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第77話 反撃の光

ご無沙汰しました。

2ヶ月振りに投稿を再開します。

お待たせしてすみませんでした。


前話のあらすじ:

バジリスクの大群からダイカクの魔法により救われたミヤザの人々。だがハシームと名乗る男によって悪夢のような夜が再開されるのだった……

「くそっ、第一防壁上の兵をすべて第二防壁まで下げるんだっ! 急げっ! それと、内門内にも伝令っ! 民衆は最奥の避難通路への脱出準備をっ!」


必死に指示を出す男爵の声は、巨大バジリスクが第一防壁に再展開された魔法障壁に体当たりを繰り返す轟音に掻き消されて思うように防壁上にいる兵たちに届かない。


男爵は大きく身振りを加えながらそばにいた2人の兵を鐘楼から降ろして防壁の左右に詰めていた兵たちを第二防壁まで後退させようとする。


そして、そばにいるシノハの耳元に顔をよせ、内門内への伝達を指示した。

「ダイカクを至急こちらにっ!」


シノハはやむを得ず大きく頷くと鐘楼を降り、連絡橋をつたって第二防壁、そして内門を目指して走り出す。

「総員、第二防壁へ後退せよっ!」

男爵は鐘楼上の兵に力の限り叫ぶと自らも連絡橋へ向かって走り出した。





ハシームが高笑いと共に呼び出した巨大バジリスクは全部で5匹。

30メルを超える防壁とほぼ同じ高さを持つ2匹と、15メルほどの大きさの中型のものが3匹だ。

中型といっても人間の大きさと比べれば見上げる高さであり、一般の兵士がとても太刀打ちできるものではない。


霧がはれ、その形状が整った5匹は防壁に向かって前進を始める。

そして巨大な2匹がその体格を活かして魔法障壁が張られた第一防壁に対して、体当たりを始めた。

その一方で残りの中型3匹がその背に上り、巨大な口から炎の玉を防壁向かって吐き出していた。



第一防壁に張られたその魔法障壁は現状なんとか軋みを上げながら突進の圧力と炎の攻撃に耐えているが、見るからにそう長くは持ちそうもなかった。



第一防壁上に見張りに立っていた50人ほどの兵たちは次々と連絡橋を走っていく。

だが、巨大バジリスクが繰り返す第一防壁への吶喊に足元がおぼつかない。


数人が連絡橋からバランスを崩して零れ落ちていく。


「くそおっ!」

その中を男爵たちは必死に第二防壁にむけて走っていた。




その頃、内門で体に欠損を抱えた負傷兵の治療にあたっていたダイカクは、繰り返し体に感じられる激しい振動に城外で異常が発生したことを理解していた。

「やはりあれで終わるわけもなかったのか!」


最後の兵の治療を終えると、彼は立ち上がって防壁へ向かって走り出した。


途中、キキョウたちが、治療を行っている部屋の前を通りかかる。

すると、中から表情をこわばらせたキキョウとカリナや数人の女性たちが現れた。

「お父様っ!」


ダイカクはキキョウを安心させるように、肩に手を置くと言った。

「行ってくる。お前は、女性たちと城内の最奥、避難道へ」

「でも、この振動はっ! さっきのものとは比べ物にならないほど……」

キキョウがそう言っている間も、激しい振動は繰り返し続き、中には悲鳴をあげてひっくり返る女性も現れていた。


「行くんだ」

改めて強く発せられたダイカクの言葉に、キキョウは大きく頷く。そして周囲にいた女性たちを助け起こして、避難道への誘導を始めた。


その様子を見たダイカクは防壁へ向かって走り出した。

途中、イチロウタ、マリカ、ナミが合流する。


「ダイカクさんっ!」

「お父様っ!」


マリカはポーチをたすき掛けして右肩に1本のランチャーを担いでいる。

イチロウタは自分愛用のライフルを背負っていた。

ナミは二人がダイカクと話している間、内門のほうを警戒している。


「マリカ、お前もキキョウと最奥に……」

ダイカクがそう言いかけた時、マリカはすぐさま首を振った。

「私は赤い布を受け取った。ここの人たちを守る」



「お前たちまだ戦えるのか? 残弾は?」

ダイカクのその言葉に、マリカは言葉短く答える。

