三十四.五章
タカト達がこの場を去った後、しいなは部屋にあるとある機械を通して誰かと会話を始めた
「あぁ~、はいそうです。予定通りちゃんとしていますよ」
『 』
「えぇ、彼女はちゃんとした死にましたよ?まぁ、タカト君には残酷だったかな?」
『 』
「いいえ、コレは『私達』の役目、辛いと感じるなんてあり得ませんから………」
『 』
「えぇ、わかっております。深入りはしません。所詮、ただの仮初めなのだから」
彼女はそう言うと通信を切った。否、正確に言うのなら通信を切られたと言った方がいいのであろうか
真っ暗な空間でしいなは呟く
「残酷な世界でも、慣れてしまえば日常でしかない。そして、彼らもまた、いつもの日常になるだけ……」
その声音は皮肉でも悲しみでもない。ただの諦めの声音だった……
―――――――――――
何分たっただろう?暫くして、セリニが帰ってきた
「ただいま」
「お帰り」
「うん」
何事もなく無事にタカトを自宅まで送ってこれたようだ
セリニはしいなに向かって話しかける
「彼も俺らと同じなんだろ?」
「えぇ」
その一言が、僅かだがセリニの心を刺した
「……シイナが何を考えているかはわからないケド、これ以上人々を巻き込まないで欲しいんだけど?」
「それは無理ね……。世界の歩みは止まらない。この世界が歩みを止めない限り、あなた達人類の何人かは戦いに身を投じなければ喰い破られるしかないの。まぁ、それ以前に……急激な変化の波が来ているみたいね……」
しいなは窓の近くに立ち、今は宵闇の空を見上げ、星々と月を見る
「時の流れと同じ、もう昔には戻れないの……」
悲しそうな声音だが、それに含まれているのはやはり、諦めだけだった。しいなが見た空は少し歪んで見えた




