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思いをぶつける

 アイドル活動で、初めての歌動画を投稿したその日の晩、私は家のお風呂の湯船に浸かりながらスマホで観ていた、この日投稿した動画の事を朝芽さんにも知らせようと思い、私は朝芽さんのスマホに動画投稿サイトに投稿している動画のURLを付けてメールを送った。


『朝芽さん、こんばんわ

今日は私達のアイドル活動において、初めての歌動画を投稿したの

この歌動画は、私達の頑張りや前向きな気持ちが伝わってくる歌だから、絶対に観てね

リンクはこちらに貼っておきますね』


すると、朝芽さんからの返信はすぐに来た。


『こちらこそ、こんばんわ

新しい動画の更新のお知らせ、ありがとうございます

からなず観ますね』


『うん!

絶対にオススメだから、観てね』


私は、少々強引であったが、どうしても朝芽さんに今日投稿動画を観てもらいたくて、『絶対』と言う言葉を使った。


 そして、しばらく時間が経ち、私は朝芽さんにチャットの通話機能を使って、電話をかけた。


「やっほ~ 朝芽さん。電話かけちゃった」


「こっ、こんばんわ…… どうして、突然お電話を?」


「いや、なんとなく、朝芽さんと一緒に話がしたいなっと思って」


「そっ、そうですか。わたしは構わないわ」


突然電話をかけらた朝芽さんは、凄く緊張をした様に驚いていた。


「ありがとう。ところでさ、今回の私達の動画、どうだったかな?」


「すっ、凄く良かったですわ。確かに、阪畑さんの言う通り、頑張ろうという気持ちや前向きになろうという気持ちになろうと思います。わたしも、自分の気持ちに前向きに行こうかな?」


「行くべきだよ!! そう言えば、朝芽さんは、私達のアイドル活動に興味はあったよね?」


「えぇ…… まぁ、多少は……」


「せっかくだしさ…… このまま私達と一緒にアイドル活動をしてみない!?」


ついに言っちゃった!!


さすがの私でも、こればかりは無性に緊張がする。


そう、今の朝芽さんの様に。


この言葉を言った後、朝芽さんは少しの間黙り込んだ。


 それからしばらく時間が経過した後、朝芽さんから新たなメールが届いた。


「いっ、良いんですか? こんな私なんか入っても?」


「良いんだよ だって、私達のやっているアイドル活動に興味があるんでしょ?」


「そっ、そうですけれども…… 興味があるのと入るのとでは、また別なのでは……」


「まぁ、確かに別かも知れないけど、朝芽さんは歌が上手いからいいじゃない!! その上手い歌声を、もっと多くに人に聞いてもらおうよ。そうすればきっと、たくさんの人が朝芽さんの歌声に感動するはずだよ」


「わっ、わたしの歌声で感動をですか? 本当に、私の歌声で感動なんて出来るのですか?


確かに朝芽さんの言う通り、本当に感動出来るかなんて分からない。


なにしろ、歌が上手いと言われている朝芽さんの歌声をまだ聞いた事がないのだから。


根拠なんてない。


でも、電話越しで話をしていても、朝芽さんは歌が上手いと、私は思う。


なぜなら、今は緊張気味でカクカクした感じの喋り方ではあるが、喋っているだけでも本当は綺麗な声をしていると言うのが分かる。

 

スマホの先から聞こえてくる声は、確かに間違いなく噂通りの綺麗な歌声を持っている人の綺麗な声である。


 ただ、今はその綺麗な歌声は完全には活かされてはいなさそう……


だからこそ、私はそんな朝芽さんの才能を活かそうと思い、朝芽さんをアイドル活動に誘ってみた。


「本当に出来るよ。今は緊張をして分かり辛いかも知れないけど、朝芽さんは声が綺麗だもの。この事は、私にも充分に伝わってくるよ」


「あっ、ありがとうございます」


「朝芽さんの歌声なら、本当に人を感動出来るかも知れないから、メールで言うのも変だけど、私達と一緒にアイドル活動をやろうよ」


そして、私は再度、朝芽さんをアイドル活動のメンバーに誘ってみた。


 すると、朝芽さんは、自分が何か悪い事をしたかのように、謝罪を申す言葉を言って来た。


「お言葉はありがたいのですが…… 先に謝っておかなければならない事があります」


「何、言ってみて」


「実は、昨日、阪畑さん達のアイドル活動の練習を見に行くと言いましたが、少し急用が出来てしまって、観に行く事が出来なかったのです」


「その事? その事なら、昨日にメールで確認したよ」


なんで今更、こんな事で謝っているのだろ?


