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D-$

 そう言えば私、このアイドルグループのメンバー名なんて決めていないどころか、考えてすらいなかった!!


先週に投稿した動画に寄せられたコメントの1つに、グループ名の事を聞かれたが、ハッキリ言って、答える事なんて出来ない!!


だって、名前なんて、付けていないんだもの。


始めからないに決まってるじゃん。


「決めてなかったって、そう言えば、私も決めずに今までやっていたわ……」


「でしょ!! 私だって、決める暇もないくらい、この2ヶ月は忙しかったんだよ」


「確かに、麻子のいう通り、グループ名を考えてる余裕なんてなかったわね」


私は、パソコンを眺めている女月と一緒に、この2ヶ月の忙しさを振り返り、アイドルのグループ名を決めていなかった事を言った。


「それでしたら、今、この場でわたくし達のアイドル活動のグループ名を決めましょ」


「そっ、それは、良いですね……」


そんな中、紗美と詩鈴の2人が、この場でグループ名を決めないかという案を提案してきた。


なるほど……


今まで考えてなかったものだから、今、この場でみんなで考えるってのはいいね~


「そうだね。せっかくだし、みんなで決めよっか!!」


もちろん、私は2人の案を即オッケーした。


「そうね。皆で考えるのは良いかもね?」


「でしょ!! 女月ちゃんもそう思うでしょ」


そう言いながら、女月はイスから降り、私達がいるテーブルの方へとやって来た。


 その後、女月がノートとペンを持って来て、アイドル活動のグループ名を決める会議が始まった。


「私達のアイドル活動のグループ名は、どんな感じが良いかしら?」


ペンを持った女月が、皆の意見を聞き、ノートにまとめる役となった。


「ん~ こういうのって、なかなかいいのが思いつかないんだよね~」


なぜか、この私でも、グループ名などの様に、名前を付けるというのは、そう得意なものではない。


その為、こればかりは、勉強の様に頭を悩ませてしまう。


「確かに、こういうのって、いいのが簡単には出てこないですわね……」


「わっ、わたしもです……」


それは、私だけでなく、紗美や詩鈴も一緒であった。


そして、私達は、グループ名を悩む様に考え始めた。


 そんな中、女月が何か良い案を閃いたようである。


「こんな名前はどうかな?」


「えっ!? どんな感じの名前?」


私は、女月が言うのだから…… という思いはあったものの、私達ではグループ名は思いつかなかった為、少しは期待をしてしまった。


「『ザ・オーガ―ムーン・ズ』ってのはどうかな?」


私の予想通り、女月が出したグループ名の案は、見事にダサかった……


「女月ちゃん…… いくらなんでも、ダサすぎるよ」


「確かに、阪畑さんの言う通りですわ……」


「わっ、わたしも、そっ、それはダサいと思います……」


私だけでなく、紗美も詩鈴もダサいと言った。


まっ、そうでしょうね……


『ザ・オーガ―ムーン・ズ』って、まるで、昭和のバンドの名前みたいじゃないの……


「えっ、何でよ!! 『ザ・オーガームーン・ズ』って、カッコいいじゃないの?」


「いやっ、普通に古臭くてダサいよ」


「えぇ!! ふっ、古臭い!?」


「うん、古臭いよ」


私は、古臭いと聞いて驚いている女月に、再度古臭いと言ってやった。


「ウソでしょ!? 桜宮さんや朝芽さんは、カッコいいと思うでしょ!?」


「わたくしも…… カッコいいとは思いませんわ……」


「わっ、わたしもです……」


「えぇ!! 2人そろって……」


紗美と詩鈴にまでダサいと思われた女月は、ショックのあまり、驚いて開いた口が塞がらない状態であった。


 そして、女月が驚きのあまり動かなくなってしまった為、私は紗美と詩鈴の3人で、グループ名を考える事にした。


「とりあえず、女月の言った『ザ・オーガームーン・ズ』はダサすぎる為に無しとして…… 何かいい案はない?」


「ん~ そうですね…… こんなのはどうでしょうか?」


「どんな感じ?」


そんな中、紗美が何か良い案を思いついた為、私は紗美の話を聞く事にした。


「『Cherry・tree・Forest』略して『CTF』ってのは、どうですか?」


「それって…… 紗美さんの名字の桜と森を、そのまま英語にしただけだよね?」


「はいっ、そうですわ」


紗美は、ニコッとした表情で、私に考えたグループ名を言った。


なぜ、女月にしても、紗美にしても、自分の名前から、グループ名を付けてしまうのかな?


