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バレた!?②

 もちろん、その結果、この様子をすぐ隣で見ていた女月と紗美と詩鈴は、驚いた表情をしていた。


(まっ、麻子…… 一体、何を言っているの!?)


(麻子さん…… ここは、やっていないと言うところでしょう!!)


(バッ、バレたら…… どうするの!?)


そして、何か心の中で思っている事があるかの様な様子で、沢谷先生の方を見ている私の方を見だした。


おそらく、私も嘘を言って、この場を凌ぐとでも思っていたのだろう……


考えが甘い!!


こんな時は、あえて正直に言うものだよ。


その方が、先生も怒らずに許してくれるはず。


そして、何よりも、嘘をついて後からバレるよりも、今、この場で正直に言ってしまった方が、何かと都合もいいだろう。


その方が、学校での練習も、今まで以上にやり易くなるし。


ほらっ、伝記にもこんな話があるでしょ。


桜の木の枝を折った時に、正直に言ったら許してもらえたと……


こんな感じで、今回の私の行為も、先生に絶対に許してもらえるはず。


そう思いながら、私はニコッと笑いを浮かべた表情をしながら、沢谷先生の顔を窺った。


 しかし、沢谷先生の表情は、先程と全く変わっていなかった。


「あっ、あのぉ~ 先生…… どうされましたか?」


私は、恐る恐る、沢谷先生に話しかけた。


そんな沢谷先生は、固そうな表情をやりながら、口を動かし始めた。


「…… やっぱり、あの動画を投稿していたのは、あなた達だったのね……」


「そっ、そうですけれども……」


「全く、何をやってるのよ!! こんなバカげた事は、すぐに止めなさい」


私の予想は甘かったかも知れない。


沢谷先生は、許してくれるどころか、凄く怒った様子となった。


「そんな、別に馬鹿げた事なんかではないですよ」


「何言ってるの? 動画投稿サイトに投稿している人なんて、犯罪予備軍みたいな人ばかりじゃないの」


「先生!! それは、いくらなんでも言い過ぎですよ」


「確かに言い過ぎかも知れませんけど、仮に犯罪予備軍でなくても、あの様なサイトを利用している人の中には、事件に巻き込まれたり、事件を起こしたりする人達だっているのですよ」


確かに沢谷先生の言うとおり、中には動画投稿サイトで少しでも目立とうとしている投稿者達は、犯罪動画を公開しては再生回数を稼いで有名になろうとしている人も、少なからずは存在する。


でも……


動画投稿者の利用者のみんながみんな、そんな犯罪予備軍の様な人たちではない!!


「でも、そんな人ばかりではありませんよ。現に動画投稿サイトに毎日動画を投稿して、お金を稼いでいる人だっているんだよ。そんな人達の中には、それで生活をしている人もいるんだよ」


私は、動画投稿サイトの投稿者みんながみんな犯罪予備軍でないという事を沢谷先生に分かってもらう為、動画投稿サイトで生計を立てている人がいることを伝えた。


「坂畑さん、あなたは、動画投稿者にでもなるつもりなの?」


「そっ、それは…… 動画投稿で歌ったり踊ったりしている動画を上げているのは、ただの趣味というか……」


「そう、下らない趣味ね」


しかし、沢谷先生は私の言った事を、まるで聞く耳を持たないかの様に聞こうとはしなかった。


「下らない事なんてないですよ!! 現に動画投稿サイトに動画を投稿し始めてから、新しい友達だって出来たんだし!!」


そう言いながら、私は紗美と詩鈴の方を見た。


「そうですわ、先生。いくらなんでも下らない趣味は言い過ぎですよ!!」


「わっ、わたしもそう思います。さっ、坂畑さんは、こんな人見知りのわたしの歌が上手いと言って、喜んで誘ってくれたのですよ」


すると、紗美と詩鈴も、沢谷先生に抗議を始めた。


「桜森さんも朝芽さんも、坂畑さんと同じような事を思ってるのね。そんな事に力を入れるよりも、もっと学生らしい事をやりなさい」


「私達が、別に何をやろうが勝手じゃない!!」


「勝手なワケないでしょ!! もし、それで事件でも起こったらどうなるか知ってる? あなた達だけでなく、学校やその周りにいる人達みんなに迷惑をかけるのよ」


「私だって、どれだけの事をやったら迷惑になるかって事ぐらい知ってるよ」


「知ってたら、なんで動画投稿サイトに自分を映した動画を投稿したりなんかしたのよ!!」


「動画を投稿するぐらいいいじゃないの!!」


「もし、それが原因で事件にでも巻き込まれたら、坂畑さんは自分で責任は取れるの?」


「そっ、それは……」


確かに沢谷先生の言うとおり、もしも実際に動画投稿サイトでの投稿がきっかけで、何かしらの事件に巻き込まれたとしても、未成年である私達では、解決出来ないのが現状である。