「大丈夫。ランチャーはもうこれだけだけど、まだ、ライフルの弾はたくさん残ってる」

「私も多少は」

イチロウタも自分の腰につけたマガジンラックにライフルの予備マガジンが数本留めてあるのをダイカクに見せる。


「そうか、わかった。ならばいっしょに来い」

4人はすぐさま、揺れる地面をうまくバランスを取りながら、内門を目指した。

人の流れは奥へ向かっており、4人は手間取りながら、ようやく内門にたどり着く。


そして、トンネルを抜けて、援護の兵を出すために開かれた第三門から外に出たとき、凄まじい轟音が周囲に響き渡った。


「おい、うそだろ?」

イチロウタは驚愕の表情でそうつぶやく。

「そんなっ……」

「巨大すぎる……」

その場に固まるナミとマリカ。


「くっ、第一防壁がもたなかったのかっ!」

そこから見上げるダイカクの目前には、第二防壁の魔法障壁にさお立ちになって、のしかかる2匹の巨大なバジリスクの姿があった。

そしてその後方では、土煙がもうもうと立ち上がるのが、夜目にもはっきり見えた。


ついに魔法障壁が魔力を失い、巨大バジリスクの吶喊を支えきれなくなった第一防壁が崩壊したのだった。


「ダイカクっ!」

男爵はダイカクに気がつくと、第二防壁上の兵たちに第二防壁からも撤退するよう命じて防壁から掛け降りてくる。


「あれは通常の攻撃では歯がたたん! 無駄に兵は損なえん! 兵は下げさせる! 何とかできるかっ!」


実際、第一防壁からずっと攻撃をさせていたのだが、初戦では効果があった警備隊の魔法士たちの攻撃はまったく巨大バジリスクには通じていなかった。兵や魔法士たちに動揺が広がっていく。このまま無駄に攻撃させていても、いずれ力尽きるのみ、そう男爵が考えたときにダイカクが第三門から表に出てきたのだった。


「わかったっ! 第二防壁の魔法障壁はあとどれくらい持つんだっ!」

男爵の問いかけに、その場から防壁に向かって駆け出したダイカクはそう叫んだ。

「そう長くは持たん。あの吶喊と魔法攻撃を受けてはあと10分持つかどうか……」


「よし、ならばまずは魔法障壁が持っている間に攻撃を掛けよう。マリカ、イチロウタいいなっ。それに魔法士たちで余力の残っているものもだ。彼らには、小さいやつを攻撃させてくれ。それから……」

その時ダイカクは第三門そばに呆然と障壁にぶつかる巨大なバジリスクを見上げるジンノスケを見つけた。


「おい、ジンノスケっ! ジンノスケっ!」

ジンノスケは、ビクッと体を震わせると、首だけを回してダイカクを見る。

「おい、いいかっ! しっかりしろっ! 今はお前が支部長代行だろうっ!」


ジンノスケははっとした表情になり、そしてすぐにダイカクのもとに駆け寄ってきた。

「ジンノスケはすぐに王都の探検者組合のドーセツに、組合長に連絡をとれっ! 大至急、王都にいる紫のチームの派遣を要請してくれっ! あるいは出来ればトシフミたちがいればありがたいが、彼らは今セッツにいるはずだっ! そこからの移動手段がないかもしれん。わかったなっ!」


実はダイカクはトシフミが魔道具店で〈転移の大図〉を入手していることをこの時は知らなかった。

だから、彼らがセッツから王都に向かうか、あるいはセッツの誰かから〈転移の大図〉を借りなければコノジョウにはやってこれないと思っていたのだった。


「は、はいっ!」

ジンノスケは、すぐに生前の父から万一の時にと渡されていた、組合本部との連絡手段となる支部長権限が付与された〈探検者の腕輪〉を使って王都に連絡を取り始めた。


「よし、時間がないっ! マリカっ、イチロウタっ、始めるぞっ!」

「「はいっ!」」

そして、ダイカクたちと男爵は巨大なバジリスクを相手にするため、第二防壁に向かって走り出した。




その頃、コノジョウの中は大混乱となっていた。

中には2万人の民衆がいた。


今日のミヤザからの逃避行に疲れ切ったほとんどの民衆は、割り当てられた小部屋で眠りこけていたのだった。起きていたのはほとんどがキキョウたちのように役割を与えられ腕に各色の布を巻いていた人間たちだけだった。


