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ムカつくヤツ

 図書室前に立ち止まり、今朝の投稿中に歩きスマホをしてぶつかった子の名前を思い出した瞬間、図書室の方からとんでもない衝撃的な発言が飛んできた。


あれっ!?


そう言えば、さっき図書室から、詩鈴って聞こえてきたような……


「ねぇ、今さっき、詩鈴って聞こえて来なかった?」


「確かに聞こえましたわ」


「うん、私も聞いた」


やっぱり、間違いない。


今度こそ、本物の朝芽詩鈴に合える。


まさか、朝の登校中に歩きスマホをしてぶつかった時に一度出会っていたなんて、なんて奇遇なの?


「とりあえず、詩鈴さんがいたと言うのは分かった。となるともちろん……」


「引き返す事なく、スカウトね!!」


「そうですわね! 行きましょ!!」


こうして、私達は再び、図書室の中へと入って行った。


 そして、私達は再び図書室に入るなり、先程と同じ様に、図書室のカウンターにいた、登校中にぶつかった朝芽詩鈴さんに話しかけた。


「朝芽さん、こんにちわ」


「えぇ!!うゎあ!!」


私は、見かけるなり突然話しかけたせいか、朝芽さんはとても怯える様に驚いた。


朝芽詩鈴の外見は、身長は私よりも少し小さく女月と大差がない身長であり、髪型は黒のサイドテールであり、顔にはメガネをかけている。


「ま~た、あんた達。一体何が目的なのよ?」


その様子を見た、カウンターに座っていた人は、先程の件もあったせいか、とてもダルそうな目付きで、私達の事を見ていた。


「そんなに驚かなくても大丈夫だよ。そんな事よりは、今朝、ぶつかってゴメンね」


「いっ、いえ…… わたしは、特に気にしていませんので……」


とりあえず、軽い挨拶のつもりで、私は登校中の歩きスマホでぶつかった事を謝った。


「あなた達が詩鈴に会いたかった目的って、もしかしてその事。要が済んだら、さっさっと帰ってくれないかな? こっちは忙しいのよ」


カウンターにいる人は、相変わらず感じの悪い人であった。


確かに、私と女月が人違いをしたのは悪かったけど、ここまで恨む事はないと思うのだけれどもね。


「まぁまぁ、そう言わずに、私達は、朝芽さんにお願いがあってここに来たのよ」


「そうなの。だったら、早く様を済ませて」


そして、女月がそのカウンターにいる人に図書室に来た理由を説明をすると、その人はまたしても私達をウザがる様な目付きで見ては、早く帰って欲しいと思っている感じでいた。


