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一緒に登校

 今日の登校中は、数日前とは異なり、歩きスマホはやらずに登校をしていた。


歩きスマホをやらない理由は、昨日に人とぶつかっちゃったからねぇ。


まぁ、そんな感じで、今日は歩きスマホをやっていない為、少し退屈な通学となってしまったが、これはこれで別に構わない。


なぜなら、スマホを触っていないおかげで、頭をリラックスさせて考え事が出来るからだ。


そんな感じで、私は学校までの道のりを歩いていると、数日前に歩きスマホをやっていて朝芽さんとぶつかってしまった場所まで来ていた。


そこには、あの日と同じ様に今日もまた、朝芽さんが同じ道を通っていた。


「あっ、朝芽さんだ!! おっはよ~」


「ひっ ひぃ~」


私は、朝芽さんに気軽な感じで挨拶をしたのだが、なぜか朝芽さんに恐がられてしまった。


なぜだろう? やっぱり、数日前の一件のせいだろうか?


まぁ、そんな事は今は気にしない。


とりあえず、もう一度朝芽さんと、今度は2人きりで話をしてみようと思い、私はもう一度話しかけてみる事にした。


「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」


そして、私は怖がる様子の朝芽さんに近づき、優しく話しかけた。


「ほっ、本当に大丈夫? あの日みたいに怒ったりはしない?」


「いやっ、特に怒る理由もないし大丈夫だよ」


「とっ、とりあえず、あの日は…… ごっ、ごめんなさい!!」


「どうして謝るの?」


「だっ、だって…… あの日はわたしの友達の山田さんが、失礼な事を言ってしまったので……」


朝芽さんは、数日前の一件の出来事を、物凄く気にしていた様である。


「別に、朝芽さんが謝る事はないよ。朝芽さんは別に悪くないんだから」


「でっ、でも…… ああなってしまった原因は、わたしにある事だし。やっぱり、謝っておかないと悪いかなと思って……」


「とりあえず、気にしなくっても大丈夫だよ。朝芽さんは悪くないんだから」


「ほっ、ホントにですか?」


「ホントだよ。だから、一緒に学校へ行こう。私は朝芽さんと一緒にお話がしたいの」


「はっ、はいい。わたしは別に大丈夫ですよ……」


「そう、よかった。じゃあ、一緒に学校へ行こう!!」


「うん…… でも、山田さんの事は悪く思わないで下さい。山田さんはホントは、友達思いの良い人なの」


「分かったよ。私は朝芽さんの言った事を信じるよ」


そう言って、私は朝芽さんと2人きりで話をする為、一緒に学校まで歩いて行く事にした。



 季節はいよいよ本格的に夏が始まろうとしている6月終盤のこの日、日に日に暑くなる太陽の熱が降り注ぐ中、私と朝芽さんは、色々と話をやりながら学校まで歩いていた。


「そっ、そう言えば、どうしてアイドル活動を始めようと思われたのですか」


「まぁ、特に具体的な理由はないのだけれども、ただの思いつきかな?」


「おっ、思いつきなんですか?」


「とにかく、思い立ったら、すぐに行動だよ!!」


朝芽さんは、緊張のあまりか、会話のところどころが噛んだ状態であった。


「すっ、凄いですわね。わたしなんて、思いついてもそんな勇気がなくて、なかなか前には踏み出せないです」


「確かに、新しい事に挑戦をすると言うのは勇気がいる行為だよ。でも、そんな勇気を乗り越えた先にあるのは、今までに見た事がない新しい世界なんだよ」


「なるほど…… 冒険家なんですね」


「冒険家!? 私は、そんな冒険家なんかじゃないよ。本当に冒険家なのは、女月や紗美の方だよ」


「あっ、あの…… 女月さんと紗美さんって、誰でしょうか?」


あっ!? そう言えば、私達の名前をまだ、言っていなかったわ……


「女月と紗美って言うのは、私達と一緒にアイドル活動をやっているアイドル仲間なの。ちなみに、私の名前は、阪畑麻子ね。麻子って呼んでくれたらいいから」


「麻子さんですね。覚えておくわ」


そして、私は自分の名前を、朝芽さんに教えた。


 その後、私はあの日以降、朝芽さんの事で気になっていた事を聞いてみる事にした。


「そう言えば、朝芽さんって、昔からそんな喋り方なの?」


「そっ、そんな喋り方とは?」


「いやっ、なんというか、会話の所々が噛んだ感じの喋り方が」


「そっ、それは…… わたしは、昔から人見知りな性格でして、しっ、初対面な人との会話では、とっ、所々が噛んでしまうクセがあるのです……」


「なるほど、人見知りで緊張をして噛んでしまうってわけだね」


「はっ、はい……」


私は、数日前から気になっていた、朝芽さんの喋り方について、朝芽さん本人に直接聞いてみると、朝芽さんは人見知りな性格の為に、緊張のあまり、会話の所々が噛んだ感じになってしまうと言った。


