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第83話 王都騒乱 応戦

や、やっと投稿できた……。


前回のあらすじ

港に接舷した船からは次々と魔人となったホーエンの元国民達が……

港に近いエリアは彼らの襲撃により地獄と化しつつあった。

一方、港の防壁の外には触手魔獣の【モジュレル】他、多数の魔獣が襲来。

この状況に、ホーエン王宮は、探検者組合は、そしてケイジたちはどう立ち向かうのか……

「ありがとう、ケイジさん」

「気を付けてな!」

「おう! 無事に切り抜けたらまたうちに泊まってくれよ!」

「もちろんだ」


そう言ってケイジたちはそこまでの護衛に感謝して手を振る"ロッコの馨り"の関係者や宿泊客、それに周辺の住民と別れた。

彼らを誘導して、大通り沿いに展開していた西エリアの王都警備隊に預けるとケイジたちは組合本部に向かおうとしていた。


「途中で襲われなかったのはよかった」

「そうね」

ケイジの一言にサリナもほっとした表情をしている。

街中の何処から現れるかわからない“敵”から子供や老人を含む戦闘能力のない人を守りながら進むのは強いストレスではある。

それは護衛というミッションに慣れた探検者であってもだ。

ジョウジやレイカもまだ覚醒しきれていない身体を伸ばしながら少し笑顔を見せる。


「よし、組合本部へ向かうぞ」

ケイジのその言葉をきっかけに5人は周囲を警戒しながら港の方向に向けて小走りで動き出した。




ケイジたちは宿のあった中央2区ではまだ魔人とは遭遇しなかったが、組合本部があるに中央5区に入るとその様子が一変する。

より港に近い区から避難するため逃げ惑う人々が増えてきたからだ。

彼らは着の身着のままの者も居れば、背に大きなバックを背負っているものもいた。中には既に襲われたのか身体に傷を負って血に汚れ破れた衣服で仲間に肩を借りているものもいる。


まだ明け方で起き抜けのところで警報が発せられたことで、王都の住民たちは混乱していた。

先日の虫魔獣たちの襲撃から建物などは復興していたが、住民たちが精神的に受けた傷はまだ癒えておらず、再びの襲撃の報に街道を大きな荷物を抱えて走る彼らの表情には怯えが表れていた。


「くっ、また王都の住民に被害が出たのか……」

ケイジは先日の魔獣の襲撃を思いだし、端正な顔をしかめる。

「ケイジ、急ぎましょう」

サリナの言葉に大きく頷くと彼は走る速度を上げて組合本部をめざしていった。





中央5区にある組合本部は今や大騒ぎとなっていた。

組合本部にたどり着いた探検者達が現状と緊急指令に興奮して声高に意気込みを見せる一方で、職員たちは王都に居ることを把握されていた探検者達に至急コンタクトを取り、安否の確認を行うと共に、赤ランク以上の探検者には、その現在地から組合本部への集合か、国軍への合流を指示していた。


だが、多くの探検者とのコンタクトが取れない状況に組合本部の職員の中には苛立ちが見えている。


探検者の腕輪の反応により、探検者がもし死んだ場合には組合本部でも把握される。


既に40人程の赤ランク以上の探検者からの生存通知が消えている事が確認されていた。

中には数人の青ランクも混じっている。前日の酒が残っていたのか、寝込みを襲われて反応できなかったものがいたようだ。

黄ランクに至ってはその10倍以上の被害が出ていた。駆け出しの探検者や、非戦闘で雑用を専門に生計を建てていた探検者たちの多くが魔人の襲撃に抗することが出来なかったのだ。


先の騒乱で赤ランク以上の探検者には80名程の殉職者が出たが、騒乱を受けて王都を離れる者がある一方で、復興や探検者減で仕事があると踏んで王都に集まった者もいて、結果現在王都には400名ほどの赤ランク以上の探検者がいた。


うち、既に1割の探検者が命を落としたことになる。


現状、組合本部のコンタクトに反応した探検者のうち、150名程が組合本部にたどり着き、ドーセツからの指示を受け、組合本部がある中央5区の魔人掃討と住民救出にあたっていた。

