、どちらかというと元の店では重宝されなかった部類のものが多い。「私のほうがあいつ等より美人なのに評価されないなんておかしい」と燻っていた所で、見目の良い和泉にホイホイされてしまったのである。店がこのままうまく行っていたら、チョロインズとしてたいそう活躍できていたことであろう。
大半のウェイトレスが勇者食堂を逃げ出し元の職場に頭を下げたのだが、この女性は辞めずに仕事を続けている。給料面での厚遇という一面もあるが、なにより賄いとして出された料理が忘れられなかったのである。経営方針が変わってからは、以前のような珍しい料理を食べることは出来なくなっても、それでもこの店の料理が一番美味しいと思っている。事実、店の休憩時間に彼女が美味しそうに食事をしている様子を見て、一時の不評にもかかわらずもう一度この店に来て見ようかと思った客は多いという。
とはいえ、相変わらず客あしらいは下手だし微妙に美人を鼻にかけているところも見透かされているため、残念ながら結婚相手として見られることは無い。努力の方向性さえ間違わなければ良いのに、とは厨房で働く男達の総意である。
なんというかイロイロ頑張れ。




