五十三章
「厄介な事が起きたわよ」
しいながいきなり、空から降ってき、そう言いながら着地した
「しいな、厄介な事って?」
「一番危惧していなければならない事態よ……」
深刻な顔をしながら言ってきたしいなを見たのは初めてだった
「いったい何が……」
「それは……」
「「それは?」」
「今日、魅賢堂のバームクーヘンが一個100円なの」
無茶苦茶関係なかった!!
まぁ、魅賢堂のバームクーヘンは、普通のバームクーヘンより、無茶苦茶美味しい、バームクーヘンだけではなく、ケーキ類やパン類、和菓子類などもだ
滅多に安くならないが、安くなったとしても、数分で売り切れる
今から行ったとしても、もう売り切れてるに決まっている
「で、そんなくだらないことが『危惧していなければならない事態』なのか?」
怒りが込み上げてくるが、しいなはいつもの表情に戻り、「冗談よ」と言った
「まぁ、魅賢堂のバームクーヘンの安売りは本当だけど、それより大変なのは、奴等が一番厄介な存在に進化しようとしていること」
「厄介な存在?それって……」
なんなのだ?と聞こうとした時
「『人間』か」
セリニさんが答えをだした
「『人間』って……」
「そうよ。正確には、まだ人間ではないけど、人間になられると、一番厄介この上無いでしょ?」
確かに、今までは、異形の姿だった為にわかっていたが、人の姿をとられるとわからなくなる……
「人を巻き込む訳にはいかないから余計に面倒なのよ」