また、180名程は元々王都の東西のエリアに住んでおり、組合本部の指示で国軍の包囲部隊に加わっている。

そして残り30名程は死亡の通知は無いものの、組合本部からの呼び掛けに応答していない。

港に近い中央7~10区に宿を取っていたようで、戦闘中なのか不明な状況だ。


ドーセツは国軍と連絡を取り、探検者たちには本部がある第5区の対応を受け持つことで合意した。

魔獣との戦闘になれているとはいえ、相手の状況も不明な上、対応できる人数も少ない。

歴戦のドーセツがよくよく考えてみても、2百にも満たない人数でほかの区に手を回せるほどの余裕は探検者たちにはなかった。


残りの4、6、7~10区に海軍の陸戦隊と陸軍、王都警備隊が入り、魔人の排除と避難民の救助にあたることになる。

特に港に近い7~10区はかなり厳しい状況が伝わってきていた。

埠頭から溢れた魔人たちは、生存している住民を見つけると、飢えた野獣のごとくいっせいに襲い掛かる。戦闘経験のない住民たちには逃れるすべはなかった。





ケイジたちが、組合本部にたどりついたのはそんな状況下だった。本部を見てハヤトが声をあげた。

「あ、なんか壁ができてる!」

本部の裏通りにたどり着いた5人が見たものは、組合本部を囲む簡易防壁だった。

土魔法士が築いたそれは4メルほどの高さで建物を囲み、北側の裏通り入り口を囲むように通りにはみ出している。

そして正面には、格子状の扉がつけられ、そこから弓や魔法で攻撃することも可能なようだ。

その扉の左右には監視警備用の櫓がついていて、それぞれ、3人ほどが上から周囲を警戒していた。

「青ランク【漆黒の猟犬】の5人だ! 本部の招集に応じてここまで来た。中に入れてくれっ!」


「おう、お前さんたちか、無事だったようだな。今開ける。悪いが周囲を警戒してくれ。まだ北側には奴らは現れていないようだが、念のためだっ!」

ケイジたちは、素直に頷くと、扉を背に周囲を警戒する。


「よし、急いで入ってくれっ!」

警備担当の探検者の声に、ケイジたちは、急いで組合本部の中に入っていった。


通常の正面入り口に面したホールに向かうと、そこは探検者たちでごった返していた。

彼らは、すぐにでも掃討に出るようだ。

組合本部の職員が担当分けを叫んでいる。

「よし、【コーベンの虎】の6人はこの鍛冶屋通りの北側を! 【太陽光】の4人と【アカシ団】の5人は南側を頼む!」

「「「「おうっ!!!!」」」」

「いいなっ! 生存者の救出が優先だっ! ただし、自分の身に危険が及ぶようなら撤退しろ! どうやらやつ等に殺られると魔人の仲間にされちまうって話が入っているっ! お前らが敵になっても手加減なんかできねぇからなっ!」

