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第38話 王都騒乱 其の二

2014.4.18 話を大きく修正しました。

「おい、冗談だろ…………」

 10メルほどの巨大なムカデがその首を地面から突きだして、ガチガチとその牙を鳴らしている。


「まずいっ! 散れっ!」

 敏文はまだ足を痛めたままのシンジローを抱えるとハルの手を引いて横に飛ぶ。

 それ以外の皆もその場から飛び離れる。


「きゃあっ!」

 ハルが悲鳴を上げるが、喰われるよりはいい。


 今まで敏文達がいた場所に、大ムカデが頭から突っ込んできて牙が地面に突き刺さる。敏文達が避けて外れたとわかると、もう一度、頭を上げて誰を襲うかうかがっているようだ。


 敏文は《ムラサメ》を構えると、《跳躍》を使って奴の頭の上に出る。

「そうりゃあっ!」

 敏文は《ムラサメ》を奴の頭に目掛けて振り下ろした。


 すると甲高い音がして、《ムラサメ》がはじかれてしまう。


「なんて硬さだっ! ってうぉっ、《ムラサメ》がっ!」

 《ムラサメ》の刃が毀れて、刀が曲がってしまっている。

(ダイカクさんごめん!)

 敏文は心の中でダイカクに詫びていた。


 敏文は着地した後、《ムラサメ》を腰のバッグにしまうと、すぐに《神速3(2倍)》を使い奴をかく乱しつつ、トモエに問いかける。


「トモエッ! 情報をっ! こいつの弱点はっ!」

『この魔獣はキングクラストセンチピード、通称キングクラストよ。頭や背中は硬くて刃物じゃだめっ。攻撃を通すなら腹側からっ!』

「そうかっ!」


「これでっ!」

 敏文はキングクラストの腹を目掛けて《岩壁》を先を尖らせて発生させる。

「グギャーッ!」

 地面からすぐの所を飛び出た岩に串刺しにされて、キングクラストは身動きが取れず、体を上下左右に揺らしながらのたうっている。


 敏文は暴れるキングクラストに対して、トドメを刺すべく叫ぶ。

「コウッ! 《炎槍》3連っ!」

 敏文は左手を奴のあご下に向けて突き出す。

『りょうかい!!』

 コウのその返事と同時に、強烈な炎の槍が3連発で発射される。そしてあご下、腹、さらに《岩壁》が刺さっているすぐ上に突き刺さる。

「クギャーーーーーーーーーーッ!」


 奴はその首を地面に突っ伏して、動かなくなった。


「ふうっ。みんな怪我はないかっ!」

 敏文の問いに、皆頷いている。


「相変わらず、お前の炎はすげえな」

 ブンゾーが感心している横で、さっきの《炎域》も含めて、敏文の炎の精霊魔法を初めて見たハルは声も出ないままに驚いている。


 敏文は、シンジローの足を《水解》の魔法で治療した。

「大丈夫か? 歩けるか?」

「ああ、ありがとう。もう大丈夫だ。すまない、遅れをとってしまった」

「お互いにこれからはビグチュラに手を出すときには気をつけよう」

 敏文もやられた籠手を見せながら言うと、シンジローもにこりと笑う。

「ああ、わかった」



 その時、屋台が並びパレードが行われていた噴水広場の方向から悲鳴が聞こえてきて、大勢の人が逃げてきた。

「まずい、あんなに人が多いところにも現れたのかっ!」

「トシフミっ、どうするっ!」

 アヤメの言葉に敏文は叫ぶ。

「助けない訳ないだろっ! いくぞっ!」


 敏文達は広場に向かって走ろうとするが、逃げてくる人たちが道をふさいで先に進めない。

「セイラン! 先行して奴らを食い止めてれっ!」

『わかったわ!』

 敏文の右手から飛び出した蒼い隼は上空高くに舞い上がって広場の方に向かった。


 敏文達が逃げてくる人たちを避けつつ、何とか前に進んでいると、セイランから連絡が入る。

『トシフミッ! 広場には噴水横から、キングクラストが2、あと、ビッグファングアントの群れが現れているわ。ビッグファングアントは20はいると思う。今、《豪風》で、とりあえず食い止めているけど、まだ地面に開いた穴から出て来てる。既に百人単位で犠牲が出ているわ』

