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第46話 雨中の来訪者

 敏文はすぐに部屋を出ていこうとする。

「トシフミ様! どちらに行かれるおつもりですか!」

 マサルが呼び止めた。


「理不尽な処分の撤回を陛下にお願いに!」

 敏文は言うが、マサルがそれを止める。

「お待ちください。トシフミ様は今回の事、何を持って理不尽とお考えですか?!」


「えっ、それは……」

「舞踏会を一回サボったからってこの処分は重い、とお思いなのですか!」


 敏文は図星だったので言葉に詰まる。

 マサルは諭すように言う。

「トシフミ様。今回の件は実は非常に重いお話なのです。当日の体調不良ならともかく、ナツキ様は健常な状態であるにも関わらず、無断で王室の公式行事を身代わりを立てて欠席されたのです。これを認めればどのような事になるとお思いですか!」


(確かに王女が身代わりを立てて許されるならと同じことをする輩が出るかもしれない。それでも……)

「処分はするにしても内容がキツいとお考えですか?」

 マサルは敏文に尋ねる。


「もう少し軽い処分とかあるんじゃ……」


「御自分の娘だからこそより重いものでなければいけないのです。そうでなければ何処かで王家は軽く考えられてしまう。恐らく国王様も苦渋の決断だったのではないでしょうか」


「……そういうものなのか……」

 敏文は肩を落としてそう呟く。

「それに一旦公式に発表された処分です。これを緩和すればそれこそ身内に甘いとの評価となりましょう」

 マサルのもっともな言葉に敏文は反論が出来ない。

 メグミも付け加える。

「それに今回の処分は王族資格の剥奪ではなく無期限停止です。具体的な期間が決まっていないと言うことは何かを切っ掛けにお許し頂ける事もあると言うことです」


「そうか……、ありがとう2人とも。俺を止めてくれて」

「いえ、思い止まって下さり、感謝致します。また先程からの失礼な申し上げ様、お許しください」

 マサルが頭を下げる。


「いや、これからも今のような諫言よろしく頼む。俺がおかしな事をしていると感じたら遠慮なく頼む。メグミもな」

「はい」

「ただ、欠席の切っ掛けに俺も絡んでいるんだ。何かできることは無いだろうか」

「別途宰相様とご相談されてはいかがでしょうか」

「そうだな」

(ただ心配なのは王宮退去になった彼女に行く宛はあるのだろうか……)

 敏文は未だ強い雨が降りつけている窓から外を眺めて考えていた。


◇◇◇◇◇


 王宮を守る城壁に設置された小さな門がある。そこから雨避けのフード付きのコートに身を包んだ人物が1人出てきた。


 その人物は王宮に向かって一礼すると、しばらくその城壁を見上げたまま動かない。


 ここは王宮から貴族以外の人間が出入りするための通用門だった。


 その人物、ナツキは貴族街の通りを歩き始める。庶民街と異なり貴族街の通りでは雨中に徒歩で歩いているものなど殆どいなかった。


(まさか、こんなことになるなんて……。あの時、庶民街に出掛けなければよかったのかしら……。でも、庶民がどのように祝ってくれているのか知れたことはとても良かったし、お父様も先日はその事を喜んでおられた)

 ナツキは立ち止まって振り返り雨に霞む王宮を見る。


(やはり、叙勲式であの話をしたのがいけなかったのね……。お父様ごめんなさい)


