『玄人仕事・アーカイブス #4~#6』
#4 『スクール・スーパーバイズ』
<2015.4/8 ~ 5/22投稿>
「#3」から一ヶ月弱の準備期間を終えて、始業式くらいの時期に始まった学園ものです。
全46部に及ぶ、『玄人仕事』初の大長編になりました。
多分ここで初めて明かすことになると思うのですが、実はこの『玄人仕事』の一連のシリーズ。全十章と謡っていながら準備が万全ではありませんでした。それも間抜けなことに、実際に「なろう」で連載を始めて、かなり経ってから気づいたのです。
「ああ! 全十章なのにお話十個無いじゃん!」―― と。
晴天の霹靂でしたね…… 自分でも驚きでした。
本当に、当時どうして「イケル!」と思って連載始めたんだろう……
そういったわけで「#3」執筆終盤くらいにようやく構成を再確認した結果、全十章のうち、4、6、7、8――
四章ぶんもの話が欠番していることに気づいた私は(『玄人仕事』とは直接関係のない物語が四章ぶん入っていたのを勘違いしていた模様)、急遽プロットから用意し、この「#4」を一から作りあげることになりました。
当時「#1」には「学園もの」要素はそれほど含まれていなかったこと、そして「現代もの」も今後に用意されていなかったため、ジャンルはすぐに「現代学園もの」と決定されました。
とはいえ、普通に学園ものを描くのも面白くなさそうだったので、そこに「超能力」を絡め、プロットが立てられていきました。
結果としてはかなりどころか、どうして書けたのかわからないくらい気に入っています。
嬉しいことに、様々な方から好評価をいただいた章となってくれました。
この頃になると…… というか、完全に新しく作った章でしたので、プロットはかなり丁寧です。
わりと複雑な部類に入るお話だったせいか、人物や時系列も作られていて、今でもその力の入れようが手元の資料からはうかがえます。
惜しむらくは、これくらいしっかりしていてどうして栄作や真唯の超能力を活かしていないのか……
今の私からすると、そこだけは残念な感じです。
「#4」は誰も彼もがしっかり自発的に動いてくれる人物たちで、逆にこっちから歯止めをかけないと収集がつかなくなることがよくありました。
とくに未沙都とか未沙都とか……
個人的には書きやすいタイプのお話だったので、シナリオに苦労はありませんでした。
初の戦闘のないお話なのに物足りないと感じることもなく、最後まで楽しんで書くことができました。
二月と伊達が、空き家でご飯を食べてるシーンとかがお気に入りです。
「#4」は結構に裏話の多い章で、「今飲みたいものを出してくれる喫茶店」など、私の個人的な過去作(未発表)からひっぱりだしてきたお遊びもあれば、のちの「異世界転生できませんでした。」に関わる梢一族の誕生など、思い入れも強い章です。
考えてみれば「バタフライ・エフェクトヒーロー」なんかも同じ世界なんですね。うわぁ、あの世界、超能力者いるんだ……
そして究極の裏設定としては…… この「世界」の主人公はなんと「木林栄作」で、この世界での伊達に課せられた仕事は「栄作に超能力者同士が手を繋いで能力を増強させる現象を見せること」だったという…… 本編中どうでもいい設定が盛られています。
なんでもあの事件の数年後、充考たちと離れ国の機関に入った栄作が、とある世界に関わるような大事件を解決する際に、あのトラック事故の瞬間の不思議な現象を思い出すのだとかどうだとか…… まぁ、とってもどうでもいいですし、忘れましょう。
梢一族のいるこの世界には、ひょっとするとまた別の作品でお会いできるかもしれないですね。
実はこの「#4」、『玄人仕事』において初めてブックマークが1、評価ポイントが2に動いた記念すべき章でした。
なろう投稿から二ヶ月間、一切のポイントなし…… 「書きたい」というだけでも、モチベーションって保てるものですね。
各話のタイトルは、あたりまえのように「学校」で統一を図っています。
#5 『パースペクティーフ・オブ・デザート』
<2015.5/24 ~ 6/4投稿>
欠番ではなかっただけにあっさりと終わったお話でした。
昔に作ったお話ですし、登場人物も極めて少ないせいか長くなる要素が皆無でしたね。
「#9」「#10」を除いて一番若い、二十二歳の頃の伊達が活躍する話であり、そして「#2」に並んで珍しく黒ジャンパーが出て来ません。
宇宙からの侵略者であるウェイロンは、『玄人仕事』には珍しい裏表のない根っからの悪役です。
会社の指示に従っているだけ…… といえばそれまでですが、少々以上に根が腐ってる感じですね。
昔のプロットを見て意外だったのですが、どうやら彼は当初この「#5」には存在していませんでした。
ここで戦うボスは「インベイダー」という名称がつけられており、ウイルスをまき散らす謎の生命体が予定されていたようです。
この書きぶりからおわかりの通り、どうして変更されたのかは忘れてしまいました。
多分―― 伊達以外誰も喋らないという状況を避けたかったか、登場人物が少なすぎたせいなのでしょう。
しばしば伊達が「俺に毒は効かない」と言ったり、「病院は必要ない」と言ったりするのは、時系列的にこのお話以後になります。