その為、私はすぐに沢谷先生に言い返すことが出来ず、少しの間、言い返す言葉が思いつかなかった。


「そうでしょ。自分で責任が取れないのであるのなら、今すぐにでも、動画投稿サイトへの動画の投稿は止めなさい」


確かに、私はすぐには言い返す事が出来なかった。


でも……


せっかく、ここまで苦労をやって来て、リスナーも少しずつ増え、動画投稿の形も様になってきているのに……


これから本格的に始まる私達の動画投稿サイトでのアイドル活動に関して、止めろと言われる筋合いはない。


例え、それが担任の先生であっても……


「先生に言われる筋合いはありません!!」


「私は、あなた達の担任よ。言う義務ぐらいはあるわ」


確かに担任であるのなら、自分のクラスの生徒の事を心配するのは言うまでもない……


でも、いくら担任だからと言って、私達の趣味にまで口を出すことはないじゃないの!!


「それに、あなた達のやっている動画投稿サイトへの投稿ってのは、別に学校の部活でもなんでもないでしょ? そんな部活でもなんでもない事に力を入れたって、内申には全く影響は出ないわよ。そんな意味のない事に力を入れるのであるのなら、学校の部活にでも入りなさい」


意味のない事!?


余計な御世話だよ!!


こっちは、真剣にやっているんだよ。


体張ったり、体張ったりと、色々……


「いくら先生でも、そこまで言う必要はないじゃないの!!」


「坂畑さん、何をそんなにムキになってるのかしら?」


「そこまで言われると、さすがにムキになってくるよ!!」


「あらっ、そう。そう言えばさっき、動画投稿サイトでの投稿でお金を稼いでいる人達がいるって言っていたわよね」


「言ったけど、それがどうしたのですか?」


「そんなにお金が欲しいのなら、安定のしない方法でお金を稼ぐよりも、普通にお店でアルバイトをした方が、余程ましよ」


確かに、私が動画投稿への投稿を始めるきっかけとなったのは、自分が投降した動画の再生回数に応じてお金が入ってくる事だけど……


何度でも言ってやる、余計な御世話だと!!


動画を投稿していない沢谷先生には、言われたくない!!


「先生、言いたいことは以上ですか?」


「えぇ、今回、あなた達を呼び出したのは以上よ。今すぐに動画の投稿は止めなさい」


「止めなかったら、どうなると言うんですか?」


「そうねぇ…… あなた達にはそれ相当の処罰が下されるわ」


「なんで、そうなるのですか!? 動画への投稿は、別に学校の校則違反に書かれていないじゃないですか!?」


「確かに、動画投稿の投稿そのものの違反に関しては、校則には書かれていないわ。でも、学校に対しての迷惑行為は、充分に校則違反になるのよ。そこのところを解りなさい!!」


そして沢谷先生は、どこか自信があるかの様に、厳しい目つきをしながら、私に強く言った。


「私達が、何を迷惑したって言うのよ!!」


「そうですわ!! わたくし達が、何を迷惑したのですか?」


「学校に対する迷惑は、かっ、かけていないはずです!!」


沢谷先生に、私達の行っている動画投稿サイトへの動画投稿の件が、学校に対する迷惑行為だと言われた為、私と紗美と詩鈴は、その真相を聞こうとした。


「はいはい、うるさいわね~ 自分達が今までに何をやって来たか考えてごらんなさい。その行為そのものが、学校に対する迷惑行為なのよ」


しかし、沢谷先生は自分から具体的な答えは言う事はなく、大ざっぱに答えた。


「それに私も色々と忙しいのよ。だから話はここでおしまいよ」


その後、沢谷先生は勝手に話を終わらせてしまい、机に身体を向けて、別の仕事を始めてしまった。


「だから、先生、私達の話を聞いてください!!」


「うるさいわね坂畑さん。何度も言い訳をする前に、早く動画投稿の投稿は止めなさい。私がいう事はそれだけよ。それに、言い訳は一切聞くつもりはないですから」


私は、再度、沢谷先生に話を聞いてもらおうとして声をかけたが、沢谷先生は完全に話を聞く気がなかった。


「坂畑さん…… ここは一旦出ましょ」


「そっ、そうです。また、後で来ればいいのですから」


その様子の沢谷先生を見た紗美と詩鈴は、職員室から出ようとして、私と女月の腕を引っ張った。


「そうね…… 一旦出ましょ……」


そして、私は、女月と共に、紗美と詩鈴と一緒に職員室を出ることにした。


 まさか、新学期早々から、こんな事態になるとは……


私が、沢谷先生に真実を言ってしまったが為に……


こんな事になるとは。


予想もしていなかった!!


【D-$】は一体、どうなるの!?

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