多くの民衆が力尽きて眠りに落ちるなか、突然のそれまで感じたこともないような轟音と震動に飛び起きて怪我をするものが続出した。訳もわからず、小部屋から飛び出し、あたり構わず不安げに大声で会話する民衆が通路に溢れ、その声がさらに小部屋から人を呼ぶという悪循環で、混乱がどんどんと大きくなっていく。


そこに、伝令役の兵士たちから、コノジョウの奥の避難通路に向けて進むように男爵の指示が伝えられたのだが、民衆たちはそれにすぐに反応することができなかった。

「この夜中にまた避難だなんてっ!」

「もうクタクタで歩けねぇよ……」

「もう、私も子供もここから離れるのはムリですっ!」

「俺は外になんかでねぇぞっ! 外よりもこの中のほうがよっぽど安全なはずだっ!」

「そうだそうだっ!」


男爵の指示が、逆に通路での人々の議論に拍車をかけてしまい、人々はなかなか動き出そうとはしなかった。これには伝令役の兵士たちは困惑を極める。

その間も、バジリスクの吶喊による震動は城内に伝わり、足の弱い年寄が転んだり、子供が階段から転げ落ちるなどの被害も出ている。


混乱は次第に広がり、ついには一部民衆が避難通路へ誘導しようとする兵士に喰ってかかる事態になったとき、城内に大きな声が響き渡った。


「あんたたち、何のつもりだいっ!!!!」

その大きな声は、風魔法士の音声を拡張させる魔法に載せて発せられた男爵夫人アケビの物だった。

まなじりを吊り上げ、腰に両手をあてて城内を見下ろす位置にいた彼女は、混乱した民衆にあきれた様子で声を張り上げる。

「あんたたちも、この振動と轟音は感じてるんだろっ! だったらごちゃごちゃ言ってないで男爵の指示に従いなっ! 外ではさっきより馬鹿でかいバジリスクが暴れてるって話だよっ! 第一防壁も破られたっていうのにさ、誰がここにいて安全だなんてぬかしてるんだいっ! こんだけの人数がいるんだっ! わがままを言ってんじゃないよっ!」


その声に城内は静けさを取り戻す。

その場に響き渡るのは、バジリスクの攻撃による轟音のみだ。


そして、人々は状況を理解したのか、口々に同じような言葉を発しながら動き出した。

「アケビ様にはかなわねぇ」




その様子を心配そうに病室から見ていたキキョウはニコリと微笑むと、病室に寝かされていた重傷患者たちを運び出すように指示をする。

歩けるものには肩を貸し、幼い子供たちは大人が手を引いてその場から最奥にある避難通路に向けて動き出した。


キキョウは全部の患者が出てからその場を立ち去るつもりで、人々の様子を見守る。


「キキョウ様……」

そんな中、キキョウのそばにカリナがやってきた。

「どうしたのですか?」


「実は、連絡がありまして、先ほどの民衆の混乱で怪我をして動けなくなっている女性がいるという話がありまして」

キキョウの表情が曇る。

「それはいけませんわね。どこにいるのです? 早く治療をして避難に加わっていただかないと……」

「ありがとうございます。こちらです」

カリナはペコリと頭を下げると、キキョウを伴って小部屋の列の一番外側に向かって進んでいく。

キキョウはひとつ息をつくと、カリナを追って歩き出した。



カリナとキキョウがたどり着いたのは、部屋にいた人々が避難をほとんど済ませて人が少なくなっているエリアだった。

カリナが小部屋の扉を開くと、弱い魔法の光に照らされた部屋の奥に女性が2人取り残されていた。

避難をするためだろうか、体にはフードをつけており、部屋の外からはよく様子がわからない。

一人横たわり、もう一人が看病をしているようにキキョウには見えた。

「大丈夫ですか?」

キキョウの言葉に、看病をしている女性が振り返り困ったような表情をみせる。


「ああ、魔法士様。妹が脚に怪我をしてしまって……」

「どうして怪我を?」

キキョウの問いに今度は横たわっている妹と紹介された女性が応える。

「さっき、皆さんが通路で騒いでらしたじゃないですか。私たちも状況を知りたくて見にいったのですが、その時に大柄な男の人に突き飛ばされてしまって。私たちも早く避難したいのですが……」