「くそっ。セイラン、それ以上被害が出ないように頼むっ」

『ただ、トシフミ。奴らが現れた場所はここだけじゃないみたい。王都の庶民街の何箇所かに現れていて、あちこちで国軍兵や探検者達が戦っているわ』

「そうか、わかった」


 敏文達は漸く広場にたどり着く。広場は屋台がくずれ、ものが散乱し、セイランの言う通り、キングクラストやビッグファングアントに襲われた人たちの遺体があちこちに転がっている。


 ビッグファングアントは、その名の通り巨大な牙を持つ大きさ2メルほどの巨大な蟻だ。


 奴らは大半がセイランの《豪風》で広場の中心に追いやられていた。


 それ以外は、広場にいた探検者達と戦闘になっている。


「ブンゾー、サラ、ハル、カズミっ! すまないが広場で怪我をして動けない人間の治療をっ!」


 次に敏文はセイランに向かって叫ぶ。

「セイラン! 奴らが現れていない方向はっ!」

『この場所からだと、港へ向かう方角には現れていないようよ』


 敏文はアヤメとシンジローに指示をする。

「アヤメとシンジローはこの場からみんなを逃がしてくれっ! 港の方には奴らが現れていないようだっ! そっちにみんなをっ!」


 そして、敏文は噴水前で《豪風》の中、右往左往してギーギー言っている奴らを睨んでつぶやく。

「奴らは俺がつぶすっ!」



◇◇◇◇◇


「滞りなく進んでおるようじゃの」

 キジマール宰相は舞踏会の会場でダンスをしている者達の姿を見つつほっとしていた。


 キジマールがふと脇を見ると、陸軍卿のオイワ伯爵が何か報告を部下から受けていた。

(何かあったのじゃろうか)


 オイワ伯爵はキジマール宰相の側にやって来て、そっと耳打ちする。


「宰相殿、緊急事態です。至急別室で打ち合わせを」


 キジマール宰相がオイワ伯爵と共に控室に入ると、そこには海軍卿のタチバナ伯爵、王都守備隊長のサカキ、トモナリ殿とガトー子爵が待っていた。


「何が起きたのじゃ」

「現在、王都各所で魔獣が現れて民を襲っております」

「なんじゃと! 何処から現れたのじゃ。城壁を越えたのか?」

「いえ、地中から現れたようです」


 タチバナ伯爵の言葉にオイワ伯爵が補足する。

「庶民街の西側から噴水広場付近までの十数ヵ所と、貴族街の西の端にあるゼギド男爵の屋敷から合わせて数百の魔獣が現れているとの報告がありました。現在更に増えているものと思われます。その場に居合わせた探検者達と王都守備隊が各所で戦闘に入っております」


「なんてことじゃ。直ぐに国軍を動員し、魔獣の撃退と民の避難、救助にあたらせよ」


「はっ、陸軍は既に王都駐留の第1兵団1万と第1魔法士団500に動員をかけ、展開を急いでおります」

 オイワ伯爵の報告に続いてタチバナ伯爵も報告する。

「海軍は王都駐留の第1艦隊20隻を民の避難の為、港に接岸させて民の受け入れを始めております。定員になった艦船から順次離岸させております」

 サカキも続く。

「王都守備隊は、既に各員の持ち場で戦闘に入っております。また、本日非番の者を緊急招集し投入準備をしております」


「手ぬるい! 王都駐留だけでなく、近隣の部隊にも招集をかけるのじゃ。それに探検者組合本部や、各地への定期船、漁業組合等にも協力を要請するのじゃ。探検者組合本部はわしから連絡を入れる。後はタチバナ伯爵、貴卿から頼む。いずれにせよ急ぐのじゃ」