「うへぇ! 助けてくれねぇのかよっ!」

「殺されてから魔人になったものは、もう元には戻せん! だから、死ぬなよ。いいなっ!!」

「おうさ!」

「よし、いくぞっ! コーベンの街を魔人の好きにさせてたまるかっ!」

3つの探検者チームは意気込んで組合本部を出ていった。


ケイジはカウンターの女性職員に召集に応じて来たことを伝えて指示を仰ごうとしていた。そこに正面の入り口からドーセツが入ってきた。

ドーセツは直ぐにケイジ達に気付くと、少し疲れた表情に僅かに笑顔を浮かべて近寄って来た。

「おう、お前たち来てくれたか!」

そう言ってドーセツはケイジの肩を叩く。


「組合長、状況は……」

そのケイジの言葉にドーセツの表情は曇る。

「ああ、よくないな」

「敵はなんなのです?」

そう、ドーセツに尋ねるサリナ。まだ接敵していないケイジたちは状況がよく理解出来ていなかった。

「ああ、実はな……」



「そんな……」

「相手はホーエンのっ!」

「倒さないと駄目なんですかっ! 救う方法はないの?!」

ドーセツから現在の状況と敵が実は元国民であることを聴き、ケイジたちは魔人と戦うことについての葛藤を抱える。


「気持ちはわかる。だがな、魔人たちは住民を殺すと口から黒い靄のようなものを吹き掛けるそうだ。するとそいつらも魔人になっちまうらしい」

「なんてこった。じゃあ、このままだと……」

ジョウジは拳を握り締めて唸る。

「ああ、魔人はどんどん増えてしまう。しかも殺された住民の体を使ってな……。だから、俺たちは戦うしかないんだ」

ドーセツは苦しい胸のうちを吐露した。


「わかった。忍びないがこれ以上魔人を増やすわけにはいかない。俺たちも出よう。指示をくれ!」

「すまんな。嫌なことをさせてしまう……」

ケイジたちはドーセツの指示に従って、港に面した第8区に近い家具屋通りの住民救出に向かうことになった。





「くそっ! ありったけのバリスタぶちこんでやれっ!」

「あと、魔法障壁の残存時間87分ですっ!」

「増援の状況はっ! 魔法障壁用の魔石も要請しろっ!」

その頃、王都港湾の防壁上にいた海軍陸戦隊は海からの【モジュレル】の攻撃に対して応戦をしていた。

海から攻撃してくる魔獣は【モジュレル】が2匹だけではなく、それ以外にセッツにも現れたのと同じような魔獣が、数多く次第に集まってきていた。


なんとか魔法障壁の力でそれらの攻撃を凌ぎ、必死の反撃を行う海軍陸戦隊の兵たち。


だが、状況は刻一刻と悪くなっていく。

港湾管理局副長のトーヤは必死に部下を激励し、応戦していたが、次の報告を聞いたとき顔色を変えた。

「副長っ! 正門から応援の要請がっ! 埠頭のほうからの民衆がどんどん増えていますっ! 今の警備兵だけでは抑えきれないとっ!」

「なんだとっ!」

「彼らはただの民衆ではありませんっ! 周囲の住民を襲いながら、どんどん人数が増えているようですっ! どうしますかっ!」


トーヤは額に汗を浮かべながら、歯軋りをすると、大声で叫んだ。

「そいつらをここに近づけるなっ! 防壁の陸戦兵の3個小隊を正面玄関に回せっ! 魔法や重武器の使用も許可する! 正面玄関をなんとしても守るんだっ!」

「はっ! 直ちにっ!」

命令を受けた兵士は、すぐさま管制室を飛び出していった。



「くそっ! 海軍卿に増援の要請をっ! 今のままでは長くは持たんと伝えるんだっ!」

トーヤはそう通信兵に叫ぶと机にこぶしを叩きつけた。



「ちきしょうっ! あれはミキじゃないかっ! 彼女までやられたのかっ! エクバートの奴等めぇ!」

「トージローじゃねえかっ!」

港湾管理局の正門で戦う警備兵たちは、見知った顔がすっかり様相を変えて自分たちに襲い掛かっていることに、動揺しながらも必死に戦っていた。中には悔し涙を流しながら戦っているものもいる。


そんな中一人の兵士が気がついた。

「おい、あれっ!」

正門横の櫓の上で魔法を放とうとしていた兵士が、隣で今にも弓を放とうとしていた兵士に向かって叫ぶ。

「なんだっ! こっちは忙しいんだよっ!」


彼は迫り来る集団の中に、彼らがよく知る顔を見つけたのだ。

「あれ局長だぞっ!」

「なんだとっ!」


櫓の兵士たちに動揺が走る。

だが、それを正門の格子の隙間から槍を必死に突き出している兵士が、打ち消した。

「あれは、局長じゃねぇっ! 元だ! 元っ! 赤い目してんだからもう関係ねぇんだよっ! 割り切りやがれっ! 出ないと俺たちあいつらの仲間になっちまうぞっ!」


「お、おうっ!」

はっと我に返った櫓の魔法兵は塀をよじ登ろうとしていた、元老人の魔人に炎弾を放って吹き飛ばした。

「いつまでこんな胸糞悪いことしなきゃいけないんだっ! 早く増援来てくれっ!」





「バリケードを開けろっ! 魔人を排除してなんとしても港湾管理局を守るんだっ!」

港湾管理局の危機を知ったタチバナ伯爵は、前線指揮所をオイワ伯爵に預けると、自ら増援の海軍陸戦隊と陸軍の混成2個大隊約5千名を率いて、東側から防衛線を越えて中央エリア第10区に入ろうとしていた。彼は今回の責任を感じていたのと、海から来襲している魔獣の侵入を防いでいる港湾管理局をなんとしても守らなければ王都が蹂躙されてしまうと、直接指揮を執ることを望んだのだ。