その女性は痛みが激しいのか、顔をしかめているようだ。

「わかりました。痛い場所を診せていただけますか?」

キキョウは女性たちに近づき、患部を確認しようと、しゃがみこんだ。


その時だった。キキョウをそこまで連れてきたカリナの表情が変化が現れる。

口角が上がり、笑いを堪えている様子だ。

そして、カリナの体から黒い霧のようなものが立ち上るとそれは音も無く部屋に広がり、そしてキキョウを包み込んだ。

「フフフフフ。さてこれから少し仕込みをさせてもらおうかしら。私たちの準備が終わるまで、せいぜい派手に暴れてちょうだいな、ハシーム。フフフフフ」


カリナがそう言い終えた時、キキョウの体は力なく地面に倒れ、治療を受けるはずだった女性二人は何事もなかったかのように立ち上がるとフードを取ってカリナに向かって片膝を立てて礼をとる。


「カリーナ様、それでは手筈通りに」

「ええ、そうして頂戴。これで“彼”が釣れてくれると面白いのだけど……」

すると、キキョウを抱えた二人の女性はどこからともなくその場に出現した丸く黒い闇の中に入って行き、そしてその闇が閉じられた。

もはやその場にキキョウはもちろん、彼女たちの痕跡も見当たらない。


「楽しみにしてるわよ……」

そう言い残すとカリナ、いやカリーナの姿も闇に消えていった。





「どうしてっ!」


それはマリカが発した叫びだった。

彼女が放ったランチャーの魔法弾やイチロウタのライフルによる攻撃は、先刻襲ってきたバジリスクの群れには有効で、攻撃を受けたバジリスクは次々と吹き飛ばされ、体の一部を失い、動きを止めてきたはずだった。

ところが、今、彼女たちの目の前では、マリカやイチロウタの攻撃どころか、ダイカクが放つ風の上位魔法である《龍巻》に加えて雷の上位魔法《雷槍》も加えているにもかかわらず、巨大なバジリスクがびくともせずに第二防壁への吶喊を続けているのだ。


「まずいな……」

普段冷静なダイカクの顔にも焦りの色が現れている。

「ダイカクさん、これは我々には打つ手が……」

そのイチロウタの声にかぶせるように男爵とシノハが駆け寄ってきて、大声で叫ぶ。

「ダイカクっ! これはっ!」


ダイカクが男爵に向かって首を振ると、男爵とシノハが息を飲む。

「……お前でも駄目だというのかっ!」


その言葉にダイカクは頷くと、男爵の肩をたたき、そしてこう伝えた。

「攻撃が効かないのであれば、今の俺にできることは民が避難するまで、あるいは組合からの増援がくるまであの障壁を持たせることだ。兵と民を急いで下がらせてくれっ!」


「くっ、迷っている時間は無いな。わかった。おいシノハっ! 全員退避だっ! 急ぎ第三門から中にいれろっ!」

「はっ!」

シノハは撤兵を伝えるべくすぐに走り出した。


「第二防壁全体に防御魔法をかけるよりは、第三門だけに集中してくれたほうがやりやすい。急いでくれると助かるっ」

「おうっ!」

男爵はそう言うと周囲の兵たちに急いで門内に入るよう、大声で指示を飛ばし始めた。



ダイカクは、自身の魔力も使い、魔法障壁の強化を開始する。

そして傍にいたマリカたち3人にも中に入るように伝えた。

「ここは私に任せてお前たちも下がれ」

そう優しく話すダイカクに対して、マリカは大きく首を振って拒絶する。

「私はここに残りますっ! お父様が魔力が切れそうになるかもしれません。そうすれば誰かが魔力回復薬をお渡ししなければっ! それにもし、魔法防御に徹されているお父様が攻撃されたら誰が守るというのですかっ!」

