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妹に迫られる生活の火蓋

作者: 八月一日

「なあ、にーちゃん」

「なんだ?」

「扇情的な妹が家にいるとして、母さんも父さんもいない。家にいるのは女にめっちゃモテルにーちゃんだけだとして、この時のにーちゃんの取るべき正しい行動ってなんだと思うと?」

「そうだな……一般的な兄妹の取る行動だろうな」

「にーちゃん、それは違うよ。いいか? 父さんも母さんもいないんだよ? そして扇情的な妹が無防備にソファに寝転がってるんだ。取るべき行動はただひとつ。抱きかかえるなりして部屋に連れ込んで一線を越えるんだよ」

「……」


 このおかしな事を言っているのは椚木茉理(くぬぎまり)。正真正俺、椚木幸一(くぬぎこういち)の妹だ。本人がいっているように茉理は出るとこへこむとこがしっかりめりはりがついた容姿で、今現在はデニムショートにブラワンピースを着てる。ワンピース丈が長いせいで下に何も履いてないようにみえるけど、裾がまくれてるから履いているは確認できる。


「さあ、にーちゃん。私はもう準備も覚悟もなにもかも決めてんだ! あとはにーちゃんが一線を越える覚悟を固めるだけだよ」

「固めるもなにも、妹とそんな事をするわけないだろ。脳が煮えたわけでもあるまいし、そんなこと言ってないで彼氏の一人くらい……うーん、でもロクでもないの連れてきたら父さんも交えて裏庭でお話かな」

「私さ、にーちゃんのそういう所があるからアクティブな行動とらないんだけど。まあ、今のところはにーちゃん以上の逸材はいないから安心しなよ。所詮道端に落ちてる砂利か塵みたなのしかいないからさ」

「俺としては周りの連中の扱いにの酷さが気になるけどな。普通じゃがいもとかじゃないか?」

「だってさ、じゃがいもだとコロッケとかカレー食べる時に思い出すだろ? 砂利や塵ならそんなこともないし」


 ソファの上で脚をばたばた動かしながら当然のように言ってくる茉理。そうか、茉理は喪女とか干物とかじゃないんだな。にーちゃん安心したよ。


「だからさ、私のお眼鏡にかなってるのはにーちゃんだけなんだよ。別にいいだろ? 兄妹でもヤってる奴はヤってんだからさ。うちだって例外じゃないんだよにーちゃん。しかも処女だよ、処女。初物だよ。どんな男に言い寄られも殺す勢いで返り打ちにしてきた、私の初物だよにーちゃん」

「よし茉莉、言いよってきた男どもをリストアップしろ。にーちゃん今から打ち入りしてくるから。茉理にいいよるくらいだ、余程のビジュアルもちか聖人君子なんだろ。そうでないのにいいよったっていうなら半殺しだ。チャラ男なら社会的に抹殺してやる。茉理、リストアップはできたか」

「にーちゃんの底なしの限定的な行動力におののいてそんなの用意でてきないよ。というか、そこまで言うなら兄妹でヤっても問題ないだろ? 私としてはにーちゃんをうならせる男なんて一生かけても見つけられない自信がある。だったらもう兄妹でいいじゃん。ベッド行こうよ。避妊具も用意してあるからさ、気兼ねなくヤろうよ」

「待て待て待て、だからなんでそんな話しが飛躍するんだよ。世界は広いんだから探せば一人くらいはいるだろう」

「にーちゃん、世界っていっても総人口70億だよ? その半分の35億人を探しまわれって言う気? そんな面倒なことするくらいならにーちゃんでいいよ。というかにーちゃん以外は嫌だ」


 ソファから起きてふらふらとよってきた茉理はワンピースの肩ひもをはずして、足元に落とすとそのまま俺に抱きついて来た。


「ほら、にーちゃん好みのおっぱいだろ。にーちゃん以外の奴に触らせるつもりもないし、触ってほしくもない。なあにーちゃん、そもそもだ。一応私は常識人でもあるんだけど、そんな常識人が実の兄と結ばれたいなんていうと思う?」

「この状況をどうにかしようってので手いっぱいだけど、茉理が常識人っていうのが驚きだな。常識人ならそんなこと言わないだろ」


 ぐいぐい押しつけられてる茉理の胸は……まあ、うん。茉理の年代からしたかなり育ってる。


「そこなんだよ。前に母さん達がこそこそ話してるの聞いたんだけどさ、私ら義理の兄妹なんだよ、にーちゃん。母さんの妹が産んだのが私。知っての通り、その妹さんは事故で死んでるからその時にいた私を引き取ったのが母さんなんだよ。私が0歳でにーちゃんが1歳の時だから違和感も疑問もなかったけど、これが真実なんだよにーちゃん。だから私とにーちゃんが結ばれても問題にはならないし、合法なんだ」

「……」


 確かに母さんには妹がいた。昔に事故死したのは知ってたけどその人が子持ちなのは初耳だ。しかもその子供が茉理でうちに引き取られて兄妹として育った……まあ、母さんの妹なんだからそこまで似ていないなんて事も起きないし茉理は母さんに似てるからそれこそ違和感なんてものはない。


「だとしても母さん達に直接聞いたわけでもないだろ、それ」

「にーちゃん、今のご時世は金させ払えばDNA検査してくれるんだよ。父さんも歳だし抜けた髪を拝借して私の髪と一緒に出して検査してもらってんだ。そしたら一致しなかったんだよ、にーちゃん。裏付けはこれで十分だろ? にーちゃんが気にしていた問題も一気に解決だ」

「妹ながら恐ろしい行動力だな」

「にーちゃんと結ばれるためならこのくらいの労力は当然だよ」


 なんというか、うん。

 義理とわかったというのもあるんだろうけど、ここまで好かれているのは正直うれしい。だとしてもだ、


「義理であったとしても俺らは兄妹だ」

「……とりあえずにーちゃん、かがんで」

「?」


 てっきり何か返ってくるかと思ったら予想外の返答がきた。まあ、とりあえずかがんでみる。

 予想外の行動をとるとはいえさすがにここからの体勢でなにをッ!?


「とりあえずにーちゃん、私のファーストキスは捧げたぜ。今日はこれで手つきだ。でも諦めないからね」


 茉莉は脚元に落としていたワンピースを回収するとそれを着ることなく、手に持ったまま部屋に帰っていった。

 諦めないとか言ってたな、茉莉……俺、これから大丈夫かな。



にーちゃんにーちゃん言ってくる妹・・・・たぶんいねぇな。

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