「「「はっ!」」」

 3人は直ぐに飛び出していく。


「何故こんなことに……」

 トモナリ殿が呟く。

「そうじゃ、原因の調査に魔法生物研究所の力も借りよう。ガトー子爵連絡を頼む」

「解りました」

 ガトー子爵が部屋を出ていった。


「国王には、どう報告しますか?」

 トモナリ殿の問いにわしは答える。

「探検者組合本部に連絡した後、わしから報告する」


(地中から魔獣が現れるなど、何故こんなことになったのじゃ……)

 キジマール宰相は窓から炎が数ヵ所に上がっている王都の街の様子を見つつ呟いた。



◇◇◇◇◇



「組合長! 宰相閣下から緊急連絡です」

「おう」

 ドーセツ通信室に入る。

「ドーセツです」

「おお、聞いておると思うが、王都の緊急事態じゃ。探検者組合にも協力を頼みたい」

「はい。現在王都にいる探検者は約二千名ですが、黄色いひょっ子には負担が重いため、赤以上の約五百名に緊急依頼を掛けます。といっても既に自主的に戦闘に入っているものが多数ですが」

「[ミスティック]はどうしておる」

「噴水広場で既に戦闘中です。彼らは黄色ですが依頼を出します」

「港に海軍他の艦船を民の避難の為接岸させておる。民はそちらに避難させるように誘導を頼む」

「解りました。早速」


 ドーセツは通信を切ると、組合職員達に指示を出す。

「王都在所の赤以上のチーム、並びに[ミスティック]に、緊急依頼を出せっ! 魔獣の撃退と民の避難誘導が依頼任務だっ。民は港の艦船に避難させるように伝えろっ! 急げっ!」



◇◇◇◇◇



「ケイジっ! 向こうからビグチュラがっ!」

 ハヤトの叫びに、ケイジ達はその指し示す方向に向かって走り出す。


 すると、商店街の真ん中でビグチュラが5匹、住民をその糸で絡め取っていた。その中の2匹は既に前足で捕えた人間の体を突き刺している。

「ギャーーーーー!」

「た、たすけてくれっ。痛い、痛い……」


(なんなんだこいつらは、いったいどうしてこんな奴らが街中にっ!)


 ビグチュラに直接攻撃は禁物だ。体液を浴びれば体が溶けてしまう。

「直接攻撃はするなっ。魔法と弓で攻撃だっ! ジョウジは、奴らの糸を切って捕われている人を助けてくれっ!」

 ケイジの指示に、皆が動き出す。


 ケイジは奴らに向かって≪火刃≫を連弾で放ち、そのうちの1匹の頭を潰す。皆もそれぞれ、矢、氷、雷の魔法でビグチュラを仕留めていく。


 なんとか5匹を倒すことに成功したが、捕えられていた人のうち、体を刺されていた2人は助けられなかった。残り3人を絡め取っていた糸を切ると、住人達は感謝の言葉をいいつつ、逃げ出していった。