時を同じくして、西側の第4区と第7区には陸軍の第一軍団1万名がそれぞれ2個大隊(1個大隊2千5百名の5千名ずつ)に別れて、そして東側の第6区には王都警備隊の約4千名が突入を開始していた。

「見知ったものがいても、それが魔人ならば手加減をするなっ! その手加減が仲間を死に追いやり、魔人を増やすことになるぞっ! いいなっ! 突入せよっ!」

自ら鋭く光る十字槍を掲げてそう叫ぶタチバナ伯爵。


「「「「「おおっ!」」」」」

完全武装の兵士たちが、開かれたバリケードから、一斉に街中に駆け込んでいった。






その頃、ケイジたちは中央5区で魔人を倒しつつ、発見した住民をひとまず組合本部まで誘導していた。

今も、建物の2階に縮こまって隠れていた、幼い兄妹を本部まで連れて行ったところだった。


「よしっ! 戻るぞっ! 次はイズミ家具店のブロックからだっ!」

再び街区に入るケイジたち。


そして彼らが再び第8区との境となる大通り近くまで来たときだった。

「助けてくれぇっ!!!!!」

「きゃー、やめてぇ! その娘を連れいていかないでっ!」

大きな悲鳴が彼らの耳にとどいた。


「ケイジっ!」

「おうっ! ジョウジとハヤトは先行しろっ! やつらの注意をこっちに向けるんだっ!」

「わかったっ! いくぞハヤトっ!」


2人のあとを追ってケイジたちも通りの角を曲がって、悲鳴が聞こえたその界隈にあった公園の方に向かった。


「いたっ!」

ジョウジとハヤトは、待ち合わせなどによく使われていた公園の騎士の像の傍で魔人たちに囲まれた男女5、6人の住民を見つけた。

その傍には3人ほどがうつぶせに倒れていて、魔人たちがそれを抱えて自分たちの方に引き寄せようとしてる。そのうちの一人は幼い子供のようだ。


「ちきしょうっ! あんなちっちゃな子までっ!」

怒りを覚えたハヤトが自分たちに注意を向けるために、投げナイフを構えたそのときだった。

彼らは信じられないものを目撃する。


ゴウッ、ゴウッと風切音が2回したかと思うと、左手横合いの別の通りの方から、巨大な炎の塊が飛んできた。

「うぉっ!」

今にも魔人たちに飛び掛ろうとしていたハヤトとジョウジは、咄嗟に後方に飛びのいて難を逃れる。


「ギィヤァァァァァァァァァッ!!!」

「熱いっ! たすけてぇっ!!!!」


が、その一方で、顔を上げた彼らの前には魔人と共に炎に焼かれる住民たちの姿が……。


そこに遅れて到着したケイジ、サリナ、レイカ。

「おいっ! ジョウジっ! ハヤトっ! いったい何がっ!」

「いや、助けようとしたんだっ、そしたら突然炎が飛んできて……」

人が生きながら焼かれる光景に呆然とするケイジたち。


すると、炎が飛んできた通りの向こうから誰かが近づいてくる気配ケイジたちは感じる。

そして彼らの耳に話し声が聞こえてきた。


「だいじょうぶなのですか?」

若い女性の声。


「……何のご心配もいりません。ええ、大丈夫です、敵が来てもご覧の通りに私たちがすべて排除して見せますから。無事にご自宅までお送りいたしますともっ」

男性の声がそれに答える。

「お願いしますわ。昨日からのパーティで一睡もしていなくて、もうわたくし疲れましたぁ! だってショウ様ったら、一晩中……」

「さすがシュン様ですわっ! 無事に着きましたらお礼は如何程でも」

先ほどの女性よりは少し年上の女性たちの声もした。

「ええ、よろしくお願いしますよ」

そして、その若い男の声がしたと同時にそこに現れたのは、若い5人の女性とそれを守るように歩く5人の男たちだった。


「あれはっ!」

ケイジたちが驚きの声を上げる。

「あいつらはっ!」

そしてサリナの搾り出すような声が。


そこに立っていたのは、5人のキザ男集団【薔薇の衛士】たちだった。


そう、前回の虫魔獣の騒乱の際も紫ランクにも関わらず魔獣の排除には一切協力せず、富豪の依頼人を守るという名目の元、自分達の担当地域を勝手に離れて行ったあの男たちである。