「朝芽さん、私達のお願いを聞いてはくれないでしょうか?」


「はっ、はい…… そっ、その、要件とは、なんなのでしょうか?」


その後、紗美が朝芽さんに話しかけると、朝芽さんは凄く緊張をした様子で、その話を聞こうとした。


「実は、わたくしたちは、動画投稿サイトを使って、アイドル活動をやっていますの」


「そのアイドル活動って言うのは、主に踊ったり歌ったりしる動画を、出しているのだけれども……」


「どうも、私の歌は音痴みたいで、その歌の上達法がなかなか分からないの」


「そこで、お願い。朝芽さんの上手いと言われている歌唱力で、私達の指導をやってくれないでしょうか!!」


私と紗美と女月は、無理承知の上でのお願いを、朝芽さんに行った。


もちろん、突然のお願いを聞いた朝芽さんは、驚いた様子であったが、すぐに何か言いたそうな様子で口を動かそうとした。


「あっ、ありが…… わたっ、私で……」


口を動かした朝芽さんは、緊張のあまりか、言葉が噛んだ様子で上手く聞き取れない感じで喋っていた。


「べっ、別に……」


「ダメよ、詩鈴!! そんな人達の言う事を聞いてはダメよ!!」


そんな中、朝芽さんが喋っていた最中のもかかわらず、カウンターにいる人は、朝芽さんにアイドル活動に協力するのを止める様に言った。


「ちょっと待ってよ!! あなたが決める事じゃないじゃないの!!」


「私は、詩鈴の友達として言っているだけよ!!」


「それは、友達のあなたである意見じゃないの? 私達は、朝芽さんの意見を聞いているのよ」


「詩鈴は、昔から1人でなかなか物事を決められない子だから、こうして私が詩鈴を、間違った方向に進ませないように止めているだけよ!!」


「私達のやっている事は、間違った事とでも言うの?」


「えぇ、間違った行為よ!!」


その為、私は突然口を割る様に入って来たカウンターにいた人と、口ゲンカとなってしまった。


「やっ、山田さん…… ケッ、ケンカはダメ……」


そんな様子に、朝芽さんは友人である山田さんを止めようとしていた。


って、カウンターにいた人の名前って、山田だったんだ……


「山田さん、否定をするのであれば、まずは、わたくし達のアイドル活動を観てから、言って欲しいですわ」


「そうよ。観ないで間違った方向とか、悪く言わないでよね!!」


そんな中、紗美と女月は、スマホをカバンから取り出し、今まで投稿をした動画を見せようとしていた。


「どうせ、くだらない動画に決まってるわよ」


「それを言うのは、観てからにしなさい!!」


「紗美の持っているビデオカメラは凄いのよ。あまりの高画質で驚くなよ」


そう言って、紗美と女月は、あまり動画の内容に興味を持っていない山田に少しでも認めてもらう為、今までのアイドル活動の動画を見せ始めた。


「さっ、朝芽さんも一緒にみようよ」


「はっ、はい……」


同時に、私も戸惑った様子の朝芽さんの手を引っ張り、女月と紗美がいる場所へと行き、一緒にアイドル活動の動画を観る事にした。


 前回の紗美を仲間に入れた時とは異なり、今回は動画もいくつかあった為、全ての動画を朝芽さんと山田に見せる事にした。


今まで投稿した動画は、全て、歌を流しながらのダンス動画ばかりなんだけど……


そんな動画は、10分もあれば、全ての再生は終わる。


「っで、どうだった? 私達のアイドル活動の動画は?」


「凄かったでしょ。なんたって、桜森さん自慢のビデオカメラで撮影をして作った動画なんだから」


動画の再生が終わった後、私と女月は、朝芽さんと山田に対し、先程見ていただいた動画の自慢を行った。


「すっ、すごいです……」


「そうでしょ。今の私達は、この動画を投稿するのが、すっごく楽しくてしょうがないんだよ」


朝芽さんの反応は、意外とよかった。


 しかし、問題は山田の方である。


「な~に、この動画?」


「何って、これが私達のアイドル活動?」


「アイドル活動!? プププ、笑わせるんじゃないわよ。こんなクソつまらないお遊びに、詩鈴を巻き込まないでくれるかな?」


残念だが、予想通りであった。


山田は、私達のアイドル活動には納得をせず、朝芽さんを歌の指導員として協力させる事に反対をした。


「私達のやっている事は、遊びじゃないよ!! それに部外者は黙っててよ!!」


「しつこい人ね。あなた達のやっているアイドル活動なんて、部活動でもなんでもない以上は、どんな言い訳をしたって、お遊びなのよ! お・あ・そ・び!!」


「だから、遊びじゃないって言ってるじゃないの!! それに、動画投稿サイトでは閲覧数に応じて報酬が入るシステムがあって、それを仕事にしている人だっているんだから!!」


「でも、それって、ほんの一部の人だけでしょ。それに、そんなのを仕事にしてるって、胸張って言えるの? 言えるわけないよね? だって、いくらお金を稼いでいても、そんなのはニートと何ら変わない。ただの無職って言うのよ!!」


聞いていて本当に腹が立って来るほどムカつくが、山田の言っている事は間違いではない。


世間ではまだなじみがない為、動画投稿サイトでお仕事をしていますと言うと、ほとんどの人はその人を無職扱いしてもおかしくない。


それが、現在の認識なのだ。


でも、トップ投稿者の『レンレ~』は、タレントだと思う……


「それに、動画投稿サイトって、犯罪予告をやったり、モラルのない人がたっくさん動画を投稿してるって、ニュースでも聞いた事があるわ。どうせあなた達も、アイドルとか言いながら、クソくだらないいやらし動画の投稿とかやるつもりなんでしょ?」


さすがに、私も山田の話を聞いていて腹立たしく思ってきた。


いくら間違った事は言っていないとはいえども、限度ってのがある。


「いいかげ……」


「いい加減に、しろよ!! お前に何が分かるんだ!! 何もわかっていないくせに、勝手に口出しなんてしてくるな!!」


その為、私が一発ガツンと山田に文句を言おうとした瞬間、割り込む様に女月が私よりも先に、山田に対して一発ガツンと不満を言った。


その女月の一言を聞いた山田は、まるで猛獣に睨まれた小動物の様に怯え、同時に山田の友人の朝芽さんも怖がっていた。


山田と朝芽さんだけではなく、私と紗美も、ビクッとなって驚いた。


「麻子っ、帰るわよ!!」


「えぇ!! でも……」


その後、私は女月に手を引っ張られながら、一緒に図書室を出て行った。


「あぁ、阪畑さんに尾神さんに、待ってください!!」


その後ろを、紗美が追う様に付いて来た。


結局、歌の指導者を求めに図書室に来てみたが、何の成果も得る事が出来なかった。


ただ一つ言えるのは、勧誘の失敗。


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