 ナツキは処分を伝えるときのとても辛そうな父親の表情を思い出していた。


 そしてまた、雨の中を歩き出す。

 その頬には雨粒とは違う物が流れていた。



◇◇◇◇◇



 その頃、街に買い物に出ていたサラとアヤメは雨宿りを余儀なくされていた。


「あちゃ~。これは止むまで動けないね」

 降りだした雨のあまりの強さに思わずすぐそばの店の軒先に飛び込んだのだ。

 サラはバッグからタオルを出して濡れた服を拭こうとしたが、ふと生活魔法で乾かせるのを思いだし、鼻唄を歌いながら、えいっと服を乾かした。

「やっぱり、べんり~」

 アヤメもそれを見ながら苦笑いしつつ、自分の服を乾かした。


「さて、どうしようか」

 アヤメがそう言うと店の中から、声を掛けられる。

「おやまぁ、かわいいお嬢さん達がそんなところで」


 見るとそこには老婆が一人にこにこしながら立っていた。

「すいません。雨が落ち着くまでいいでしょうか」


「それは構わないけど、お前さん達は《雨避けの外套》は持っていないのかい?」

「え?」

「あ、そう言えば!」

 2人は慌ててバッグを確認する。

「あった!」「私も!」


《雨避けの外套》はフード付きのコートなのだがそれを着ていると雨がコートに触れる前に弾かれてしまうので着ている本人は勿論、コート自体も濡れない便利なものだった。極めてポピュラーな魔道具で一般にも売られているためこの国では持っている人間が多いのだ。


「あは、すっかり忘れてた」

 アヤメは自分の頭をポカリと叩く。

「もう、そんなのあるなら教えてよ!」

 サラは《雨避けの外套》を着ながら言う。


「なんだい、持ってたのかい。心配して損したじゃないかい」

 老婆が笑いながら言う。

「すいませんでした。でも、ありがとう!」

 サラとアヤメはフードを被ると帰るために雨の中を走り出した。


◇◇◇◇◇


 ナツキは宛もなく貴族街を歩いていた。

(これからどうしよう……。私王族でなくなったら途端に居場所や行くところが無くなっちゃうなんて……。今までやってこれたのは皆が助けてくれてたからなんだ……。私自分で色々精一杯やってたつもりだったのに……)


 その時強い風にフードが飛ばされ、ナツキの顔は直接雨に濡れてしまう。


 ナツキはそのフードを被り直すこともせずに自分の考えに没頭しながら歩き続けた。



 しばらくすると雨が小降りになってきた。

(あら、ところでここは何処なのかしら?)

 ふとそう思ったナツキが顔をあげた時、突然声がした。

「ナツキっ!」

「ナツキ様なの? 何でこんなところに!」


 そこにはアヤメとサラが驚いた表情をして立っていた。


◇◇◇◇◇



 敏文はマサル達の説明を受け少しの間書斎で受け取った資料を読んだあと、宰相と連絡を取ろうと階段を下りて1階へ向かっていた。


 そこでこちらにやってきたタイジロウを見つけ、通信室の使い方を聞こうと声を掛ける。

「あ、タイジロウ」

「トシフミ様、ご報告がございます」

 タイジロウは階段をそのまま登ってきて敏文がいた踊り場のところで話し始めた。

「ただ今、サラ殿とアヤメ殿が帰宅されたのですが、一緒に雨に濡れられたナツキ様をお連れになって来られまして」

「なんだって! で、今どこに!」

 敏文は驚く。

「体が濡れておられましたので、メグミが指示をして、今お湯を使っておられます」


 敏文はほっとする。

「まさか、発表されたその日に処分が行われたってことなのか……」

「わかりませんが、サラ殿の話では1人で貴族街を雨の中歩かれていたようだとのこと」

「サラとアヤメは?」

「ナツキ様と一緒です」


「そうか、わかった。ナツキ様ご本人の話は後で落ち着かれたところで伺うとして、宰相殿にご報告しなければいけないだろう。タイジロウ、通信室の使い方を教えてくれ」

「はい。こちらにどうぞ」


 敏文はタイジロウと一緒に1階に下りていった。




「トシフミ様、宰相様とつながりました。どうぞ、お話ください」

 タイジロウが言う。

「宰相閣下、お忙しいところ申し訳ございません。ご報告がございます」

「トシフミか。如何した?」

「ただ今当家にナツキ様がお越しになられています」

「そうか、お主の処に向かわれていたのか!」

 敏文にはその声が何処かほっとした様子に聞こえた。


「此度のご処分について耳にしました」

「そうか、聞いたか」

「はい」

「それでお主はどう思った?」

「当初はあまりに重いものだと受け止めました。ですが、執事のマサルに話を聞き、今は冷静になれていると思っております」

「そうか」

「ただ、王宮退去は発表のその日に行われるとは思っておりませんでした。切っ掛けを作ってしまったのは私でもあり、何かできることは無いかと宰相殿にご相談しようと思っていたところ、ナツキ様がこられたのです。ナツキ様と一緒にサラとアヤメが帰宅しましたので事情はこれから伺おうと思っております」