ウイルスにうち勝って便利な体を手にいれた伊達ではありますが、いつかまた侵食されるのではないかとたまに不安になるそうです。
あと、作中では触れていませんが、この時から伊達に「電気」という苦手属性が付きました。
「ヘブンズクラウド」は本気で叫ぶと「ウ」が発音できず、「ヘブンズクラッド」になってしまうそうです。
なんだかこっちの方がかっこいいですね。
各部タイトルは、「砂漠」をテーマに作られています。
本章タイトルは、過去に作者が作曲したオリジナル曲(未発表)から来ています。
#6 『コネクティング・ホーリー・アンド・ダーク』
<2015.8/8 ~ 2016.3/7投稿>
問題作。
二ヶ月の準備期間をおいた上に途中何度か休載するハメになった、全104部という本作最長編です。
こちらも「#4」と同じくプロットから新しく作った章ですが、本当にやり過ぎました。
正直全十章中、最も長く、最も評判が悪い章です。
詰め込み過ぎというのもありますが、おそらく無駄が多いのでしょうね。もっとスマートにまとめられたはずです。
オーソドックスな剣と魔法のファンタジー世界という設定ですが、のちに「#9」が控えていることもあり、こちらは少し違うものをということで、『玄人仕事』では全く前面に出す予定ではなかった「ラブコメ」に比重をおくことになりました。
大仕掛けである『合月の日』や、その儀式については決まっていたので、ヒロインは二人。
このダブルヒロインという要素に恋愛を絡めた結果が、長くならざるをえなかった原因でもあります。恋愛が絡むとなると、どうしても仲良くなるまでの過程が必要になりますし、そこをいい加減にはできませんので……
でもちょっと面白かったですね。
奇妙な形ではありましたがデートシーンなどは初めて書きましたし、結構きわどいシーンなんかも用意できました。
作者としてある程度のキャラクターパターンというか、「こういったタイプの」と分類できる人物像は持っているつもりでしたが、アロアは今までにまったく書いた覚えのない性格の人物で、まったく未知の行動を取ってくれる楽しさがありました。
シャノンはただただ可愛いですね。彼女も途中からは本当に好き勝手動き出してくれましたので、見ていて微笑ましかったです。
ヴァンパイアはやっぱりいいです、魅力の宝庫ですね。
過分に複雑なシナリオの上に、半年以上に亘る長期連載になりました。
最初から投稿で追いかけてくれた方は、きっと最後の方は冒頭の記憶が失われている状態で、読み返しなどの手間をおかけしてしまったと思います。
それでもこのアーデリッドの一幕を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
評判は悪くあり、問題点は目に見えて山積みですが、作者としてこの話が嫌いというわけではありません。むしろ好きです。
またいつか、彼女たちを書く機会があればなぁ…… と、それくらい思い入れのある一章でした。
お気づきになられた方がいるかは微妙ですが、本作の戦闘のラスト、三人で手を繋ぐシーンは「#4」のクライマックスシーンにかかり、ダテの決め技は「#9」にかかっています。ルアの名前が初めて出るのもこの章ですね。
あ、深読みされた方には申し訳ないですが、「二つの月」と二月ちゃんには何も関係はないです。偶然です。すみません。
そういえば、本作最強の敵キャラは「ダテの力を手に入れたレナルド」になりますね。
各部タイトルは「~き~」と、クライマックスからは「~し~」と決め打ちしています。
番外 『魔法お兄ちゃん! ダテ☆リョウイチ!』
<2015.8/10 ~ 2015.8/16投稿>
『玄人仕事』、10000PVを記念して作られた本気のおふざけです。
みなさんへの感謝を込めてということだったのですが、本気でふざけてみようと思ったせいかノープロット、一発勝負でした。
本編中に「決して見切り発車しているわけではなく」と書かれていますが、登場人物と大まかな流れ以外は何も設定されていませんでした。
プロットがいらないくらいの長さだったので、あとは出たとこ勝負、さぁどうなるかなーくらいの気持ちです。
どうせ本気でふざけるなら設定もふざけてみるかと、「魔法少女もの」を採用しました。
昔から「魔法少女もの」というものにそれほど縁はなく、ましてや集団で魔法少女がいるような作品はまともに見たことがありません。
ですので作者の引き出し的にも、こういった場でなければこの設定はありえなかったでしょう。
『玄人仕事』では全体的に抑えめですが、千場はコメディを書くのが大好きです。
見たり読んだりする場合でも、間のコメディパートが長めに取られている方が好みで、逆にシリアス一辺倒な作品は苦手ですね。
お客さんは泣かせるよりも笑わせる方が難しいということもあって、コメディにはやりがいもあります。
今更ですが投稿日を見る限り、どうやら「#6」と並行して投稿していたようです。
その無茶する姿勢は、過去の私に見習いたいところです。
各部のタイトルは…… 何も考えてません。その場のノリです。