この混乱の中、パーティーに行っていたかのような着飾った服装に胸にはそれぞれ色の異なるバラを挿し、この場にそぐわない明かるい声で女性たちをかまっている・・・・・・キザな男たち。


彼らが守っているのは、多少疲れてはいるものの着飾った様子の一見美しく見える女性たちだった。彼女たちは親しげに彼らと腕を組み、しなだれかかっている。

まるで、先程の住民達の悲鳴や断末魔など聞こえなかったかのように。



そしてそのまま彼らは呆然とするケイジたちの横を通り過ぎていこうとしている。

「なんなんだよ、あれはよっ!」

「助けを求める住民がいたのに、助けるどころか、焼き殺すだとっ!」

目の前で住民を救えなかったジョウジとハヤトは怒りを顕にする。



「お前らちょっと待ちやがれっ!」

ハヤトが駆け寄って、彼らの行く手をふさぐ形で正面に立った。


「な、何よこの子っ!」

怯えるそぶりを見せる女性たちを見て、ハヤトの前に【薔薇の衛士】の5人がスッと立ち塞がる。

「おやおや、か弱いレディを怯えさせるとは、躾のなっていないガキもいたもんですねぇ」

「私たちは彼女たちを急いで安全な場所までお連れしないといけないんです。前を塞がないで戴きましょうか」


「何でだよっ!」

ハヤトは肩を震わせながら【薔薇の衛士】達を睨み付ける。

「何で魔人と一緒に住民まで焼くんだよっ! てめえら見えてたんだろっ!」


「探検者規約の第15条、探検者はホーエン国民に危機が迫る時は可能な限りそれを保護することに努めることとする、お前たちも紫の探検者ならそれぐらい知ってるだろう! ましてや今は緊急事態で組合本部から緊急指令が出ているはず。まさか知らないなんて言わないよなっ!」

ケイジも怒りの形相を隠さずに【薔薇の衛士】達を問い詰める。


【薔薇の衛士】を問い詰めるケイジたちに対して、彼らは昂然と嘯く。

依頼人の命を保護するのが自分たちの使命。

どうせ、囲まれていた住人達は魔人から逃れられなかった。

逃れられない住民は魔人になってしまう。

ならば、ここで彼ら毎、一掃したところで、早いか遅いかの違いだけだと。


「ふざけるなぁ!」

「なんですってっ!」

その言葉に激高する5人。

特にサリナの怒りはすさまじく、【薔薇の衛士】に対して攻撃魔法を発動しようとする。

「あなたたちは何も変わってないっ! あの時みたいに人の事を虫けらみたいに扱って! 殺られるほうの事なんて欠片も考えないでっ!」


それに対して応戦しようと構える【薔薇の衛士】たち。

「おやおや、この方たちは私たちと争うつもりのようだ。まさか私たちに勝てるとでも思ってるんでしょうかねぇ」

フンと鼻をならして【薔薇の騎士】の一人、タイシが笑いながら魔法を発動させる構えをとる。


そしてお互いが臨戦体制でにらみ合い、タイシとサリナの魔法が発動しようとしたその時、頭上から突然男の声がした。

「ほう、ちょっとは使えそうな気配を感じて来てみれば、ホーエン国民同士で仲間割れとはなかなか美しくも楽しげな光景じゃないか」


今までケイジたちもショウたちも感じることがなかった気配が突然現れたことに驚いて見上げると、そこには宙に浮かんだ状態の男が一人、楽しそうに彼らを見下ろしていた。

最後まで読んでくださってありがとうございます。


仕事が繁忙なところに、家族全員で五月雨式にインフル感染。それでまた仕事がさらに繁忙に……。

すいません、言い訳です。orz


エタらない……その一心です。m(__)m

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