「ダイカクさん、私も残らせてくださいっ!」

イチロウタもそう言ってその場から動こうとはしなかった。


ダイカクは再三説得したが、二人は聞き入れない。二人が動かないのならとナミもその場から立ち去ろうとはしなかった。

ダイカクは首を振ってため息をつく。

「キキョウと一緒にいてもらいたかったが……」




その後、男爵とシノハたちは防壁の守備についていた兵たちの第三門内への退避を完了する。

魔法障壁はダイカクの補強によりまだ何とか巨大バジリスクの吶喊から防壁を支え続けていた。

「よし、これで全員だっ! ダイカクっ!防壁の補強から、第三門の防御に切り替えを……」

そう男爵がダイカクに言いかけた時だった。


上空から風を切るような音が聞こえてきたかと思うと、轟音が三つ響き、地面が揺れ、すざまじい土ぼこりが舞い上がる。

「な、なんだっ!」

シノハが大声をあげる。


そしてもうもうと立ち込めた土ぼこりが晴れたその時、第三門前の広場には中型の3匹のバジリスクが姿を現していた。

「な、こいつらどこから……」

男爵の呻きに、ダイカクが叫んだ。

「くそっ! 両側の崖の上かっ!」


コノジョウの第一、第二防壁の両側は、100メルを超える反り返り、切立った崖になっていて、それがコノジョウにとって正面の防壁を防壁たらしめている要素になっていた。

人が相手の場合、まずこの崖は人では越えられない。崖上への道などなく、よしんば貼り付くようにして上れたとしても、降りてくる段階で防壁にいる兵たちに発見され、攻撃されるのがオチだと考えられていた。


そのため、防御の機能は防壁正面での戦闘を想定して作られていたのだった。


ところが、中型のバジリスクは、巨大バジリスクの吶喊に男爵やダイカクたちが気を取られている間に、両側の崖をするすると登り、そして崖の頂上からそのままダイブしてきたのだ。


男爵の想定にはそんな敵を相手にすることは含まれていなかった。


「くそっ!」

ダイカクはすぐさま、《風洞》の魔法を正面にかけると、男爵たちに向かって叫ぶ。

「第三門の中へっ!」


だが、男爵たちも、すぐに走り出すことができない。

中型のバジリスクは三方から男爵たちをジワリと追い詰めるように距離を詰めており、その口から発せられる炎が、第三門と彼らの間に割り込むように放たれたのだ。


その為第三門に飛び込むタイミングを失ってしまった。

そこで彼らはダイカクを中心に男爵、シノハ、マリカ、イチロウタ、ナミの6人は其々武器を構えてダイカクを背に円陣となる。


するとバジリスクたちはダイカクが展開する《風洞》の魔法に対して次々と炎を浴びせかける。

《風洞》の魔法障壁の存在により、ダイカクたちは直接炎を浴びることはなかったものの、次第にその中は気温が上昇していく。

「ダイカクっ! このままだと俺達は蒸し焼きになってしまうぞっ!」

男爵のその言葉に他の5人に動揺が走る。


上がり続ける気温に対してダイカクは《風洞》の展開を維持したまま、《氷風》の魔法を使ってその場の気温を下げようとしていた。

だが思うように効果を確認できずにいた。


高温のため次第に意識が朦朧としてくる6人。

そして連戦の疲れからかダイカクが崩れ堕ちそうになっている。

ダイカクはここに転移してくるまでにミナミー島の援護で戦闘をこなしてからコノジョウに現れたのだ。体力の消耗も激しかった。


そしてバジリスクが吐き出した炎の塊はついにダイカクの《風洞》の防御を突破する。

迫り来る炎。


「きゃああああっ!」

マリカの悲鳴がその場に響き渡ったその時。

6人は強烈な光に目が眩んだ。

「な、なんだぁっ!」


次の瞬間。


6人は目が眩んで周囲の様子がわからない。

バジリスクが襲ってくる事を覚悟したにも関わらず、彼らの身には何事も起こらない。

「な、何がどうなってるんだ?」


不思議に思いながらも漸く目が慣れた彼らは、周囲の様子が理解出来てきた。

「あ、バジリスクがいない……、いったい……」

そのマリカの疑問に応えたのは、上空からの聞き慣れた声だった。




「遅くなって済まなかったな」




マリカがその声がする方へ顔を上げると、そこには淡い光に包まれた白い龍とそれに股がる敏文の姿があった。

最後まで読んでくださってありがとうございます。


2ヶ月……

投稿が滞ってしまい申し訳ありませんでした。

それに主人公たるトシフミを登場させるのに6ヶ月もかかってしまいました……


何とか続けていくつもりですので温かい目で応援していただけると有り難く……


これからもよろしくお願いいたします。


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