「実は本人に陛下とわしから処分を通知したあと、時間を少し置いてその後の話をしようとしたときには、もう1人で王宮を出られていてな」

「そうでしたか。分かりました。当面の間当家でお世話申し上げます。今後についてはご相談させて下さい」

「わかった。手間を掛けるな」

「いえ、責任の一端は私にもありますので」


「頼んだぞ」

「はい。あと、マサルやご手配頂いた使用人達には非常によくしてもらっています。本当にありがとうございます」

「そうか、あの者達はよくやってくれているか」

「はい。しっかりと」

「そうか。ではな」

「お時間頂き、ありがとうございました」


◇◇◇◇◇


(どうやら、うまくいったようじゃな。いきなり居なくなられた時は胆を冷やしたが、結果的には良かった)

 通信が切れた後、キジマール宰相はほっと一息つくと立ち上がった。

「陛下にご報告せねばな」

 廊下を国王の執務室に向かいながらキジマール宰相は考えていた。

(さて、このあとも陛下の思惑通りに行くものかどうか……)


◇◇◇◇◇


「アヤメ、サラさん。ありがとう」

 ナツキは湯船に浸かりながら、体が暖まるのを感じていた。

「大変だったね。ごめん。私が夜のパレードに誘ったりしなければ……」

 隣に浸かるアヤメが謝る。


「うううん、違うわアヤメ。あなたのせいじゃない。確かに教えて貰ったけど、でも私は自分で帰ることもできた。それをしなかったのは私だもの」

「でも、王宮退去にまでしなくても」

 サラが呟く。


「王族じゃないんだから王宮の中で王族扱いを受けるわけにはいかない」

 ナツキの言葉にアヤメが尋ねる。

「それでどうするつもりだったの?」

「わからない。気がついたら王宮を出ていたの」


「危ないわよ。そんなの。私達と会わなかったらどうするつもりだったの!」

 アヤメの剣幕にナツキは俯く。

「……そうだよね」


「私、王族じゃなくなったら途端に行くところが無くなっちゃって。私って今までなんだったんだろうって思って」

「じゃ、このお屋敷で暮らせばいいじゃない。私達と一緒に。私もトシフミに頼んで見るから」

 アヤメが優しくナツキの肩に手を置く。

「そうね。私もトシフミに頼むから」

 サラも言った。


 でも、ナツキは不安そうだ。

「いいのかしら。私王族じゃなくなって庶民になってしまったし、ここにいてもいいのかな」

「何言ってるの。私もサラも貴族じゃないよ。大丈夫。それに今のトシフミお金あるし、ナツキが暮らしたって大丈夫よ。もし、もしトシフミがダメって言っても、その時は私が探検者で稼いだお金で一緒に暮らすから」

「ありがとう。そこまで言ってくれて」

「うん。でも、贅沢は無しね」

「わかったわ」

「あれ? でもナツキに庶民の暮らしができるかしら?」

「わからないけど頑張ってみるわ」


 その時、サラが言った。

「大丈夫。トシフミがダメって言ったら私が首絞めてでもいいって言わせるんだから」


「そんな過激な……。フフフ」

「アハハハ」


 3人はなんだが可笑しくて笑いだした。


「さて、そろそろ上がって、この家の主に挨拶しようか」

「ええ」


 そう言うと3人は湯船から立ち上がった。



◇◇◇◇◇



 敏文は1階の応接室で3人が現れるのをマサルと一緒に待っていた。


 そこに扉がノックされる。

「メグミです。トシフミ様、ナツキ様をお連れ致しました」

「ああ、入って頂いてくれ」


 すると扉が開いてナツキ、サラ、アヤメが部屋に入り、メグミが最後に扉を閉める。


「ナツキ様、どうぞこちらにお掛けください」

 敏文はソファを指し示すと、自分はその向かいに座る。

 マサルとメグミは敏文の背後に立つ。


 サラとアヤメはナツキの後ろに立っていた。

 

