十一章
「存在が消えるって……」
「どういうことなの!?」
「言葉通りの意味よ。その人がいたということを、この世の根底から消すタイプ。食われたら、残された人に残る記憶はほとんどないの」
「そんなッ!!」
「でも、そうしたら矛盾がしょうじる」
「そうはならないのが現実なの。子が食べられたら両親には、『子供がいなかった』と認識され、親が食べられたら子供からは『幼い頃に亡くなった』と言う風にされる。もし両親健在で子供がいる人の場合は最悪『生きた子供の存在諸とも消える』の………」
そんな残酷な世界を彼女は平気で言っている
知らなければ、関わらなければ知ることのなかった残酷な世界の真実……
この星は……この世界は……異常なまでに残酷なんだ……
―――――――――――
俺らは彼女に近くまで送られることになった
宮野の影から出てきたタイプは質の悪い奴なので、見つかれば、最悪食べられるらしい……
だから俺らを送ると言ってきたのだ
「いやだよ……あんな残酷なこと……」
「そうだな……」
しいなとは離れて歩いているからか、彼女に聞こえないように話した
知りたくなかった真実
「止まって」
「「!!」」
「近くにいるわよ」
「ッ!!」
宮野が息を飲んだのがわかった。だから俺達は近くの影に隠れた
「アイツら、他の子供に目をつけたみたいね」
「えっ?」
しいなが指差す先にいたのは、まだ小学生だろうか、それぐらいの子供だった
「こんな時間になんで子供がッ!!」
「あの子食べられるわね」
「見てないで助けに」
「いかないわよ?」
「なっ!?」
「私は別にあなた達を助けたからと言って、あの子まで助けると思わないで」
「クソッ!!」
気づいたら俺は子供のいる方へ走っていた