五十九章
「………」
――どうしようかしら?
暗い闇の中で少女は考えた
考えた所で意味もないのに……
「だから、自分がやれば手っ取り早いって言ってんだろ」
「ユルクラスト……」
「しいな……アンタはアイツ等を見捨てるのか?」
ユルクラストの質問に少女、しいなは答える
その瞳に、諦めの色を宿した笑みで……
「見捨てる為なら、最初から依頼なんて受けないわよ」
彼女はそう言ってユルクラストに背を向けた
だが、知っている。ユルクラストには、否、しいな達がいた世界の住人達は皆が知っていた
今救った所で、人や生きているモノ達は、また同じ過ちを繰り返すのだと……
だから、しいなは諦めている
何度救おうと、生きているモノ達は再び同じ過ちを繰り返すから
故に怠惰に生きるのは、彼女が己の心を、存在を、生きる価値を守るため……
「諦めこそが、私の救いなのだから……」
諦めの瞳が、彼らの世界へと向けられている……
―――――――――――
~神社~
「しいなから連絡あった?」
「ううん、ないよ?」
「おかしいなぁ……」
「だよねぇ~。夜には連絡を寄越すのに……」
―――――――――――
~インド~
「ふむ。そう言えば最近、しいなから連絡がないな」
同意するかの様にパォォ~ンとゾウが鳴いた
―――――――――――
~とある町にて~
「しいな……何処なんだろ?」
―――――――――――
~カナダ~
「最近、可笑しなことが起こりすぎてるよね?でも、しいなから連絡ないし……」
―――――――――――
しいなが消えた事実を知らない契約者達は、音信不通のしいなに不安や不信を覚えた者、しいなのことを忘れていた者、しいなを探し出す者、しいなと現状がおかしいと感じた者等がいた……
しいなから連絡など、くるのだろうか……?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しいなが消えて、十日経った
里秋さんも徐々にだが、俺たちに慣れてきたようだが、時々ボーっとしていることがあった
劇的に変わったのは、違う世界の住人を倒すことを、最近は躊躇しなくなり始めたことだろう……
未だに安定が出来ない俺は、セリニさんの助言、助力の元で修行している
そんな時だった、しいなの家(と言う名の公園の休憩所)で物音がした
がさ……
がさがさ……
がさがさがさがさがさがさがさがさ
「何の音だ?」
「ネズミ?………ゴキb「うわぁあぁあぁぁ!!それは言ったら奴等がでる!」
「そうですよ!奴等が出た暁には、もれなく大変なことにッ!!」
セリニさんが言おうとした禁句ワードを里秋さんと俺は止めた。必死で止めた!
「もしくは、違う世界の住人か?」
その可能性は0ではないので何とも言いがたい……
しいながいた時なら未だしも、今はいないから……
物思いにふけっていると、またがさがさと音がした
そして物影からあらわれたのは………
「人形?」
しかもただの人形ではない。日本のホラーでお馴染みのアイツだ
「(呪いの)市松人形……」
そして、市松人形がニヤァ~と笑った
「ギャアァァァアァァァァッ!!」
「キャアァァァアアァァァァアァァァッ!!」
「オォーッ!!」
上から順に、俺、里秋さん、セリニさんと、三者三様の悲鳴(一人は驚き)の声をあげた