 いったい何が起こっているのか把握しようとケイジはとっさに、トシフミと≪遠話の腕輪≫で連絡をとる。

『トシフミッ! 今どこにいるっ!』

『ケイジかっ! 噴水広場だっ! すまんが、今戦闘中だっ! 少し待ってくれっ。こっちが片付いたら連絡するっ!』


 ケイジは今のトシフミの話を皆に伝える。

「トシフミ達も戦闘中なの……。もしかして王都中に魔獣が現れているってこと? なんてことなの……」

 サリナがつぶやく。


「これからどうする?」

 ジョウジの言葉に、ケイジは少し考える。

「俺たちもトシフミに加勢しに噴水広場にいくか……」


 だが、その言葉をレイカが否定した。

「すぐには無理みたい。あれを見て」


 ケイジ達がレイカが指差した方角を見ると、そこにはビッグファングアントの群れが通りとそれに面した商店の壁に固まってこちらに向かってきていた。


「ちきしょう。仕方ない。いくぞっ!」



◇◇◇◇◇



「な、何が起きたの?」


 混雑する噴水広場を避けて、商店街で雑貨を見ていたマリカ達は店の外で上がった悲鳴にビクッと体を硬直させる。


 店の窓から巨大な蟻のアゴに体を挟まれた人が連れて去られているのが見えた。


「な、何あれ!」

 マリカの友人サキが恐怖のあまり座り込んでしまった。


 雑貨屋の店員はパニックになっていて店のカウンターの向こうで頭を抱えて震えたままだ。とても頼りには出来そうにない。


 マリカはキキョウに《遠話の腕輪》で連絡を取った。

『よかった。マリカ今何処にいるの!』

『いつもの商店街の雑貨屋。街が魔獣が出てる』

『今一人なの?』

『友達も二人一緒。サキとミチル。どうしようか迷ってる』

『庶民街は全体が大変な事になってるわ。貴族街は西側に魔獣が少し出ているけど、男爵邸がある東側は大丈夫なようよ。男爵家の人に友達二人の門の通行申請も出してもらうから、一緒にこっちに帰って来なさい!』

『判った。アヤメ姉さんは?』

『アヤメは今魔獣と戦って、街の人達の救助をしているわ。大丈夫。トシフミさん達が一緒だから。あなたは早くこっちに!』


 この商店街から、貴族街に入る門までは300メルぐらいだ。


「近い所にいてよかった。サキ、ミチル。今から一緒にノーギ男爵の屋敷に」

「えっ、いいの?」

「姉さんが門を通れるようにしてくれてる。門まで隠れながら少しずつ走ろう!」

「「うんっ!」」



◇◇◇◇◇



 噴水広場の奴らを倒した敏文達は、広場にいた人達を治療しつつ、動ける人達を港の方へ誘導していた。


 探検者組合からも緊急依頼があり、魔獣の撃退と民を港の方へ誘導するよう指示があった。

 依頼を受諾した敏文達は広場にいた住民達に避難を呼び掛けたのだが、中には嫌がってその場を動きたがらない人達が何人もいた。


 いつまた次が現れるか解らない。早く避難して欲しいのだが、凶悪な魔獣を間近に見て襲われたせいかショックのあまり動けない人もいた。


 すると少し考え込んでいたハルが、思い立ったようにその人達に近づいて、そして首飾りを外した。


「ああっ、ナツキ様っ! どうしてこのような場所にっ!」

「ナツキ様っ! どうして王都に魔獣が…………」

「ナツキ様、私達はどうすれば?」

「ナツキ様っ!」


 疲れきった住民達がナツキの元に寄ってくる。

「皆さん、この原因はまだわかりませんが、今はまず皆さんの安全が第一です。ここにいてはいつまたさっきのように襲われるかわかりません。幸い港の方には魔獣は出ていないようです。ですから、皆さん。大変だとは思いますが、ここから直ぐに避難をしてください」


 すると、住民達がナツキの言うことを聞いて動き出す。

「ナツキ様が、ああおっしゃっているんだ。俺達は言うとおりにしなけりゃ」

「そうじゃ、ナツキ様の言うことは聞かねえと……」


(ナツキ。流石に王族だな。民への影響力は大したものだ)

 敏文は感心する。


 一息つけた敏文はそこでヨシトモに連絡を入れる。

『ヨシトモ様、今宜しいですか?』

『トシフミ! たった今叔父上から庶民街に魔獣が出たと聞いた。そっちは大丈夫か?』

『王都は緊急事態です。庶民街のあちこちに魔獣が現れています。たくさんの人達が犠牲になっている状況です。それで申し訳ありませんがいまナツキ様を直ぐにそちらにお連れ出来ない状況です』