「大丈夫だよ。そんなの気にせずもっとリラックスして喋ってみれば、噛んだクセの喋り方なんて、すぐになくなるよ」


「ほっ、ホントですか?」


「ホントだよ。一度リラックスして喋ってみてよ」


そして、私は朝芽さんにリラックスをして喋ってみる様に言ってみた。


「はっ、はい! やってみます」


「まぁ、最初は、少しずつ慣らしていくのが良いよ」


「そうですね。そうなれるように頑張ってみます」


そして、朝芽さんは、少しずつではあるものの、人見知りで噛むクセを直そうとした。


 そして、私はもう1つ気になっていた事を聞いてみた。


「そう言えば、噂だけでしか聞いた事が無いのだけれども、朝芽さんって、本当に歌が上手いの?」


今更少し失礼かも知れないと思いつつも、私は朝芽さんの喋り方から、本当に歌が上手いのかを疑ってしまい、この質問をやってみた。


「そっ、その件に関しては、ホントに噂です……」


「やっぱり、噂だったんだね」


朝芽さんから、その言葉を聞いた途端、私は少しガッカリした。


って、良く考えたら、自分で歌を上手いという人なんて、目立ちたがり屋や調子乗りでもない限りは、そんな事を言う人なんてそういないはず。


てことは…… 


もしかしすると、朝芽さんの歌が上手いのは、噂だけではなく、ホントなのかも知れない?


「仮に、歌が上手いのは噂だとしても、朝芽さんは歌が上手いと私は思うよ」


「どうしてですか?」


「だって、朝芽さんが嘘をつく様には見えないから」


「そうですか……」


「だからさ、朝芽さん、もっと自分に自信を持ってみようよ」


「どういう感じにですか?」


「例えばさ、そのメガネを外してみてよ」


「メッ、メガネですか?」


「そうだよ。早く外してみてよ」


「わっ、わかりました……」


そして、朝芽さんは私の言う事を聞く様に、メガネを取り外した。


 メガネを取り外した朝芽さんの顔は、予想通り物凄く可愛い顔をしていた。


悔しいが、こればかりは間違いではなかった。


もしかしたら、私達のアイドル活動に協力をしてくれれば、センターとして大活躍が出来るかも知れない。


「どっ、どうですか? やっ、やっぱり変でしたか?」


「変なんかじゃないよ!! その逆、物凄く可愛いよ!!」


「ホッ、ホントですか?」


「ホントだよ!! だからこそ、もっと、自分に自信を持とうよ」


その可愛らしい朝芽さんのメガネを外した素顔を見た私は、その可愛さのあまり、ただの歌の指導員としてだけではなく、私達のアイドル活動のグループに欲しいと思ってしまった。


「もっ、もっと、自信を持つべきですよね…… わっ、わたしも、少しは頑張ってみます」


「そう、その調子だよ!!」


「はっ、はい!!」


その後、朝芽さんは再びメガネをかけ直し、私と一緒に学校まで歩いて行った。



 そして、学校に着き、2人での楽しい会話をやりながらの登校時間は終わりを迎えた。


「学校に着いた事だし、ここでお別れだね」


「はい。わたしは、また麻子さんと一緒にお話がしたいです」


「そうだね。せっかくだし、チャットのIDを教えとくよ」


「そっ、そうだね。じゃあ、わたしのも教えますね」


校舎の入り口で、私と朝芽さんは、これからも互いに連絡を取り合えるようにする為、チャットのIDを交換した。


「ありがとう。これで、朝芽さんといつでも話が出来るね」


「はいっ、わたしもチャットの連絡を知る事が出来て、とても嬉しいです」


私のチャットの連絡先を知った朝芽さんは、とても嬉しそうな表情をしていた。


「あっ、そうだ!! 今日の放課後も、校庭の隅で練習をするのだけども、朝芽さんも見に来る?」


「えっ? 良いんですか? はっ、はい、見に来ます!!」


「じゃあ、放課後、待ってるからね!!」


こうして、私と朝芽さんは、それぞれの教室に行く為、校舎の入り口で別れた。


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