「この度は大変なことになってしまい、とても驚くと共に大変申し訳なく思っております。あの時、私が差し出がましいことをしてしまったが為に、それを切っ掛けに……」

 敏文がそう言うと、ナツキは首を振った。


「トシフミ様、先程アヤメにも言ったのですがそれは違います。私が判断してトシフミ様にお願いして残ったのです。それにトシフミ様は何度も私に王宮に戻るように言って下さったじゃないですか。だから、貴方のせいではありません」


「しかし……」

「そう仰って頂けるのは嬉しいのですがそれでは私が自分で何の判断もせず、責任も追わないような人間になってしまいます。それでは逆に不本意です」


「そうですか。そこまで仰るのであればもう私からお詫びするのは止めましょう。その代わりと言っては何ですが、王族資格停止が解かれるまでの間、当家でゆっくりご滞在下さい」

「宜しいのですか?」

「ええ、先般の騒動で予想外の頂き物を致しております。これで少しは御返しできると言うものです」


 それを聞いたサラとアヤメは喜んでいる。


 その時、部屋をノックする音がして、廊下から声が聞こえた。

「トシフミ様。ショウノスケでございます。お飲み物をお持ち致しました」

「えっ?」

 ナツキが驚いた表情をしたが、敏文は返事をする。

「ああ、入ってくれ」


「ショウノスケではありませんか! あなた今ここに居たのですか!」

 ナツキが驚いて立ち上がる。

「はい、ナツキ様。お久しぶりでございます。今はこちらのカマタ男爵家でお世話になっております」

 ショウノスケは深く礼をした。


「ショウノスケのことをご存じだったのですか?」

「ええ。私の母の代からずっと仕えてくれていたのです。私も幼い頃にはよく遊んでもらいました。母が亡くなった後、王宮仕えを止めてしまっていて」

 ナツキは口に手を当てて驚いていた。

「今、こちらにはタミコもお世話になっております」

「タミコも!」

 ショウノスケの言葉にナツキは驚きつつも嬉しそうな表情をしている。


「そうでしたか。タミコもご存じでしたか。では私も少しは安心ですね。見知っているものがいると居ないでは居心地も違いましょうから。タミコには後程挨拶をさせましょう」

「はい!」

 ナツキは嬉しそうだ。


「私やサラ、アヤメは探検者としての活動は続けるつもりでおりますので、不在にすることも多くなると思います。3階に1室をご準備させましたので、そちらでお過ごし頂く事とし、何かありましたら家の者にお申し付けください」


「あの……」

 ナツキが何か言いたそうにしている。

「何かご不安な点でもありましたでしょうか?」


「いえ、そうではないのです」

 そしてナツキは意を決したように言い出した。

「私も[ミスティック]に入れて頂けないでしょうか!」


「……え?」

 敏文は一瞬の沈黙の後、間の抜けた返事をする。

「ダメでしょうか?」

 ナツキは頭を少し下げて上目遣いに敏文を見ていた。


(うわっ、そんな目で見ないでくれっ。このお姫さまは言い出したら聞かないからなぁ……) 


「どうしてそのように思われるのでしょうか?」

 敏文は理由を尋ねる。

「私は今まで王族という名の傘の下で守られて暮らして来ました。そして今回のことで王族という肩書きが無くなったら一人では何もできない人間だと思い知らされました。探検者という仕事は危険な物だとは先日の事でわかっているつもりです」

「それであればこの屋敷にいて頂ければ安全なはずですが」

「それでは私は何もできないままの娘で終わってしまいます。私もこの国の為に、民の為に役に立ちたいのです」


 敏文は目に必死さを浮かべて訴えるナツキの表情を見ていた。その目は真剣なもので決意は固そうだ。

「探検者の仕事は慈善事業ではありません。依頼に見会う報酬があって初めて受けられるものですし、受けた以上は不本意なことがあっても実行しなければならなくなります。依頼遂行の為に傷ついた者を見捨てなければいけなくなることだってあり得ます。汚い場所でも活動することはありますし、正視に耐えないものを見なければならない事もあるでしょう。それでもあなたはやりたいと思われますか?」