そう思い、私は詩鈴に、何か良い案はないか聞いてみた。


「そう言えば、詩鈴さんは、何か良い案は思いついた?」


「わっ、わたしですか!?」


「そうだよ。女月ちゃんも紗美さんも自分の名前からグループ名を付けちゃったから、詩鈴さんはそんな事のない様にお願いするね」


私が、詩鈴の方を見ながらそう言うと、詩鈴は怖がる様に、プルプルと震えだした。


恐らく、詩鈴は人見知りだから、変なプレッシャーを与えてしまったのだろう……


まっ、いい。


詩鈴よ、ここで頑張って、人見知りを克服していくのだ!!


私は、応援してるぞ。


「わっ、わっ、わっ…… わたしは、このグループ名を…… 『Animation・Contribution・Idol』。略して『AC・Idol』ってのは、どっ、どうでしょうか?」


恐らく、動画投稿サイトにちなんで、動画と投稿を英語にしたのだろうね。


先程までの、自分の名前をグループ名にしているよりは、余程マシだとは思うよ。


「まぁ、私は悪くないと思うけど……」


「そっ、そうですかぁ~ よっ、良かったです……」


そう言って、詩鈴はそのまま床に胸に手を当て、ホッと一安心をした様子でいた。


 そして、私はこの詩鈴が決めた案で行こうとしたが、どうもすぐには納得の返事をしなさそうな人達がいた。


「その前にまって、詩鈴の案を決める前に、まずは麻子の考えを聞かせて」


「そうですわ!! 私達ばかりに言わせて、自分の案を言わないのは、卑怯ですわ!!」


女月と紗美は、どしても私の考える案を聞きたくて仕方がなかった様である。


その為、私も先程思いついたグループ名の案を言う事にした。


「そんなに聞きたいようだし言うわね……」


私は、一瞬考える為、空白を開けた。


「私が考えた案は…… 『動画投稿サイトを使ってアイドル活動をやってみた』。略して『どーどる』よ」


私は、先程の詩鈴の案から、ヒントを得て、速攻で思いついた案を言った。


「なるほど、『動画投稿サイトを使ってアイドル活動をやってみた』から『どーどる』って、案は意外と悪くはないわね」


「そうですわね。なんだか、シンプルで悪くはないですわ」


以外にも、女月と紗美には、高評価であった。


適当に考えただけに、当初は、叩かれる案かと思っていたけど、意外とそうではなかった。


「女月ちゃんと紗美さんは良いって言っているけど、詩鈴さんは、どうかな?」


「わっ、わたしも、いっ、いいと、おっ、思います……」


詩鈴は、緊張した様子でありながら、良いと私に言ってくれた。


「じゃあ、決まりだね!! 『どーどる』で」


 こうして、私達のアイドル活動のグループ名は、『どーどる』で決まりそうになった。


「でも、動画を投稿しているアカウントの名前が『どーどる』って、平仮名なのは、少し間抜けみたいじゃない」


ここへ来て、まさかの女月が『どーどる』の案に言いがかりを付けてきた。


「じゃあ、どうするんだよ!!」


「そうするのよ」


そう言って、女月はノートに『D-$』という文字を書いた。


「アカウント名の『どーどる』は、この『D-$』の文字を使うのはどうかな?」


女月がノートに書いた『D-$』という文字は、確かにカッコよい感じの文字であった。


「私は、それでも良いと思うよ」


「わたくしもですわ。どこかに読み方を書いておけば、観ている人達はすぐに覚えてくれるでしょうね」


「そっ、そうですね…… わたしも、それでいいと思う」


女月が書いた『D-$』という文字を見た私や紗美や詩鈴は、反対をする事はなかった。


「じゃあ、これで決まりね。今日から私達のアイドルグループ名は『D-$(どーどる)』で決定!!」


そして、女月は、嬉しそうにノートに書かれた『D-$』という文字を、赤ペンで丸をした。


同時に、動画投稿サイトでのアイドル活動が始まって、2ヶ月、ついにアイドルグループ名が出来上がった。

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