--平穏--
出来るだけ早いペースで投稿します。
「起きな!ミシア!」
朝からうるさい怒号が家に木霊する。全く、あのばあさんは一体何を考えているんだか。私は寝起きの重い体をベッドから気だるげに起こし、ドアへと向かう。寝起きのせいか、まだ意識が虚ろだ。ドアを開けると、そこにはここの部屋の主人であるばあさんが仁王立ちしていた。かなりの年のはずだが、一切腰は曲がっておらず、人間の騎士なんかよりもずっと覇気がある。頭には頭巾を巻いている、朝食でも作っていたのだろう。このばあさん、3食きちっと作ってくれるし、家事全般も「やる事がないからねぇ」と言いながらやってくれるのでとても助かってはいる。助かってはいるのだが、とにかく朝が早い。朝が早いとは言っても吸血鬼にとってだが。まぁ、とにかく朝が早いのだけはとても迷惑だ。そんな事を思いながらぼーっとしていると、「ぼさっとしてないで、朝飯食べな!今日は鮭だよ♪」と言われたので、その言葉に従って朝食をとる事にした。
2階から下に降りると、そこにはいつ作る暇があったのだと言いたいくらい大量の朝飯があった。まぁ、全部食うのだが。吸血鬼は人間と食う物は基本変わりないが、量が比じゃない。この点もばあさんには感謝している。
席に着き、さぁ食おうと思ったその瞬間、玄関が思い切り開いた。吸血鬼は基本忌み嫌われるものなので、敵襲はいつ来ても仕方ない。が、食事時くらいは・・・と考えながら身構えると、そこには見知った顔があった。「ハッハッハッハ!すまなかったな、食事時だったとは思わなんだ!この通りだ!ハッハッハッハ!」と言いながらも、その来訪者は謝る気はないようだ。全くどの通りなんだか・・・そんな豪快な挨拶をかましてくれたのは、私が仕えている騎士団の団長だ。「食事中にすまんが、任務だ。今日は森へ行ってもらうぞ。」団長は私の怪訝そうな顔を意に介さず任務の説明をすると、上機嫌そうに立ち去っていった。嵐の様、とはこのような時に使うのだろう。
仕方なく食事を詰めて準備をし、私は森へと向かう事にした。これが、私とあいつの出会うきっかけだった・・・