「はいっ! お願いします!」

 ナツキの真剣な眼差しに敏文は心の中では折れていた。


「お気持ちは分かりました。ただ、お立場を考えれば私の一存では決められません。少しお時間をください」

 敏文はそう言うと立ち上がりナツキににっこり笑い掛ける。

「さあ、今日の所はお疲れでしょう。3階に部屋を準備しています。ゆっくりお休みください。食事の用意が整いましたらお知らせ致します。ショウノスケ、ナツキ様を頼む」

「はい、畏まりました」



◇◇◇◇◇


 その後、敏文は再び宰相府と連絡を取る。

「おお、トシフミ。ナツキ様はどうされておるか?」

「ご事情は伺いました。今は部屋でお休み頂いています。それで、ご相談がございます」

「如何した?」


「ナツキ様ですが、[ミスティック]に入られたいと仰せでして」

「なんと、探検者になると?」

 キジマール宰相は驚いた声を上げる。


「はい。私は探検者の仕事は慈善事業ではないことを申し上げたのですが、どうしても家の中で守られて何もできない事がお嫌なようでして。如何したものかと」

「なるほど。これからシャハーブと対しようとする中で、お主達は場合によっては争いの先頭になることも考えられるしの」


「はい。我々は近日中に新たに精霊とコンタクトを試みるべくナーラ、コーヤ、ミナミー島に順に向かうつもりでおります。そこにお連れして宜しいものかと」


「その話はオズーノより聞いておる。《転移の大図》を持っておるのじゃったな」

「はい。何かあればすぐに王都に戻ります」

「そうか」


 宰相は突然な質問をぶつけてきた。

「お主から見てナツキ様はどうなのだ?」

「と言いますと?」

 敏文は質問の意図を図りかねて宰相に聞き返す。


「あ、探検者としてじゃが」

「適性などは判りませんが、今はまだお一人で身を守られることは難しいでしょう」


「それに探検者の一部にナツキ様は非常に人気があるようじゃし、お主もやりづらかろう」

「その点は《変化の首飾》を使うことで隠せましょう」


 

「で、結局お主自身はどう考えているのだ?」

「はい。それがナツキ様に取って新しい世界を見る機会となるのであれば宜しいかと」


「そうか。私から陛下に伺っておこう。それに予定外に警備などの負荷を掛けるかも知れんな。それについてはこちらから手配をしよう。近衛を充てる訳にはいかんが、何人かわしの方で心当たりがあるからの」

「分かりました。では陛下のご意向のご確認をお願いいたします。ところで、ご回答が難しければやむを得ませんが、ナツキ様のご処分はいつ頃お解きになられる算段なのですか?」


 少しの沈黙の後、キジマール宰相は答えた。

「今はまだ未定じゃ」

「そうですか。分かりました」


「それじゃあの」

「はい」


◇◇◇◇◇


 翌日、キジマール宰相より敏文宛に連絡があり、ナツキ様の[ミスティック]入りに了解が得られたこと、現在は王族資格停止中につき、今後陛下の都度の確認は不要であることが伝えられた。そしてナツキの警護の為に4人の女性が今日から派遣されるとの連絡があった。


 敏文は4人の女性が新たにくる事をマサルに伝えて受け入れの手配を頼んだ。


(今日も雨か……)

 書斎の窓から外を眺めると細かい雨が降り続いていた。


 それから1時間後。

 マサルから宰相の手配で派遣されたという4人の女性が到着したとの連絡があり、敏文は4人が待つ1階の応接に向かった。


 扉の前ではメグミが待っている。

「お待たせして申し訳ない。俺がカマタ男爵の敏文だ」

 そう言ってメグミが開けた扉から中に入った敏文は、驚きに急停止する。



 そこに待っていたのは、[純白の朝顔]の4人だった。



最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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