『ナツキが怪我でもしたのかっ!』

『いえ、今は[ミスティック]、それにシンジロー、カズミと一緒に住民の治療にあたっておられます。それですぐにお連れすることが……』


 その時、ナツキが近づいてくる。

「トシフミ様、この辺の怪我人は殆ど治療を終え、港の方へ向かいました。これからどう……」

「今、ヨシトモ様に状況をお伝えしているところです。《遠話の腕輪》を使ってください」


「えっ、ああ」

 そう言うとナツキは会話に入ってくる。


『お兄様、お聞きになったと思いますが、直ぐに王宮へは戻れそうにありません。庶民街は大変な状態です。お叱りは後でお受けしますので今はこちらを優先させてください』

『しかし、お前危険なのでは……』

『トシフミ様達は魔獣を排除しつつ、救助活動をされています。私も民の力になりたいのです』

『ヨシトモ様。いざとなったときは私が精霊の力でお連れします』

『判った。ナツキ、無理はするなよ。あと、トシフミ、ナツキをくれぐれも頼む』

『はい。おまかせを』


「よし、俺達も港へ向かおう。避難した人達が船に乗るまで援護しよう」

 敏文がそう言うと、皆頷いて動き出した。


 その時だった。《遠話の腕輪》から別の声が聞こえてきた。

『ダイカクだっ。トシフミ今何処にいる?』



◇◇◇◇◇



「ミシェル、大丈夫かっ!」

「ええっ。大丈夫。それより急ぎましょう」


 魔力の流れる方向を追って、練兵場の方へ向かっていたダイカク達は、殺気だって街中へ出動していく陸軍とすれ違った。ミシェルがその時兵にぶつかって飛ばされたのた。


「ちょっと待ってくれ」

(陸軍が殺気だって出動しているって事は、何かあったのか)

 ダイカクは地上の気配を探知する為に風魔法を使う。

「これはっ! 王都に魔獣の気配がこんなにあるとはっ!」


 その時オズーノから《遠話の腕輪》に連絡が入った。

『ダイカク、ミシェル、聞こえるかの』

『オズーノ様! 王都に魔獣がっ』

『その件じゃ。王宮から連絡があっての。王都の庶民街の西側半分に魔獣が現れているようじゃ。その数、数百』

『そんなに!』

 ミシェルが驚いた表情になる。

『今、国軍や探検者達が魔獣の撃退と民の避難誘導を行っておる。王宮は、わし達に魔獣発生の原因調査を求めてきた。わしは今お主達が追っておる魔力の流れの先にその原因があるように思えてならん。じゃから、お主達は魔獣に構わずその魔力の流れを追ってくれんか』


『『解りました』』


 ダイカクとミシェルは、お互いを見て頷くと、練兵場に向けて走り出した。

 明らかに魔力の流れは練兵場の方へ向かっていた。ただかなり深いところを流れていた。

(練兵場に着いたとしてどうすればよいか……)


 そう考えていたダイカク達の前に、3メルほどの巨大な甲虫が現れた。


「俺達を先に行かせないつもりかっ!」


「はっ!」

 するとミシェルの《火刃》が甲虫に炸裂する。

「キシャーッ!」


 甲虫は《火刃》を喰らって吹き飛んだが、直ぐに十数匹の甲虫が現れた。

「ダイカクっ! どうするっ! このままじゃ先に進めない!」


(どうするっ! 彼らに手伝ってもらうしかないかっ!)


 ダイカクは《遠話の腕輪》を意識すると呼び掛けた。


『ダイカクだっ。トシフミ今何処にいる?』



◇◇◇◇◇



「くっ、切りがないな」

 敏文達は、庶民街を走りながら、出会う魔獣達を魔法で吹き飛ばしつつ、練兵場を目指して走っていた。


 後ろには、[ミスティック]の他に、ナツキとシンジロー、カズミもいる。


 ダイカクからの連絡に、これから危険が極めて高くなると考えた敏文はナツキを王宮に送り、その安全を確保してから、練兵場に行く積もりだったのだが、ナツキが難色を示したのだ。

「ダイカク様のお話はこの事態の原因に迫ろうとされる緊急な話です。それに、私は私が大好きな王都をこんなにしたものを許すことは出来ません。私も連れていってください!」

 敏文はシンジローと共に危険だと何度も説得したのだが、頑として聞かない。


(彼女こんなに頑固だったのか……。仕方ない。連れて行くしかないか……)


「解りました。但し、貴女とシンジロー、カズミは防御に徹してください。いいですね」

 頷く3人に敏文は腰のバッグから取り出したものを渡す。

「それとこれを」

 《魔力回復薬》と《精神力回復薬》だ。

「先程からの治療で相当に魔力を使われているはずです。魔力残量に気を付けてください。予備もお渡ししておきます」


 そして、敏文達は練兵場に向かって走りだしたのだった。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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