この時の私は、ただそう思っていた。


「メール? わたしは昨日、メールなんか送っていないですけれども」


「え? チャットページの上にあるはずよ」


「でも…… わたしのチャットページの一番上は、阪畑さんが送って来た動画付きのメールですけども」


え!? なんで。


この時の私は、昨日に送ったメールの事が再び気になった。


「だとすると、私が初めに送った、山田さんと一緒に観に来る様に言ったメールもないの?」


「そのようなメール、見ていないわ」


もしかしたら、私の予想が当たったかも知れない……


あまり思いたくはなかったのだが、本当に女月の言う通りだったかも知れない。


その時、私はこう確信をした。


「まさか、昨日の用事って、山田さんと一緒だったとか?」


「はっ、はい。山田さんも一緒にいましたけれども、どうかされましたか?」


やっぱりだ!! やっぱり、山田が朝芽さんのスマホを使い、私のスマホに用事があると言った嘘のメール文を送ったのは、山田に違いない!!


「山田のやろー!!」


今回のメール事件の真相に、山田が関わっていると知った瞬間、私は怒りの勢いから、そのまま浸かっていた湯船の上に立ち、山田の名前を叫んでしまった。



 そして翌日、私と朝芽さんは山田に一昨日のメールの件を言う為、図書室で山田と話をしていた。


「一体何? 私は図書部で忙しいんだから、要件はすぐに終わらせてね」


山田は、相変わらずのウザい性格をしていた。


「山田さん…… 単刀直入に言うわね。一昨日の昼頃に、私が送ったメールを消したり用事があると言って朝芽さんが来れないと言ったメールを送ったのは、本当は朝芽さんではなく、山田、あなたでしょ!!」


私は、自らの推理で予想したメール事件の犯人である山田に直接言ってやった。


「だから何? 証拠でもあるわけ?」


「証拠なら、ここにあるわよ」


私はそう言って、朝芽さんに最初に送ったメール内容とその次のメール内容とを、送られた時間が表示されているチャット文を証拠品として見せつけた。


その証拠となるチャット文を見た瞬間、山田の顔の表情は、確実に隠し事がバレた時の様に、固まった顔をしていた。


やっぱり、山田が犯人であった。


 そう分かった瞬間、朝芽さんは山田に自ら真相を聞き出し始めた。


「山田さん…… どうして、こんな事をしたのですか?」


「どうしたって…… それは、詩鈴を心配しての事よ」


「心配したからって、メールを消すのはよくないわ」


「だっ、だって…… これは、私が詩鈴の事を心配してやった事よ!! 私は詩鈴の事が心配なのよ」


「そんな過剰な心配なら、わたしは、もういらないわ!!」


突然、図書室内にも関わらず、朝芽さんは今までのイメージを覆すくらい大きな声を出した。


そんな朝芽さんを見た山田は、一瞬、ビクッとなっていた。


もちろん、私もビクッとなった。


「今まで、何かある度に山田さんは、わたしの事を心配するかのように止めてばかり来た。小学生の時も中学生の時もそうだった」


「そりゃあ、私は友達として、詩鈴の事を心配してそうやったのよ。詩鈴が間違った道を歩まない様にする為に」


「そのおかげで、わたしは今まで自分のやりたい事が、ほとんど満足に出来なかったのよ」


「だから、どうしたのよ? そのおかげで、今日まで真っ当に生活が出来て良かったじゃない……」


ダメだ、ハッキリと喋る朝芽さんにキツイ事を色々と言われている山田は、既に半泣き状態だ。


「でも、私はもう高校生、子供じゃないわ。だから、これからは自分の道は自分で決めるわ」


「だから、あんなお遊びのアイドル活動に行くつもりね。どうせ、アイツにそう言えって言われているんでしょ?」


「そうよ。それの何が悪いの? アイドル活動に行くと言うのは、最終的に決めたのは私よ。私の意思で決めた事よ」


「でっ、でも…… あんな部活動でもなんでもないところに詩鈴が行ったら、絶対にロクでもない目に合うわよ…… 止めて、行かないで……」


「例え、どんな結果が来ようとも、わたしは自分の才能に挑戦したいと思うの。それに新しい友達も出来た事ですし、今まで以上に楽しめると思うのです」


「なっ、何が言いたいのよ!?」


「わたしは、少しずつ、今までの自分から変わろうと思うの」


そう言いながら、朝芽さんはメガネとサイドテールに結んでいる紙紐を取り外した。


 その時に見た朝芽さんの姿は、完全に黒髪ロングの美女そのものであり、さっきまでの朝芽さんとは、完全に別人に見えた。


「だから、友達だったらお願いがあるの。もう、わたしの事を止めないで……」


朝芽さんはそう言いながら、図書室、そして山田の元を離れていった。


ついでに私も、朝芽さんと一緒に図書室を出て行った。


「バカ、バカ、バカ…… もう、どんな目に合っても知らないから。勝手に好き勝手してればいいのよ」


後から聞こえてくる山田の声は、既に泣いている人の声であった。


まるで、1人の友達をなくしたかの様に……

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